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2013年12月18日 (水)

「壊れかけのラジオ」徳永英明さん A024

 徳永英明さんという歌手は、はっきりいって私のところで取り上げる材料の対極にありました。それは歌手や歌のよしあしではありません。先の八神、中島、ユーミンもです。最近、といってもソロになったあとの谷村新司、堀内孝雄、佐野元春、桑田圭祐、忌野清志郎、小椋佳さんなど、私があまり触れなかったので新鮮なのか、ここに名前が上がってくるのは不思議でもあります。
 ここのヴォイトレでは、マイクを使わないところでの実力を基準にしています。しかも現実にはポップスはマイクを第二の声帯というくらいに重視します。そのため、日本ではカラオケの悪い影響で口先での加工、体や呼吸をなおざりに、高いピッチをとるだけの発声に目的がなりがちになっていることは長く指摘してきたところです。小さく絞り込んだ声でピッチやリズムを完全にこなすのは、無理ではありませんが、不自然ゆえに安定に乏しく、表現の自由さよりも発声を固定させてバランスを取ることに終始してしまいます。いわば、小さな箱の飾りのような歌になりやすいのです。
ただ、最初に大きなイメージのもとで体を解放して歌った経験のある人は、声量を使わなくてもデッサンが鋭いので伝わります。(声量が落ちても歌唱力が衰えないのがベテランということを述べたことがあります)徳永氏は本人の独得のデッサンをもつから成り立ちます。しかし、それをまねて嗄声で歌うと、最悪の演出になってしまいます。彼が中居正広さんにしたアドバイスは、小さな声で歌うことですが、それで聞かせ感動させることは、特別な才能をもつ人以外には、不可能なほど高度な技なのです。ヴォイトレとしては、絞り込みは応用の応用であり、まず大きな器づくりです。鉄は熱いうちに大きくしておくことです。

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