ご案内

私は10数名のヴォイストレーナーとともに、ヴォイストレーナーにも指導しているため、内外のヴォイストレーナーのアドバイザーやヴォイトレをしている人のセカンドオピニオンもたくさんやってきました。ヴォイストレーナー、指導者、専門家以外にも「ヴォイストレーナーの選び方」などに関する質問が多くなりました。以下を参考にしてください。

 

「ヴォイストレーナーの選び方要項」 http://www.bvt.co.jp/new/voicetrainer/

 

カテゴリーについて、サイドバーにあるカテゴリーのタイトルをクリックすると、それぞれのバックナンバーが表示されます。

カテゴリー2:ヴォイトレの論点は、こちら に移動になりました。
カテゴリー4:4.福島英レッスン録アーカイブは、こちら に移動になりました。

 

 

閑話休題 Vol.94「歌合」(1)

<歴史>

 

歌う心と競う心と判(ことわ)る心とが結びつけば歌合はいつでも成立。

万葉時代にもなく、和歌が書き読む文学となって文献に記録されるようになった平安朝初期にもなかった。

北家藤原氏の摂関政治を抑えるために和歌をはじめ朝儀、国風を作興した光孝天皇の仁和年間(885889)に初めて現存最古の《民部卿行平家歌合》(《在民部卿家歌合》)が出現した。

天徳4年(960年)の天徳内裏歌合、建久3年(1192年)の六百番歌合、建仁元年(1201年)の千五百番歌合が有名。

1980年代から再興

 

王朝貴族の情趣的な公私の生活は、遊宴競技を盛んにし、中国の闘詩、闘草の模倣から「物合(ものあわせ)」(草合、前栽(せんざい)合、虫合など)が生まれた。その合わせた物に添えられた歌(そのものを題)が合わせられ、歌合が成立した。物合と歌合は区分されず、節日(せちにち)、観月などの後宴や神事、仏事の余興。

960年(天徳4)の『内裏(だいり)歌合』の頃は、内裏後宮を主とした女房中心の遊宴歌合。

1003年(長保5)の『御堂(みどう)七番歌合』から『承暦(じょうりゃく)内裏歌合』(1078)この間は、管絃(かんげん)を伴う遊宴の形をとり歌が争われ、歌合の内容も歌人本位。

平安末期までは、源経信(つねのぶ)・俊頼(としより)、藤原基俊(もととし)・顕季(あきすえ)・顕輔(あきすけ)・清輔(きよすけ)らの著名歌人が作者、判者となり、歌の優劣と論難の基準のみが争われ、遊宴の意味はなくなり、番数も増加し、二人判、追判などの新しい評論形式が生まれた。

鎌倉期に入ると、御子左(みこひだり)(俊成(しゅんぜい)、定家(ていか))、六条(顕昭(けんしょう)、季経(すえつね))両家学に代表される歌学歌論の純粋な論壇として、新古今時代にみられる新傾向の表舞台ともなった。

百首歌の盛行とともに百首歌を結番する「百首歌合」が生まれ、時日をかけ対者を選んで結番し、また複数判者による分担判という大規模な歌合が成立した。『六百番歌合』(俊成判)、『千五百番歌合』(俊成ら十人判)などがある。

その後は歌壇がまったく御子左流(二条)のひとり舞台となった。ときには藤原光俊(みつとし)らの反御子左派、あるいは京極為兼(きょうごくためかね)らの反二条派の歌合に和歌、評論とも新鮮味があったが、歌合は、文芸的には鎌倉初期をピークとして、文芸様式の一として江戸期まで続けられた。

この形態で、秀歌を選んで番える「撰歌合(せんかあわせ)」、特定の個人の歌を番える「自歌合(じかあわせ)」、和歌と漢詩を番える「詩歌合(しいかあわせ)」、流布した物語中の和歌を番える「物語合」などもある。[橋本不美男]

 

<形式>

 

歌合の行事形式が相撲節会(すまいのせちえ)に酷似している。

相撲は昔「すまい」といい、その「すまい」の形式をまねて生まれた。

いわば歌相撲といった興味から始められたものとも考えられる。

 

歌論:〈歌論〉をさかんにした契機に、歌合があった。

物合:物合は歌合、相撲(すまい)、競馬(くらべうま)、賭射(のりゆみ)などとともに〈競べもの〉の一種

歌合(うたあわせ):左右二組にわけ 詠んだ歌を比べて優劣を争う。左右両陣の念人によるディベートによって判者の判定で決める。

方人(かたうど):歌会の歌を提出する者。今日では、念人と同一。

念人(おもいびと):自陣の歌を褒め、弁護する役。敵陣の歌の欠点を指摘して議論を有利に導く。

判者(はんざ):左右の歌の優劣を判定して勝敗を決める審判役。持(じ;引き分け)もある。

講師(こうじ):歌合の場で歌を披講(ひこう)(読み上げる)する。現代では特に置かない。

判詞(はんし):判者が述べる判定の理由。とくに歌合・句合において、判者が番(つが)わされた左右の歌・句についての優劣を勝・持(じ)(判定しがたい場合)とし、その判定理由を書いた詞をいう。判定の詞(ことば)を判詞という。判詞は歌論へとつながっていった。

題(だい):題詠

左方(ひだりかた)・右方(みぎかた):左右各5名に分かれ左方は赤装束、右方は青装束。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.19

〇ヴォーカリストになるために必要な科目

 ヴォーカリストになるのには、よく聞き、感動し、それを自分で表現できる技術をもつことです。しかし、次のように考えると、体系づけて効率よく基本のトレーニングができるでしょう。

〇メインカリキュラム 

                       

チェック欄

1.言語             音声学、語学(聴音、発音)、朗読

2.音楽理論    和声、対位法、楽典

3.発声法      ヴォイストレーニング

4.音楽的基礎  ピッチ、視唱と聴音、リズム

5.鑑賞、レパートリー研究、ライブ研究

6.体力づくり  柔軟、体力、運動神経と反射神経、集中力

〇サブカリキュラム

1.楽器

2.演技、ステージマナー

3.ダンス、リトミック

4.音楽史

5.一般教養

6.作詞、作曲、アレンジ

 チェック欄に自分が必要なものを選び、それを学ぶ方法手段と、習得する期間(予定)、費用などを具体的に記入しましょう。

〇音を即興で立体的に捉える

 音楽を感じ、感じたものを表現するために心の準備をしましょう。次の順にやってみてください。できたら、100400字くらいで感じたことを書きとめてみましょう。

1.心のトレーニング…ものごとを素直に受け入れる心が大切です。「音楽と心について」をテーマに、考えてみましょう。

2.聴感覚トレーニング…音に対し、何かを感じ、その音の動きを感じてみましょう。

3.即興で音をとる…ひとつのフレーズを聞いて感じたままにそのとおりのメロディでいろんなパターンを口ずさんでみてください。

4.コードをイメージ化する…ドミソシ、ドミソラ、ドミファラ、ドミファラのフラットなど、4つの音をゆっくりと弾き、その違いを感じてください。

5.音を定め、動かし構成する…先の4つの音を適当に繰り返して、自分の好きなように構成してみてください。本当に好きな感じがでるまで、つきつめていってください。音や数は変えても構いません。一番好きだった進行を書いてみましょう。

〇読譜力をチェックする

1.リズムを叩く

2.音階で読む(移動ド)

3.音階をとる

4.リズムと音階をとる

5.歌詞をつけて歌ってみる

〇聴感覚とイメージ能力を伸ばす

 聞くことに集中してみましょう。暗闇で聞こえてくる音を頼りにいろんなイメージを思い浮かべてみます。ラジオでもCDでも、風の音でも構いません(400字でその音の風景[Sound scape]を書いてみましょう)。

〇声について知る

 声について知りましょう。自分の声を知ることは、とても難しいのです。ですから、他の人の声をよく聞いてみましょう。自分がよい声だと思う人をあげてみましょう。その声がどうしてよいのか、どういう特色があるのかを考えてみましょう。ヴォーカリストのほかにも、俳優、声優、キャスター、アナウンサーなど、プロとして声を使っている人の声を聞き比べましょう。

〇感動した曲を聞き直す

 今までに、自分の感動した曲と、その理由を書き出してみましょう。声の質、メロディ、歌詞、雰囲気など、何に心をとらわれましたか。また、その曲のどの部分に心が魅きつけられましたか。ヴォーカリスト以外でも構いません。曲でなく、舞台や映画、番組などもよいでしょう。できたら聞いた年代順に年表式に仕上げるとよいでしょう。

 「自分の音楽史」をつくるのです。

1.年( 歳)  

2.曲とアーティスト  

3.感動した理由

〇発声法のイメージを歌からつかむ

 最初はヴォイストレーニングをしながら、声を深めていきましょう。

 共鳴(ひびき)は、音の高さ(ピッチ)、長さ、声量によって変わりますが、極力、音色は変わらないようにしましょう。音色の作成については、一流ヴォーカリストの歌を聞き、そのイメージを参考にします。一流のヴォーカリストの歌をBGMに合わせて歌ってみて、録音し、それを何度も聞いてどこが違うのかを書き並べてみましょう。ことば、発音、音程、リズムも大切ですが、特に声の質や太さ、統一性、切り方、伸ばし方、強弱、ひびかせ方などに注意してチェックしましょう。

 自分の心が動いた一流の作品、歌から音楽ごと、そのヴォーカリストを全身を耳にしてイメージコピーします。(キィは下げても構いません。サビ、高音よりも、出だし、低音や中音域での緊張感とヴォリューム感の違いに注意して、比べてみましょう。

〇言語でのトレーニング

 

 

 歌には、いろんなことばがついています。ことばを使ったトレーニングをしましょう。

 

 たとえば、ある役割を自分の声で演じてみます。(テレビドラマなどの場面から、まねしてみましょう。できたら、歌のなかで、せりふでいわれているところなどをまねてみるとよいでしょう。)

 

1.おかみさん

 

2.子供

 

3.おじいさん

 

4.政治家などの職業(アナウンサー、タレント、社長、八百屋さん、学校の先生など)

 

 他の人のもつ音色、音の強さ、アクセント、ひびき、抑揚、くせなどをよく観察してみましょう。うまくできたものから評価してみます。このとき、あまりに自分の性、年齢にあわない役割は喉に過度の疲労をもたらすので、気をつけましょう。仮に、その役割がやりたくとも、長くやるのは声のためには決して得ではありません。歌うときには、さらに、過大な負担がかかります。人まねで歌う必要はありませんが、ここでは、他の人の声をまねることで声についての理解を深め、声を柔軟に使えるようにすることがねらいです。

 

 

〇模倣から入る

 

 

 顔つき、姿勢、口の開け方など、さまざまに工夫して、どこをどのようにすれば声が似るのか徹底的にチェックしましょう。イッセー尾形、清水ミチコ、タモリの腹芸などの研究もよいでしょう。

 

 イメージをうまくとり入れる、つまりはなり切る能力は、演技の上でも基本です。そこに、自動的に声が伴う柔軟性が身についてきます。すると、イメージを思い浮かべるだけで、そのような声となります。最初は、動物のまねなども効果的です。

 

 さらに、感情の描写をしてみましょう。

 

 ことばは記号としてことばだけを伝えるものではありません。ことばを口に出すことで、そのことばにある風景やイメージがそこに現出してこなくてはならないのです。

 

 

〇ものまねから、オリジナルの表現へ

 

 

 自分の好きな歌を聞いたままに、歌ってみてください。ただし、自分の自在に操れる声域、声量を越えて行なわないようにしてください。ことばがしっかりといえない音の高さのところでは、やらないことです。

 

 何度もよく聞いて繰り返していくと、イメージが固まってきて、かなり似たように再現することができるようになってきます。これだけでは、ものまねですが、ここまでに学ぶべきことがたくさんあります。耳がよいことはヴォーカリストの基本的な条件です。瞬時にコピーできる器用さは、一つの武器になります。正しい発声にイメージで矯正していくことができるからです。耳をよくすることに充分に時間をさいていきたいものです。ものまねのレベルで、自分がどう表現したいかをつきつめていくのです。ものまねのなかで自分の表現したいものとどう違うかをつかんでいきます。ものまねで必ず働いてしまう不しぜんさをなくしていくと、本物のあなたの表現が出てきます。それに気づいていくことです。

 

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.17

〇声と言葉の響きをよくする

 

ここでは、声の感じをよくするための準備となるトレーニングをします。

身体の筋肉が硬直していては、声はうまく響きません。顔も同じです。日頃から大きく表情筋を動かすトレーニングをしておきましょう。表情の豊かなことが、声の表現力を高めるのです。

次のトレーニングを組み合わせて、自分のメニュをつくってみましょう。

 

[頬のトレーニング]

1.両頬に呼気を送り、ふくらませ、その後、両頬を吸い込む

2.頬の左右、上歯茎の上方、下歯茎の下方と4方向を部分的にふくらませる

 

[眼のトレーニング]

1.力強く眼を・閉じ、開く

2.眼の玉を左右、上下、左回り、右回りと動かす

 

[眉毛のトレーニング]

1.思いっきり眉毛をつりあげる

2.しかめっつらをして、眉毛を下げる

 

[声に感じを出すトレーニング]

1.今後ともよろしくご指導ください。

2.誠に申し訳ございませんでした。

3.さようでございましたか。

4.いつもお世話になっております。

5.ご迷惑をおかけしております。

 

〇張りのある声で元気一杯に 

 

いつもハキハキしていて、きれいに言葉を発せるように心がけると、いざ話すときにも苦労しないと思います。声に張りがなく言葉が不明瞭なのに、人前で話すときだけよくなるということはないでしょう。ふだんの生活から注意しましょう。「声に張り」を感じるのは、メリハリをしっかりつけてきちんと意味を伝えましょう。

言葉が明瞭に聞こえているか、しっかりとその言葉の意味が伝えられているかをチェックしてもらいましょう。

言葉のトレーニングはなるべく大きな声で行いましょう。毎日続けていれば必ず声もよくなってきます。

トレーニングをきっかけに声を意識して、その結果、普段の話し声もよくなるものです。言葉のトレーニング、とくにこのトレーニングで、はっきりした発声を身につけてください。

 

[張りのある声をつくるトレーニング]

1.いらっしゃいませ。

2.お見えになりますか。

 

[宴会の司会でのトレーニング]

「今日はカラオケ大会やビンゴ大会など、さまざまなお楽しみ企画が目白押しです。皆さん、大いに食べ、飲んで、どうぞリラックスしてお楽しみください。」

 

[言葉をていねいにしっかりと発するトレーニング]

次の言葉を力強く、はっきりと言ってみましょう。

1.このたびは、大変、お世話になりました。

2.ご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。

3.皆さんはこれからどうなさるのですか。

 

〇速いテンポで、滑舌よく話す

 

明瞭な発音のためには、唇、あご、舌、喉(声帯)などが、スムーズに連動していなければなりません。話すときに、いつでも、これらに注意していると、頭が痛くなってしまうでしょう。しかも、明瞭な発音をしようとするほど、不しぜんになってしまいがちです。

これは、身体の余分な部分に力が入ってしまい、うまく動かなくなるため、流れが止まったり、崩れてしまったりするのです。「発音より発声、発声より音の流れを優先する」ことです。その中で、ことばをのせていくか、ことばで言い切って、それを音の流れでつないでいくつもりで行いましょう。

口を開けすぎ、動かしすぎて、唇やあごの運動にエネルギーを多く使うと、ことばにするときに喉、舌の運動にエネルギーや気持ちがまわりません。

役者などのことばの基本トレーニングをしましょう。単に早口ことばのように速くしゃべるのではなく、お腹から声で、ことばにメリハリをつけましょう。

 

[ことばを発音するトレーニング]

・高低アクセントやイントネーションを無視して、すべて同じピッチ(音の高さ)、同じ音の長さで読みます。日本語のうまい外国人の日本語の話し方をイメージしてください。ラップ的にリズムをつけてもよいでしょう。

・そこで声の高さを高くしたり低くしたり、いくつかパターンを変えてやってみましよう。

 

〇日本語のアクセント

 

日本語の言葉をはっきりと伝えるためには、発音のほかにアクセントを正しくすることが重要です。日本語は第一 音がとても大切なので、どうしても高めに入ります。また日本語アクセントには、高低、低高低はあっても、低高、低低高はありません。つまり音が少しずつ下がってくるため、高めに入らないと低くこもってしまうのです。

 

[高低アクセントのトレーニング1]

「雨(アめ)・飴(あメ)」「去る(サる)」「きれいだ(キれいだ)」「寒い(さムい)」「赤い(あカイ)」「行く(いク)」「さて(サて)」「それでは(そレデハ)」

 

[高低アクセントのトレーニング2] 

「足袋(タび)・旅(たビ)」

「二時(ニじ)・虹(にジ)」

「石(いシ)・医師、意志(イし)」

「都市(トし)・年(とシ)」

「咳(せキ)・席(セき)」

「電気(デンき)・伝記(でンキ)」

「神(カみ)・紙、髪(かミ)」

「朝(アさ)・麻(あサ)」

[高低アクセントのトレーニング3]

平板型(低高高/低くならない):「葉が(はガ)」「鼻が(はナガ)」「日が(ひガ)「桜が(さくらガ)」「鳥が(とりガ)」「水が(みずガ)」「私が(わたしガ)」「友達が(ともだちガ)」「赤ん坊が(あかんぼうガ)」「花王(かオウ)」「神田(かンダ)」「らくだ(らクダ)」

尾高型(低高高[低]/助詞が低くなる):「花が(はナガ)」「妹が(いモウトが)」「休みが(やスミが)」「男が(おトコが)」「山が(やマが)」「案内書が(あンナイショが)」

頭高型(高低低[低]/2拍目で低くなる):「木が(キが)」「火が(ヒが)」「姉さんが(ネえさんが)」「緑が(ミどりが)」「春が(ハるが)」

中高型(低高低[低]/途中で低くなる):「お菓子が(オカしが)」「湖が(ミズウみが)」「日本人が(ニホンジんが)」「土曜日が(ドヨウびが)」

 

[高低アクセントのトレーニング4] 

頭高型と尾高型:「朝(アさ):麻(あサ)」「アナ(アな):穴(あナ)」「籍(セき):咳(せキ)」「足袋(タび):旅(たビ)」「tuna(ツな):綱(つナ)」「鶴(ツる):蔓(つル)」「都市(トシ):歳(とシ)」「訳(ヤく):約(やク)」  

 

〇イントネーション

 

イントネーションは、告知、断定、問いかけ、念押しなどの表現となります。そのため言葉の意味するニュアンスを発見し、感じることが大切です。そうするうちに、言葉の一つひとつに情感が入るような表現ができるようになります。こうした音に、感覚として声を動かす快さをとらえていくことが、何よりも確実な上達への道となります。

 

「身体の力」 No.401

どこでも、メンタルの問題が大きくなっているようです。

本当の弱者の救済は必要ですが、

弱者というのをどこで区切るか、難しいですね。

 

弱いというのは、思い込むと、きりがなくなるものです。

それでよくなるならよいのですが、執着すると、

それに取り憑かれかねません。

それもその人であり、そういう人生なのですが、

新しく切り拓く力を妨げるように思えるのです。

ますます弱くなってしまうのなら、よくないでしょう。

 

私はできる限りの自助努力でコントロールしようという考えです。

頼らざるをえないときは、頼るのは必要ですが、

できるだけ、何かに身を預けたくないと思ってきました。

 

心の衰弱は、身体で切るのがよいので、運動がおすすめです。

でも、メンタルがそれを超えて、

身体に影響してくると、厄介になります。

そういうときは、充分な休養をとり、リセットを心掛けましょう。

閑話休題 Vol.93「城」(2)

三人の武将と城

 

〇織田信長

 

本拠の城を頻繁に変える。

「勝幡城」(しょばたじょう)に生まれる。

築城の技術とまちづくりを追求。

最初に築いたのは小牧山城、見上げるような総石垣を築き、まっすぐな「大手道」。

織田信長の天下構想が、お城や城下町。「楽市楽座」、商人や工人の城下町を形成。

1555年(天文24年/弘治1年) 清州城、一族間の内紛を鎮めて、尾張統一。

1563年(永禄6年) 小牧山城

1560年(永禄3年)桶狭間の戦い 美濃攻めの準備として小牧山に城を築いて拠点。

1567年(永禄10年) 岐阜城 斎藤氏が籠っていた美濃の稲葉山城を4年かけて制し、岐阜城の大改修。地名を「井ノ口」から「岐阜」へと変更。

1569年(永禄12年) 二条城 足利義昭を擁して上洛を果たし、京都の拠点。現存する二条城とは別

1576年(天正4年) 安土城 琵琶湖のほとりに築城。最上階は金色、下階は朱色の八角形の57階の建造物で、住み、来賓を迎えるため贅を尽くした

 

〇豊臣秀吉

 

大坂城、イエズス会宣教師「ルイス・フロイス」は、すべてにおいて、信長の建造物を上回ると。天守は生活の場ではありません。金銀や高価な武具、茶道具などの財宝で飾り立て、賓客を招いては、財宝を見せびらかした。表御殿の黄金の茶室から「三国無双」と呼ばれた天守、洋風ベッドを置いたという奥御殿の寝室。

1566年(永禄9年) 墨俣城、斎藤軍の前で、数十日間で完成させて、美濃攻略が前進。

1574年(天正2年) 長浜城、浅井長政を制し信長からの土地に築城。城下町として統治。

1580年(天正8年) 姫路城 信長に中国地方の攻略を命じられて、播磨へ進出。黒田官兵衛の姫路城を大改修して、毛利家との闘いに備え。

1583年(天正11年) 大坂城 三重の堀と運河に守られた要塞。城内には山里のような風情を持つ山里曲輪(城内に庭や池、茶室を設けた曲輪)も造り、大名や有力商人達を招き茶会や花見を楽しみました。

1586年(天正14年) 聚楽第 京都における滞在所。天皇などを迎えるための、政庁の役割

1590年(天正18年) 石垣山城 敵からは一夜で築城したように見えた。

この年、小田原城を落として、天下統一。

1591年(天正19年) 名護屋城 8ヵ月の工事で肥前に名護屋城、朝鮮半島へ出兵する拠点。

1594年(文禄3年) 伏見城 隠居所として聚楽第の一部を解体して築城。地震で倒壊したため、木幡山に移築。この伏見城で病死。

 

〇徳川家康

 

1603年(慶長8年)に征夷大将軍となると、江戸を天下の政庁とする

姫路城に類似した、大天守と小天守を組み合わせた連立式天守。大天守も圧倒的な大きさで、石垣を含めた城全体の大きさは、およそ68m。複雑で防御性の高い天守曲輪(詰丸)を備える、南側の大手には五連続の外桝形を連ね、かつ北側には三連続の「馬出し」を配置。

 

1560年(永禄3年) 岡崎城 家康生誕。人質として身を寄せていた今川義元が桶狭間で戦死し、岡崎城に戻りました。

1570年(元亀1年) 浜松城 今川家の浜松城を攻略。武田信玄の侵攻に備え、本拠地を移しました。

1586年(天正14年) 駿府城 駿河の支配を目指して築城。

1602年(慶長7年) 伏見城(改築)二条城

1600年に「関ヶ原の戦い」で勝利し、天下取りに成功。伏見城を経て、二条城を造営。

1604年(慶長9年) 江戸城

1603年(慶長8年)征夷大将軍に任命され、江戸幕府を開府しました。

1610年(慶長15年) 名古屋城 尾張国統治の拠点を名古屋に制定。

1615年 徳川幕府によって「一国一城令」

1616年(元和2年)に隠居し、大御所、駿府城で病死。

 

〇奄美・沖縄地方「グスク」

 

グスクの石垣と建築群(首里城。沖縄県那覇市)

鹿児島県の奄美諸島および沖縄地方の城は「グスク」または「スク」と呼ばれる。

12世紀、沖縄地方に点在していた領主の「按司」(あじ)の居城で、城内に「ウタキ」(御嶽)や「ウガンジュ」(拝所)と呼ばれる沖縄地方特有の信仰施設を持つ。

三山時代に多くのグスクが築かれ、現在までに見られる。土木や建築の技術、特に石垣は日本内地の石垣とは異なり、琉球石灰岩を加工した石積みの石垣で、外観も曲線をなして角さえも丸みを帯びている。

中国や朝鮮半島で「馬面」(マーミェン)や「雉」(チ)と呼ばれる横矢がかりの出張りや、城門においては牌楼や石造のアーチ門(拱門)が見られる。

舎殿のほか、櫓としては門上の櫓のみである。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.18

失われた声を取り戻す心を感じ声に表現する 

ヴォイストレーニングメニュー100

67 都の西北

 腕を振りながら、早稲田大学の「都の西北」をうたう。

 他の校歌や寮歌でもよい。

 68 キック

 「エイ」とキックしながら、声を出す。

 69 腰振り

 ツイスト、ゴーゴー、イケイケ

 お好きなスタイルで。

 70 胴上げ

 「ワッショイ、ワッショイ」

 おみこしでもよい。

 71 お経

 「ナムアミダブ…」「ナンミョウホウレンゲイキョウ…」ご利益がある。

 72 笑いの増幅リレー

 一人が笑い出したのを受けて、全員で笑う。

 おたがいに指さすと効果的。

 73 まねする

 TVをつけ、しゃべっている人々の表情、音量をまねる。

 74 なわとび

 「123…」

 カウントして縄をもっているつもりで飛ぶ

(複数のときは「お入んなさい」で…)。

 75 倒立声出し

 逆立ちをして声を出す。

 頭をつけるヨガの倒立でもよい。

 76 ウエーブ

 手を上にあげてゆらす。一人でもよい。

 77 ネコののび

 昼寝から目ざめたネコのまねをする。

 78 カラス

 夕暮れを思い浮かべて

「カァ、カァ、カァ、カァ、カァ…」

 79 背中で語る

 相手の背を見て考えたこと、思い浮かべたことをあてる。

 80 頭で語る

 テレパシーで、相手の考えたこと、思い浮かべたことをあてる。

 81 お茶くみ

 熱いお茶を運び、人にまわし、飲むところまでパントマイムで。

(同じく、着る、脱ぐ、顔を洗う、シャワーをあびる、入浴する)

 82 インディアンの歩き方

 胸を張ってその勢いで前に進む。

 ぐるぐる円を描いてまわる。

 83 関西弁

 関西弁でしゃべりまくる。次に広島弁、博多弁などで。適当でよい。

 84 カクテルパーティ効果

 他の全員が大声で邪魔するなかで1対1で聞きとり、話す。

 85 ドロボウと警察ゴッコ

 二者の心理になって尋問のやりとりをする。

 86 ナンパ

 ナンパのトレーニング。

 87 性転換

 女は男ことば、男は女ことばを使う。

 88 イタイ!

 痛みを思いっきり表現する。「Ouch!」(アウチ!)

 89 性格占い

 自分の性格をものに例えたり、ことばで表現する。

 90 花鳥風月

 火、水、花など、しぜんの風物の一つになる。

 91 風水の術

 ことばの出るまえの心の動き(風)を感じる。

 風が流れるか、感じるか、響くか、そのことに集中して、風と一体になる。水になりきる。

 92 ものになりきる

 「あつい雲よ」「私の海、ふるさと」

 その気にじっくりなるまで待って、実感できたらことばにする。

 93 笑わせる

 人を笑わせてみる。

できたら、ことばで、無理ならくすぐってもよい。

 

 

 94 死ぬふり

 

 死んだふりをする。

 

 息をひそめじっとしている。

 

 

 95 いびき

 

 思いっきりいびきをかいてみる(起きたまま)。

 

 

 96 寝ごと

 

 横になって、寝ごとをいう。

 

 

 97 内緒話

 

 声をひそめて、息でしゃべる。

 

 

 98 ギンギンギラギラ

 

 「ギンギンギラギラ夕日が沈む」を歌う。

 

 

 99 ふくろう

 

 ホーホーッと高低いろんな高さで鳴く。

 

 

 100 ハッケヨイ

 

 行司役をやってみる。

 

「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.16

〇子音のトレーニング① カ行とガ行

 

カ行音の成り立ち

カ行の子音「k」は、奥舌と軟口蓋でつくる破裂音で、奥舌を軟口蓋につけて息の出口をふさぎ、息を吐き出すとき、この閉じた部分を突き破ることによって発します。

 

濁音と鼻濁音

ガ行音はさまざまに発されます。学問の「ガ」は、濁音で発音します。ところが、音楽(オンガク)の「ガ」は、濁音と鼻にかかった鼻音とに分かれます。破裂音で濁音「g」に、ガと鼻から抜いたやわらかい「ガ」となるのです。これを鼻濁音と呼びます。

 

〈カ行のトレーニング〉

カ 金で母さん、悲しませたか/噛んだら噛むだけ辛いカラシ/重ねて確認、確実に

キ きっとキミは来てくれる/気さくで気がつき器量よし/地球の危機きっとくる

ク 黒い鯨の口/熊本の空港にくる/ひゃっくり、びっくり、くりくりの目

ケ 経験は人間を形成する/今朝すごいけんまくで喧嘩した/やけ酒のわけ

コ 子供の心に入り込む/今度、近藤さんと来よう/濃いコーヒーよリココアが好み

 

〈ガ行のトレーニング〉

ガ ガサツでガミガミ外国人

ギ 銀座の銀行義理づきあい

グ グッチにガマグチ、グチを言う

ゲ ゲコゲコ、玄関に一撃

ゴ ゴマすり、ゴリゴリ、ご苦労さん

 

〇子音のトレーニング② サ行とザ行

 

シとサスセソの違い/シとスィの違い

「刺す」と「死す」の発音を比較し、呼気の通るすき間の位置を比べてみてください。サは舌先が上歯ぐきの裏に近づくのに対して、シは舌の上面の前の方が、上あごの前方の硬口蓋に近づき、舌先の下がサと違い、下歯ぐきの裏から離れた状態で発されます。先生を「シェンシェイ」となまるのは、この混同です。スェスェ、スェンスェン、センセイとくり返して直しましょう。

 

ザ行音の成り立ち

ザ行は「サ」と違い、舌先がまず上歯ぐきの裏に接します。それを押し破って、破裂音とし、そのすき間から生じる摩擦音が加わって「dz」の音をつくります。このように破裂音と摩擦音の組み合わさった音を破擦音といいます。ちなみに、風邪(カゼ)が「カデ」となる人は、舌が歯ぐきから離れるからです。

 

〈サ行のトレーニング〉

サ さざなみのささやき/サメとサバとサンマ/さっさと財布を探さなきゃ

シ シタールの静かな調べ/知ったら嫉妬、知らぬが花/椎茸と塩を仕入れる

ス 透き通る素肌ヘキス/すべてを捨てて救う/炭火を入れるのが済む

セ 背骨を矯正する先生/せせらぎと船頭の声/背伸びする制服の生徒

ソ そばでそつと添い寝する/食欲をそそるソウル/外の掃除が騒々しい

 

〈ザ行のトレーニング〉

ザ 残念、残酷、ざまあみろ

ジ じいさん、自分で、持参する

ズ ズボン、ずりおち、ずいぶんだ

ゼ 絶体絶命、銭がない

ゾ 像の銅像、どうぞどうぞ

 

〇子音のトレーニング③ 夕行 ダ行 ナ行

 

チ、ティ、ツィの違い

チ「tʃi」をささやくように「チー」と伸ばして発音すると、最初の「チ」の音のあとに、「シ」のような摩擦音が「シー」と続きます。「アチー!」の「チ」です。「ティ」ではありません。

ティ「ti」、ツィ「tsi」を伸ばすと、「イー」となります。この2つは、ティーポット、ツィードなどの外来語の発音以外は使いません。

 

ダ行音の成り立ち

「ダ、デ、ド」は、夕行が無声音、ダ行音は有声の破裂音です。ヂとヅは音の上では、ジとズと同じです。「ヂャヂュヂョ」も「ジャジュジヨ」と同じで、特別なとき以外は使いません。

このように、ザ行音と共通のところが多いので、「ダデド」と「ザゼゾ」を混同しないように注意しましょう。「さざ波」が「サダナミ」、「なでる」が「ナゼル」、「のど」が「ゾ」になる人は、要注意です。

 

ナ行音と夕行音

ナ行は、舌の接するところは夕行と同じです。夕行音は破裂音ですが、ナ行音は舌を歯ぐきにつけたまま、息を鼻へ抜く鼻音になります。

「ナ」は、そのまま声を出さなければ、鼻から息が静かにもれます。そこで、鼻に手を当てながら「ナ」を発音すると、声が鼻に響いて振動するのがわかるでしょう。ナ行音は、鼻にこもらせないことがポイントです。

 

ハミングとナ行

響きを集める目的で、ハミングを使ってみましょう。

口の中を閉じ、唇も軽く閉じます。その状態で鼻のつけ根を意識してハミングをします。声を一点にめがけて出すようにすると、響きがまとまります。

やりにくければ、MinMin…と声を出してみましょう。Na(ナ)やNya(ニャー)でも、かまいません。口の中を響かせようとして口を開けすぎないように注意してください。

 

〈夕行のトレーニング〉

夕 たまに玉ネギを使った/楽しい旅をしたい/ただで食べるタコ焼き

チ 知恵と力で勝ち取る/塵はきちんと持ち帰れ/地下鉄でチョコをちょっと食べる

ツ きつい靴は窮屈だ/つまみにつけたさつまあげ/つまらない付き合いを続ける

テ おてんとうさんがテラスを照らす/丁寧に手を洗う/転校生の手書きの手紙

卜 遠くにトンボが飛んでいる/灯台のともしびが届く/遠い都市の時計が止まるとき

 

〈ダ行のトレーニング〉

ダ 大ちゃん、大好き、大胆な

ヂ 赤地と白地の生地

ヅ 堤さんとつづきさんの小包

デ デレデレ、電話に出るな

ド 堂々、どしどし、どんくさい

 

〈ナ行のトレーニング〉

ナ 何が何でも夏がいい/泣き顔なのに涙がない/海原の七不思議

二 煮込んだ肉のいい匂い/二人三脚で荷造りして逃げた/兄さんを二度と憎まない

ヌ 濡れたような絹を縫う/ヌルヌルぬめる/塗り薬が塗れぬよ

ネ 寝るに寝れない熱帯夜/年々きれいになる姉さん/来年を念じながら眠る

ノ ノックののち覗く/納期でノイローゼの農民/野はのどかでノスタルジイ

 

〇子音のトレーニング④ ハ行 バ行 パ行 マ行

 

ハ行音の注意点

「h」の音は、ハーと息を吐くときの喉音です。喉の奥を「アエオ」より狭くして出す摩擦音です。「h」は咽頭からの深い声、喉声ですが、「ハヘホ」はこの「h」音と母音「アエオ」でつくられます。

「ヒ」と「シ」は調音点が近いため混同しやすく、「日比谷」と「渋谷」、「質屋」など、よく聞き間違えられます。地域によっては「ヒ」と「シ」を逆に発音するところもあります。

 

もっとも息の速いパ行

日本語を発したとき、もっとも速いのは、パ行「パピプペポ」です。波形に強い揺れが出て揺れるのです。

パ行は、唇で空気をためて、はじくように発声します。破裂させる音なので、手をあてるとわかるでしょう。一方、大声と発音の速度とはあまり関係ありません。

 

マ行音とバ行音の混同

両唇を用いる点で、マ行はバ行音と近い発音法であるため、両者は混同しがちです。

さびしい←さみしい/さむい←さぶい/けむい←けぶい/ムミカンソー(無味乾燥)←ムビカンソー/ムボービ(無防備)←ムモービなど、いろいろあります。

さびしい←さみしいのように、両方が一般化してきているものもありますが、本来の発音はどれなのかを注意することで、ことばに対する関心を高めるようにしましょう。

 

〈ハ行のトレーニング〉

ハ 箱を博物館へ運ぶ/華やかではかない花火/蜂に刺されて鼻はれた

ヒ 広い額の人にひるむ/光る瞳にひかれる/昼寝する人に昼飯広げる人

フ 不快不安感が心を塞ぐ/工夫をこらした豆腐のフライ/不意に触れ合う二人の心

へ 塀や兵器のない平和な世界/へとへとにへたばる/平気で変な返事する

ホ 星が微笑む豊作の村/頬のほてりは惚れてる証拠/本を翻訳したのは本当?

 

〈バ行のトレーニング〉

バ バイバイ、バラ色のバス

ビ ビタミンBとビタワン

ブ 不恰好な部下をブイブイいわす

べ べっぴんなベイビー、べたぼめ

ボ ボスのボサボサ帽子

 

(パ行のトレーニング〉

パ パパのパパイヤ、パイナップル

ピ ピチピチのヒッピー

プ プータローは、プリンス、プーさん

ペ ペリカン便、ペダルでペチペチ

ポ ピンポン、パンポン、ポンポンド 

 

〈マ行のトレーニング〉

マ まるで待ちかねたように松の木/前々から前歯が曲がっていた

ミ 耳に水が入る/未知なる道を見つめる/みんなで未来を見つけよう

ム 無邪気な娘に夢中/息子は六日に婿入り/昔むかしの虫かご

メ 名月に女神を愛でる/しめしめ、しめじ飯だよ/迷宮で女神にめぐり逢う

モ 桃をもらって来い/もうモラルをもとう/身も心も燃え立つ

 

〇子音のトレーニング⑤ ヤ行 ラ行 ワ行

 

ヤユヨとは

ヤユヨは、「イア」「イウ」「イオ」のように、「イ」の口の形をして「ア、ウ、オ」を発音します。そのため、イ、ユ、ヨが混同されています。行く(ユク、イク)、良い(ヨイ、イイ)などです。これはどちらも認められています。力が入ると、「ヨコハマ」が「ィヨーコハマ」のようにねばっこくなってしまうようです。

 

R」「L」の発音

ラ行は、日本人にとってはなかなか難しい音で、いくつかのパターンがあります。「ホラーッ」のような、はじめるように聞こえる弾音と、「ブルンブルン」というときの強い震え音、巻き舌で話すときの音です。

英語の「L」の発音は、前もって舌先が歯ぐきに触れていて跳ねる音です。ラジオ、ロボット、リズムなど、語頭に多く用いられます。

R」の発音は、舌先は軟口蓋で口の奥で発し、Rは唇を丸め、舌先を上(口蓋)につけず口先で発します。

 

「わたし」と「あたし」

ワ行の「w」は、口構えをウ「u」に近い形にして発する両唇摩擦音です。しかし「w」は、英語の発音ほど両唇を近づけません。「わたし」と「あたし」を区別できますか。

 

〈ヤ行のトレーニング〉

ヤ 深夜の山はやばい/闇の中で優しい声に安らぐ/安い八百屋が休み

ユ 湯上がり、雪でゆとりの日/優雅な百合の花/憂鬱は優柔を誘発する

ヨ 夜な夜なヨーグルトを食べる/陽気な妖精と夜を明かす/よそよそしさを装う

 

〈ラ行のトレーニング〉

ラ ラベンダーとバラの快楽/ライブのラストはラブソング/桜は暗いときに開く

リ 理想を力説するリーダー/リリカルな輪郭と彩り/漁師の料理が立派にできた

ル 投げる走るも攻めるが肝心/落雷のなか落涙する/留守にルビーを盗まれた

レ 彼は熱烈で華麗、でも冷淡/レンガづくりの歴史的レストラン

ロ 浪曲を6曲録音する/ロザリオを持つ牢屋の老人/路地をうろついていろ

 

〈ワ行のトレーニング〉ワ 私は笑いながら別れをかわした/忘れられない脇役の笑い声/我の脇に若い人

 

〇拗音・撥音・促音のトレーニング 

 

拗音…ャ、ュ、ョ

カ「ka」に対してキャという音があります。音韻論的には、キャはカ「ka」の中に半母音「j」がはさまって「kja」という拍(音節)になっているとも考えられます。このように子音+母音の拍(これを直音といいます)に対して、半母音が入った拍を拗音とよびます。

拗音は、音声学的にみると、「k」「ɡ」「ŋ」「b」「p」「m」「ɾ」は、半母音「j」を経て母音「a」「u」「o」につながる音であり、その他は「ʃ」「ʒ」「」「」「ɲ」「ç」に母音「a」「u」「o」がついたものです。また、千住(センジ)、手術(シュジツ)、新宿(シンジク)などのように、拗音なのに、拗音でない発音になることもあります。

 

撥音…ン「m」「n」「ɳ」「ɴ

撥音は、両唇や舌などで口からの呼気の出口を閉じ、鼻腔へ逃がす音です。文字は同じ「ン」で表記しますが、後にくることばによっては音は違います。             

原則として、「ン」のあとに「p」「b」「m」の両唇音がくる場合は「m」の音になります。「t」「d」「n」「r」などの歯ぐきと舌先を使う音がくるときは、「n」の音。あとに「k」「ɡ」「ŋ」(鼻濁音)など軟口蓋と後舌でつくる音がくる場合は「ɳ」の音。「s」「a」「o」「u」「w」「i」「e」「ʃ」「j」などの音の前にあるンは、聞き取りにくいので、はっきりと出すようにしましょう。繊維(センイ)、官位(カンイ)など、「ン」のあとに「い」がくると、難しいです。

 

促音…っ

促音は、小さい「っ」を使って表記します。そのあとに続く音を発する口構えのまま一拍分、息をこらえます。そして、次の音を強い息で出します。つめる音、つまる音で圧迫した声の出し方で、日本語の特徴のひとつです。ガッカリは「k」の口構え、ヤッパリは「p」の口構えとなります。いつも小さい「っ」の発音が伴うとは限りません。

促音が小さい「ッ」で表記されるため、たとえば「カムチャツカ」(×カムチャッカ)、「かつて」(×かって)、「トロツキー」(×トロッキー)など、本来促音でないものが、促音のように間違って発音されるケースもあります。

 

「華奢でキュートなギャルは、社長の出張に躊躇した」

1)キャキュキョ「k」ギャギュギョ「ɡ」ギャギュギョ「ŋ

2)シャシュショ「ʃ」ジャジュジョ「dʒ」

3)チャチュチョ「」ニャニュニョ「ɲ

4)ヒャヒュヒョ「ç」ビャビュビョ「b」ピャピュピョ「p

5)ミャミュミョ「m」リャリュリョ「ɾ」

 

〈撥音のトレーニング〉

「仙台の新聞社でガンガン働いている」それぞれの「ン」の違いを知りましょう。

n:仙台、先頭、宣伝、反対、残念、線路

m:新聞、先輩、連盟、憲法

ŋ:ガンガン、散会、宣言、演劇

 

〈促音のトレーニング〉

「やっぱり、がっかり。やっただけでおわった。」

 

「学ぶということ」 No.400

「いろんな本を読んでから、レッスンに出た方がよいのでしょうか。」

と聞かれることがあります。

 

レッスンを最大限、有効に生かすためには、

まずは自分を白紙にする方がよいです。

もちろん、頭も。

 

これまでのことは、忘れましょう。

 

学んだことが邪魔をするということは、往々にしてあります。

しかし、学んでいなければ、いろいろと邪推することになります。

 

一度、全てを受け入れつつ、徐々に多くに学び、

その都度ではなく、ストックして、

いずれ取捨選択されていくのを待つことです。

どちらにしろ、切り替える能力をつけて、対応していきましょう。

 

 

自分の頭、

自分の身体、

他人や専門家の頭、

自分の直感、

専門家の大局観、

しぜんの道理へと

学びを深めていくのです。

閑話休題 Vol.92「城」(1)

歴史

古代から江戸末期までに平地や丘陵、山を利用して築かれた。

城は中世から明治時代までに築かれたもので、武家や城主などが敵対する武力集団から守るための防衛施設である。

 

紀元前3世紀~3世紀(弥生時代)

環濠集落 城の起源は、弥生時代、農耕のはじまり、集落のまわりに「濠」と呼ばれる溝を掘り、その外に土を盛り上げて土塁を築く。

 

〇古代山城

 

7~8世紀 博多湾奥に築かれた「水城」(みずき)や、太宰府に百済人らによって造られた「大野城」(おおののき)。「朝鮮式山城」と呼ばれています。他にも東北蝦夷地への侵略のため、東北に19の城柵を設置。

多賀城や秋田城は、陸奥鎮守府や出羽国府となり、政治・経済の中心部として機能。

 

〇近世城郭

 

利便性の高い平地や平地に近い丘陵にも多く築かれるようになった。

山城の麓に館を営んで生活や政務を行っていた城主は、有事のときにだけ城内に生活の場所を移す。寺院建築や住宅建築の特徴を取り入れ、日本城郭特有の天守のような重層な櫓の要素をもった楼閣建築に。城の外観には権威をしめす目的も含まれるようになり、独特な形となった。

11~14世紀 戦時に使用するため、小規模ながらも防御能力の高いお城が発達。

楠木正成による「赤坂城、千早城」の籠城戦では、約100日間立てこもって鎌倉幕府の大軍を撃退。以後、武将の間に籠城による戦法、山城で、軍事的拠点。

堀や土塁、曲輪(くるわ)

土で築かれ、建物は木造。堀の幅は、およそ五間(約10m)前後、弓矢の射程。

 

戦国時代、火縄銃に塀や建物で防弾する必要が生じた。内部に石や瓦礫を入れた分厚い土壁(太鼓壁)やおもに寺院に使われていた屋根瓦、銃弾の届きにくい幅の堀、そして石垣が多用される。

お城を中心として、武士、町人などが生活する城下町が形成、経済の中心。

平野に築かれる「平山城」。行政の拠点。

16世紀後半 天下統一の機運が醸成されると、大きな天守を持ち、大規模化。権力の誇示。

 

〇「城 ()」「城柵」の定義

 

日本では「城」を“き”と読み、「柵」の字も用いた。

城の一部、施設を館や塔、城壁、堀、城門と呼ぶのに対し、全体を指し示す場合には、城郭。

敵との境界線に近い前線の要塞を「出城」と言い、主戦場を指す語にもなる。

 

ヨーロッパ、中国などの大陸では、都市を囲む城壁と戦闘拠点の城砦(城塞、城館)とを区別する。「城」は、本来は、城壁都市を意味する。

日本では城壁で囲まれた城壁都市が普及せず、主に後者の城砦の意味で使用される。

 

「柵」は主にヤマト王権が東北地方に設置した政治行政施設を併設する防御施設(城柵)を意味する。

「城」は水城や大野城のような西日本に点在した古代山城や防壁の類いを意味する。

 

大和政権が唐や新羅からの侵攻を想定して、滅亡した百済から日本に亡命した人々の指導によって築かれた。版築土塁の外郭城壁をもつ、後の中世以降の築城技術へ継承されなかった

 

中世、戦国時代では、小高い丘陵や山などに郭(曲輪)と言う平地をいくつか設け、その郭を柵や土塁で囲ったり、切岸と言って、斜面を急に加工して下の郭から上がりにくくしたり、堀切や竪堀という尾根を分けるように切った堀など。他の郭からの侵入を困難にした。

郭の入り口を小口(虎口)といい、その小口に門を設けたりもした(矢倉門や冠木門が主流)

大抵は、主郭(一の丸、本丸)、二の郭(二の丸)、三の郭(三の丸)と郭を名付ける。

近代以前の軍事的な防衛施設、戦闘拠点であるとともに食糧や武器や資金の備蓄場所。

城は、住居であり、政治や情報の拠点であった。

純防衛用として山地に建築されたり、街道や河川などの交通の要衝を抑えたりする。

 

〇城の機能

 

防衛機能

不意の攻撃や戦力に劣る場合、籠城する。備蓄された装備や城壁などの施設が味方の居住性を高め、敵の移動や視界、攻撃を妨害する。

攻者三倍の法則などの経験則が唱えられたが、守備側が籠城だけで敵を撃退することは難しく、援軍を待つための時間稼ぎ。

敵の侵入に備え、国境の監視などの役割も果たした。

居住性

城館は、領主の生活の場であり、政庁となって領地支配の象徴としたり、敵地への勢力拡大の前線基地とする。

都市を囲む城壁という意味では、領民の住居になった。このため生活に必要な施設が城内に全て揃えられた。農耕地は、城壁の外にある場合が多い。日本の山城などは、居住性は低い。

「ヴォーカルトレーニングの全て」 Vol.17

失われた声を取り戻す心を感じ声に表現する 

ヴォイストレーニングメニュー100

31 息の文字

 息で首や口先の方向を少し変え、文字を書く。

他の人の手に書いてあてさせる。(目をつぶってもらう)

32 声文字

 声を出しながら、両手を一本の筆先にしてひらがなを書く。

33 話しかけ

 後ろから、声をかけて話しかけ、その人の名前をあてさせる。

34 かごめかごめ

 昔の遊び方通り、童心にかえり、大きな声で。

35 通りゃんせ

 昔の遊び方通り、童心にかえり、大きな声で。

36 尻とり歌

 昔の遊び方通り、童心にかえり、大きな声で。

37 身体文字

 ひらがなを大きな声でいいながら、一息で、その文字の形を造る。なるべく大きく造る。

38 喉なで

 声を出しながら、喉をなでる。

39 あご押し

 声を出しながら、前からあごを押す。

40 息の柱

 声を出しながら、息の柱のなかにいる自分を意識する。

41 人工呼吸

 鼻をふさぎ、お腹を押して、声を「あー」と出す。

42 あいさつ

 「コンニチワ」「オハヨー」「アリガト」「オッス」と元気よくいう。

43 姿勢の変遷

 四つんばいから少しずつ、身体を起こし、猫背を経てまっすぐ立つ。そこできちんという。力を抜いてだらしなくいう。

44 態度の変容

 怒、悲、哀、喜を表情と態度だけで表わす。

45 声の芝居

 社長、受付、クリーニング屋、おじいさん、奨学生など、いろんなキャストを声で演じわけてみる。

46 声のキャッチボール

 遠くへ声を「ポーン」と飛ばす。声の野球もできる。

47 母音化

 ことばを母音だけにする。

 「とおい はるかな むかし」→「オオイ アウアア ウアイ」

 「遠く伸びていく 広がり」→「オオウオイエイウ イオアイ」

48 朗読劇

 日本語の音のひびきを感じる。

 「みちのくの 山のかなたの みずうみの底に ひとりの 主がすんでいた」

49 火けし

 「フゥ フゥ フゥー」

 片方で「ボウボウ」と火を起こす人がいるとよい。

50 犬の遠吠え

 「ウォーン ウォーン ウォーン」

51 紙ふうせん

 「パンパンパン…」と手ではじきながら。

52 実況中継

 実況のアナウンサーをまねる。

競馬、サッカー、プロレス、野球、相撲。

 

 

53 死体(ゴロリンゴロゴロ)

 

 一人が寝ころがり、一人がころがす。

 

 

54 上体倒し

 

 二人一組(身体を感じる)

 

 

55 尺取り虫

 

 腹ばいで、前進、後進(蠕動)

 

 腕だけで、前進、後進

 

 

56 尻で歩く

 

 いろいろな動きで足を使わず移動してみる。

 

 

57 わかめ運動

 

 足先だけ固定し、ゆらゆらと、波(流れ)を感じてゆれる。

 

 

58 あやつり人形

 

 頭に糸がついていると感じて、ブラブラと手足、身体を動かす。

 

 

59 スイミングの体操

 

 肩を中心に両手を逆方向にまわす。

 

 

60 スリ足

 

 スリ足で、できるだけ早く歩く。

 

 

61 ひざ歩き

 

 ひざで、できるだけ早く歩く。

 

 

62 ぬき足さし足しのび足

 

 こそ泥のように音をたてず歩く(ことばを発しながらでもよい)。

 

 

63 どじょうすくい

 

 名物どじょうすくいの通り。

 

 

64 相撲とり

 

 四股、股わりなどをやる。

 

「どっこいしょ」「オーラ」「こりゃさ」「ごんす」など、ことばをつけて。

 

 

65 天使の声

 

 天井に向けて「ラララ」「ホホホ」と明るく呼びかける、悪魔の声にならぬように。

 

 

66 あくび

 

 空気をすいこみ、吐く。あくびのまま、「あーぁ」とあくびをかみ殺しながら「あふうん」と声を出す。

«「よい声になれるヴォイストレーニング~声の科学」 Vol.15

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点