同化 No.288
○同化
高音に持っていくと、個性どころか、なおさら同じようになってきました。最近はばらけたようになっています。ステージになると、会場の音がよくなって、成り立ってしまう。そこは、よくないところです。ギター1本でとかアカペラでみたいなところから出発したほうがいい。
ストリートのライブも雑になりました。昔は暗めなりに、何かを伝えようと思って歌っていた。今は元気がいいのか、ハモッて今ひとつという感じです。
3拍子系の歌を歌ってみればいいと思います。8分の6とか12分の8とかいろいろやってみればいいと思います。
○続けてみる
自分のやりたいことよりは、何かやれること、才能みたいなことです。目標が定まっていくように使うのがいい。広い分野で、どうやったら道筋がたつかわからない。それを学びにきて、先生と詰めていくこともある。その期間にも、いろいろと使えるといい。
かつては、入るまでに悩み、入ってからはめいっぱい活用していた。
他にもっとやりたいことややれることがあれば、それをやる。なければ、少なくとも一度選んだことは好きなことなのだから続けていけばいいのではないでしょうか。
それが何になるかというよりも、それで自分を充実させたり勉強する。ということは、最悪、そのことと関係なくなったとしても、そこにエネルギーを費やしたり何かしらを得たということで、次につなげていくこともできる。
どこかに行ってみてはつまらないとか、やる気がないとかでやめるのではない。ブランクがあいて、次に動くのに考えていたら、あっという間に一生が終わってしまいます。
○キープ
やると思った動機や気分をどう維持するか。
私は、最初はどこからでもいいと思います。どの気分でもどのトレーナーからでも、どの学校でもいいと思う。情熱をかけていくと、その対象が成長とともに、次を呼び込む。そういったセッティングを自分でしてみる。持続していかないと、何ひとつ変わっていかない。将来により有利な習慣や環境を確保していくことが大切なことですね。
発声も、唯一決まった発声というのがあるのではない。気が向いたときにやり、そうじゃなければやらないなら、コンスタントに力がついていかない。ひとりではやめられない場に行く。
課題を見つけるよりは与えてもらったほうがやりやすい。そうやって、今年できなかったものが来年できていく。時間やお金で他の人の経験や才能を使う。それは世の中、何でも同じです。
○会う
本を読んで独学したいという人もいる。それには、相当なエネルギーがいるし、世の中に働きかけるというプロセスを経ない。
本の出版ということでは、編集のプロの人たちが目を通す。そこを通すことによって、新しい問題が見える。「こんなのでは誰もわからないです」と言われ、試されます。そのプロセスは大切です。
どんどん人に会っていくべきでしょう。いろいろと働きかけ、実現していく。レッスンも学校です。世の中に対して自分がアプローチすることをポジティブにやっていく。レッスンの内容面のことであれば、トレーナーや私がに相談してください。
○時間
やっていくと、楽器のように、めきめきと上達するというものでない。歌は、どこのレベルかというのが、プロでさえはっきりしない。楽器というのは、5年やった人は、1年やった人に勝てるし、15年やった人には負ける。20年やっても、プロ級のレベルになる人が少ないのは、量も、センスも学び方もある。才能だけで頭を出すということで、きびしい世界です。どうしても練習量の壁というのがベースにある。
ヴォーカルはそういう基準がない。しかし、早いようで時間がかかる。他の分野に総合されて生かされていく。
○曖昧さ
歌の基礎は、楽器をやっていたら何かしら10分の1くらいは活きてくる。その人の生き方や考え方、あるいは性格とか気分まで影響してくる。一方、純粋に音楽として影響されることは楽器のプレイヤーよりは少ない。その分、役者の面であったり、パフォーマンスとか創造力とかが問われます。ギターやドラムの人のパフォーマンスと同じ、遊びとしてできる。その人自身がつくっていかなければいけない部分が大きいわけです。力がついても、一番不安だったり先が見えないというのはヴォーカルでしょうね。その代わり、力がないのに、勢いだけで案外とできてしまったりするのもヴォーカルです。今まで歌ったことがない歌で、うまくいったというのもある。演奏家では100パーセントないがヴォーカルというのは、そういう人としての曖昧な動きが大きい。そこまでどう生きてきたか、練習の年月が集約されて出てくる。その集約を歌に託すのです。