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2015年6月11日 (木)

今日のメッセージ[ヴォイストレーナーの選び方]

○流れ

 ひしめく日本人によるスムースな横断を見られる、渋谷の109前の交差点は、外国人の観光名所になっているといいます。私は、高校生で上京したとき、渋谷駅でたくさんの人を見て具合が悪くなりました。その話をしたら母がたいそう心配したのを覚えています。学生の頃には、いつのまにか人にぶつからずに大勢の行き交うなかを歩くことのできている自分に気がつきました。部活のバスケットボールの経験が活きたとも思っていましたが、考えるまでもなく、東京に住んでいる人ならぶつからないのです。
 ラッシュにも鍛えられました。その秘訣は、誰でも知っていることですが、この先、大切なキーワードとなるので言います。流れに逆らわないこと、脱力すること、自らを無とするということです。つまり、大きな流れに入って、そこに身を委ねるのです。結果としてスムースにしぜんと電車に乗り、しぜんと階段を上がっているのです。自分で乗ろうとか上がろうとせずに、その流れに加わり、周りから押されるのを受けていれば、しぜんに足が動いて、なるようになります。
 ここまで述べて、日本のラッシュは、個人の意識や行動する力を奪う働きをしているのではないかと気づきました。それゆえ、「降ります」と、流れのないところで電車の出口に近づくことに、大したプレッシャーを感じる社会になっているのです。ちなみに私は、ラッシュでは、座席になだれ込まないように流れをくいとめる大魔神のような役割でした。筋力を最大限使って支えていました。背が小さく宙に浮いてしまっている女子高生と、どちらが大変だったのでしょうか。

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