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2020年7月

「建築と日本人」

日本人の集団性、集団主義とでもいうのでしょうか、それが個人主義の欧米と対比されて語られてきました。 

ただ、建築物や街づくりについては、少なくとも、明治以降は、個性的というか、周りとの調和意識は希薄です。

海外の街は、それぞれに独自の調和がありますが、日本の街は、バラバラです。建築については、景観を観光地として誇るところ以外では、自由奔放でごちゃごちゃです。

日本は、すぐれた建築家の多い国です。私は、独裁政権崩壊直後のルーマニアでブカレスト大学の学生が、日本の建築を学んでいるのに驚いたことを思い出します。

十坪くらいの土地で建築家に設計を依頼する人もいます。地権者の権利が強いのも、日本ならではのことです。

 原宿から当スタジオのある代々木まで、外国人客が、個人住宅やビルを撮っています。インスタなどが盛んになるずっと前からそうだったのです。

 日本は、石造りではなく木造住宅で建て替えが多いため、などというのは理由にならないでしょう。石造りやコンクリート造りの建築物さえ、すぐ壊して違うものに建て替えてしまいます。元々、新築が好きで、中古住宅のリノベーションなどは最近のことです。手入れして購入時より価値が上がることが少なかったせいもあるのでしょう。                 [577]

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「京都の変容」

「京都は、文化的価値があるから爆撃を避けられた」というのが全くの嘘であったことを、1994年に吉田守男氏が立証しました。しかし、俗説の方がよいと思いたい人には、なかなか伝わらないものです。戦争とは、そんな残酷非常なものです。

かつての、コンビニも進出せず、応仁の乱の頃から守られてきたかのような景観は、あっとういう間に、マンションやビルの乱立となりました。「大文字焼き」もみえにくくなりました。他の都市と同じような節操のないものに変わって、もう何十年も経つのです。    [577]

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「ヒルデガルドについて」

ヒルデガルド・フォン・ビンゲンは、1112世紀の神秘体験をした修道女です。薬草、ハーブ療法を調べていたときに、その名を再び聞くこととなりました。ファスティングからデトックスまで、オーガニックでホリスティックな考えは、今でも最先端を行くように思われます。

 彼女は、大いなる存在へ、精神、内在、しぜんの叡智をもって繋がろうとしていました。精神上位の中世において、「人間は、宇宙の肉体的中心」と主張しました。天上の聖なる声を作曲もしました。「聖歌集」(女声の単一および二声の旋律)              [575]

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「美声の神」

美声の神は、天津児屋根神(あめつこやねのかみ)です[天児屋神(あめのこやのかみ)ともいいます]。藤原氏(中臣氏)の祖先神です。「中臣」とは、神と人との間を取り持つという意味で、この一族は宮廷の神事を統括しました。

 天孫降臨で邇邇芸命に従って、日向の高千穂の峰に降臨し、天岩戸に天照大神が籠もられたとき、その前で太祝詞(フトノリト)を読み上げました。これが、日本人の言霊(コトダマ)信仰のルーツとなったのです。

 言葉には、吉凶をもたらす神秘的な霊力があると考えられています。祝詞や寿詞は、その言葉によって吉をもたらし、凶を避けられるのです。

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