« 2015年10月 | トップページ

根性もの No.293

○根性もの

 かつて、ゴールデンタイムのほとんどがスポーツ漫画やドラマでした。だいたい根性ものですね。スターも多かったですね。野球、プロレス、空手、ボクシング、キックボクシング、武道、ほか。だから、それにのっていく人もいるし、今も「スラムダンク」など。そこまで積み重ねていけば、王道がみえると。努力とかも少しおちゃらけた。

○見えない力

 ここの中にすべて入っていく。声楽をおろしたときに役立つのは、見て見えないという力があります。感覚で見て、こういう歌い手よりも歌いこんでいないし、時代も違うし、かといって、ついていけなかったり劣っている部分があっても、量をこなせない。この人でも、すぐ歌ってレコーディングしたのではない。かなり入れ込んでいったと思います。その入れ込んだところが出てくるということなのです。
 全体的にはバランスを見ていく。それは細かいところでいうと、たったひとつでいいです。ここのつなぎのところだけやってみようということでよい。それで1時間くらいで練習できると思います。
 
○作詞

 今、詞をつくっています。何が難しいかというと、ひとつのフレーズを見つけること、それが見つからなかったら、成り立たない。えっこんなところがとか、こんな切り替えし方があるのか、というストーリーにつなぐ。キーワードひとつがあれば、修正能力でつくれます。10曲つくろうと思ったら、10個みつけなければいけないでしょう。その10個がなかなか見つからない。
 
○毎日70個

 アイディアマラソンというのを日本で広げる人に会いました。毎日70個出していると。エレベーターがあって、隣のビルがあって、地下で合体していたら、間を歩かなくても行かれるとか、その人は毎月70個考え続ける。大変なことだと思います。
 他のことに没頭しているときに、そのノルマはきつい。ただ本気で、というときには、それもひとつだと思います。
 詞をつくる人も当然そういうことはやっているわけです。やっているうちにいろいろなものに刺激を受けて、ときにパクッてみたりする。そのままでは自分のものにならないから、何かしら組み合わせ、ことばの数など悩む。そういうものを紐といて、すべてがつながっていく。
 
○秩序立てる

 デッサンをつくるということをオリジナリティとしては持っていてほしい。それから全体的に整理、秩序立てていけなければいけない。要は自分の弱いところは見せないように、はしょってしまったり、強みのところに変えていく。ひとつ歌って、受ければ、歌の場合は1分でいい。それから比べたら、漫才は展開が苦しい。
 一方、日本人にとって、1オクターブ以上の世界へ声を伸ばしながら、1曲、つなげていくというのは、大変な技術がいると思います。歌舞伎とかでもあれだけの声が出ているのだから、日本人が声がないということではない。鍛錬の部分があるのです。
 
○つくり出す

 表現に結びつける部分。確かに音楽の3要素はありますが、あまり細かくやらなくなってきた。人それぞれ骨格も顔もつくりも違うし、響いてくる音色が違う。いろいろなやり方も刺激になるなら、やってみればいいと思います。いろいろなものを集めましょう。ファンがついて、一方、誰かにはそのやり方はダメと否定されているのもあります。私の本も同じように、どこか通用することがあれば、そこだけをとればいい。そこから自分で見つけていくためのたたき台です。ひとつをメニューにして、10個、自分でつくり出せばいい。
 
○「正しいですか」

 最近くる質問では、「これは正しいですか」と聞くのが多い。「こういう声が出ているのですけれど」とか「上のほうにこう響いているつもりだけれどどうですか」とか、質問自体成り立たないでしょう。答えようがない。たぶん、いい響きが出ている、がんばりなさいという答えを期待しているのか、よくないからこうしなさいと言われたいのか、どちらにしろ、顔と同じで声も個性です。丁寧にお断りしなければいけない。
 
○日本語のニュアンス

 言語では伝わらないことがある。自分自身のそういう発想とかきっかけとして、キーワード的に言語を使うことは、効果的なことです。その辺は自分で組み込んでいけばいい。今の口の中で、あなたが開けた中で、声楽的な「あ」、それを5つで捉える。日本語では英語以上に、いろんなニュアンスで使っているのです。

○郷

 2番と比べると、音楽の部分は変わらない。ことばの部分は変わります。「くに」というのは、郷土を意味していたわけですね。国と郷土を分けていますが、昔は、郷土に、くにというふうにふっていた。団塊の世代が、集団就職、ふるさとが故郷としてあって、核家族になって、くにがなくなってしまったというような。余談ですが。

« 2015年10月 | トップページ