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2014年2月 2日 (日)

トレーナーのネック [論5-5]

こういう当たり前のことがみえなくなったのには、大きな背景があります。ひとつは、一般的にヴォイストレーナーの扱う対象が、声に難点がある人、声域や声量のない人、喉の弱い人になりつつあること。
 例えていうと、体力のない人が対象であれば無理に走らせるのはよくありません。でも、この場合、目的が人前で走ること、つまりレースに出るということなら、体力のないのを、その範囲で調整して生活をおくらせていても、体に無理がないだけで根本的な力はつきません。むしろ、体力をつけさせることが肝心でしょう。なのに、そういう人ばかり扱っていくと守りに入り過保護になりがちです。
 多くのケースでトレーナーにつくのは、そのトレーナーより声のない人ですから、どうしてもこのようになるのです。
 無理しなくてはいけない時もあるのです。というよりは、無理ばかりでやり続ける力が、歌手、役者など、声や体をはってやるアーティストの魂ですから、他人にとっての無理が自分には無理にならないくらいに、トレーニングで無理していかなくてはなりません。
 無理といってもいろんな程度があります。早くレベルが高くなりたければ無理が生じますし、小さい頃からじっくりと時間をかけて取り組んでいくと、自然に無理なくすぐれることもあるでしょう。なのに、多くの人が「早く」と「無理なく」を両立させようとするので難しいのは当然でしょう。
 
 さらに最近は、トレーナーについて「声を損ねた」とか、「これまでより悪くなった」と言われると困るから、即効的な効果に走り、一方で無難に過保護にならざるをえないのです。「客に応じる」というとよいことばですが、芸や一流の力をつけるというのは全く別のことです。トレーナーは、医者やカウンセラーではないのです。(そういう役割も一部あるとしても)
 

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