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2014年3月28日 (金)

三母音の「イ」 V211

「イ」は人が直立歩行して獲得した音です。喉頭が下がり、しかも首が立って声道が喉の奥から口に対して直角に合っていないと出せません。このフォルマントは、そういう状態のつくれない動物や赤ちゃんには出せないのです。
 このように発声器官そのものの変化、成長は、人間の人間たる言語に極めて大きく影響しています。その意味を代表する音が「イ」です。「イー」「イヤだ」、など、やや挑発的な音の響きにもなるし「イイ」「イーわ」のように穏やかに落ち着いた感じにもなります。両極端にブレやすい音のように思います。
 「ア」に比べ、「ウ」「イ」は出しにくく、歌でも苦手にする人が、特に高音では多いようです。しかし、声楽などでは上達するにつれ、「イ」の方が楽に高く、しかも共鳴させられます。口内の息、軟口蓋の方を高く上げられるために声道が長くしやすいのです。あごを引くことも関係します。
 「ア」の発声は、誰でも出てきやすいようですが、中音域の声と同じように適当にも出てしまうので、本当に調整していくのはやっかいな音です。日本語のようにもともと浅いと、そのままで定着し、発声や共鳴のなかで後々まで浅く固いまま、未完成に取り残されかねません。アマチュアの多くが「アー」で練習するのに、声楽家がそれを必ずしも使わないのは、長年使ってきたため、間違いやすいし、また深まりにくいからです。
 実際には発声練習では、母音だけでやるより、子音をつけている方が多いのではないでしょうか。その方がやりやすいのと、マスターしやすいからでしょう。
(参考、「Q&Aブログ」「トレーナー共通Q&A」の「発音」について、共鳴の前のきっかけの音として子音やことばをおいた方が、深めやすいのかもしれません。言うまでもなく、トレーナーの腕しだいで、使う音は大した違いはないともいえますが。)[完]

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