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ヴォイトレレッスンの日々

10.歌唱とステージング 240問~

2017年12月16日 (土)

Q.棒歌いになるといわれました。

.文字通りまっすぐな音でしか歌えていないということでしょうか。声をベターっと、抑揚や高低の動きや揺らぎがないままに歌っているのかもしれませんね。

一本調子の声である場合、喉だけで声を出している可能性が高いです。理想を言えばお腹や横隔膜がしなやかに流動的に動く余力を残したまま、声を支えるということです。しかし、この流動性がないまま、喉だけでピーという声を出してしまっているのかもしれません。

また、このような声で歌っていると表現も一本調子になってしまう可能性があります。本来であれば、言葉の抑揚に即して音に強弱や長短がつき、すべての音が同じような価値ではないということになると思います。例えば「このみちが」でしたら「の」「ち」「が」はあまり頑張らなくてもいい音になりますね。その結果、一本調子の表現は避けられると思います。

発声の面、表現の面から棒歌いを卒業できるよう、ご自身の歌を録音して聴いてみるなどして研究してみてください。(♯β)

2017年10月14日 (土)

Q.スケールの声で歌えないのですが。

.「スケールでは、けっこうそれなりによい声が出せるようになったのに、曲になると、いい声が出ない。」ある程度レッスンが進み、その効果も出て、発声練習ではよい声が出るようになったのに、曲を歌うときにはその声がなぜか出せない。よくある悩みのひとつです。

まだ歌い慣れていない新しい曲ならば、それは当然で、音程や音符の長さ、歌詞など、すべてがスラスラとこなせるようにならなければ、発声練習で出せるよい声で歌うことはできません。なぜなら、発声に関すること以外(音程・音符の長さ・歌詞など)に神経が向いてしまい、発声に集中できないからです。ですから、曲に慣れるまでは、まず階名で何度も歌って、音程と音符の長さに慣れ、ミスが出ないように繰り返し練習します。

それをしっかり憶えたら、今度は「ア」や「オ」の母音だけで歌うようにして、よい発声で歌えるように何度も繰り返します。それが定着したら、やっと歌詞で歌う段階になります。それでもまだ、歌詞に不慣れでは、せっかく定着したよい発声が乱れてしまうので、歌詞だけを、繰り返し何度も朗読させる先生もいます。いつものよい声で、新しい曲を歌うということは、それほど簡単なことではないのです。(♭Ξ)

2017年6月 9日 (金)

Q.優れているという基準は何ですか。☆

A.参考までにいくつかあげておくと、シンプルに聞いて、表現性をもつこと(ステージの成り立つこと)です。それは今ここで、立体的に(リアルに)、生命感をもって(生き生きと)働きかけてくることです。つまり、聞き込まなくても聞こえてくることです。その上で流れがあって(時間軸、リズム・グルーブ)、心地よい、バックのサウンドと合っている(空間軸、コーラス)、さらに構成(空間配置)や展開(時間的メリハリ)でのまとまりのあることです。それには、起承転結や期待通りの線の安定度と、オリジナルフレーズの飛翔や冒険(創造性、心地よさとその裏切りのインパクト、破格と収め方)、そのための確実なテンポ感(とリズム)、音感と音の動きなどが必要となってきます。(♭)

2017年5月16日 (火)

Q.歌手とは、歌う他ことのほかにどういうことが必要ですか。

A.ステージングとして考えると多くの人と分担するので、そこから考えてみましょう。

衣裳、ファッション ―  スタイリスト、メイク、コーディネーター

振り付け       ―  振り付け師

音響          ―  PA、SE

アレンジ        ―  アレンジャー

作詞、作曲     ―  作詞家、作曲家

演奏、伴奏     ―  バンド、プレイヤー

もちろん、すべてが必要ではありません。表現のスタイルによります。それによって、声の必要性や方向、求められるレベルも異なってくるわけです。また、シンガーソングライターや自演(弾き語り)アーティストは、この多くを自分でやっています。(♭)

Q.プロ歌手に作詞作曲の力は不可欠ですか。

A.歌において、作品づくりの要素は、声の力と必ずしも一致しないし、こと日本においては、むしろ相反するくらいにかけ離れていることもあることが、とてもややこしい問題になっているのです。しかし、歌い手なら、自分かそのパートナーにbの力は不可欠なのです。逆にいうと、自分にその力がなくても優秀なパートナーや協力者がいればよいわけです。もともと歌い手は、声を使うプロで、作品やステージは他のプロに任せていればよかったのです。(♭)

2017年5月 9日 (火)

Q.音響技術が声に与えるメリットとは何でしょうか。

A.大きな声が第一条件として必要だった、かつての役者や歌手などに、音響技術は別の可能性を与えてくれました。つまり、大きな声が出なくてもよい。トレーニングで大きな声にしなくても、よいということです。声は届かないと、伝えられませんから、どんなに声がよくて味があっても、舞台では、届くことが第一条件だったのです。(♭)

2017年5月 7日 (日)

Q.日本が声の弱小国であるなら、聴衆の聴くレベルをあげなくては、芸も育たないのではないでしょうか。☆

A.アーティストがそんなことを言っては終わりです。聴衆が納得するレベルでなく、感動するレベルでやる、少なくとも、それをめざすべきです。日本のあまりに優秀なハード技術陣は、それをカラオケ機器というもので表向きに解決させてしまったのです。舞台やレコーディングで使われる、世界でも最強の音響技術が、誰のどんな声をもフォローしてくれます。だからこそ、ヴォイストレーニングは、現状を踏まえつつ、日本の今の舞台で問われているよりもはるかに高いレベル(ブロードウェイ、グラミー賞)を念頭に、独自のやり方を模索するべきだと思うのです。(♭)

Q.演出家と声の評価は一致しますか。☆

A.目にみせる方が、声や音で変化させるよりも、ビビッドに反応する日本の観客に対しては、演出家は、声よりもビジュアルの効果をとるでしょう。(私も演出家の立場であったらそうするでしょう)実際そのようにしたからこそ、ミュージカルでも、ダンスのレベルは向上したのに、声は置き去りにされてしまったのです。(♭)

2017年4月25日 (火)

Q.日本のクラシック歌手の歌い方に違和感をもつのですが、どうでしょう。☆

A.たとえば、「千の風になって」を大ヒットさせた秋川雅史さんがいます。彼を日本の声楽家の代表の例とするのは異論もあるでしょうが、その歌と三大テノールの歌とを発声だけで比べてみてください。新垣勉さんや錦織健さんでもよいでしょう。ロックなども歌っていた彼のクイーンのカバーと、オリジナルを聞き比べるのもよいでしょう。

日本の声楽家が、全体としては著しいレベルアップをしているのですが、昔のように国際的スターが出ないのはどうしてか、ということも念頭においてください。私自身のクラシック観は、「本物はなんとしぜんでダイナミックなのだろう」ということでした。ストレートで、ことばを言うようにして、声がビンビンにひびいています。せりふ、普段の声もとてもよいのです。(♭)

Q.日本の声楽の限界や日本の歌のふしぜんさを、どう考えられていますか。☆

A.声楽家に対して、持つ声のイメージというのは、日本では必ずしも的を得たものではありません。実際の歌手への発声も本場のオペラ歌手とは、やや異なるといってもよいでしょう。しぜんに自分の中心の声を使うよりも、先生に教えられるやわらかな声に傾く人が多く、ドラマチックな迫力がなくなってきました。それが時代の要請とともに、日本人の限界を見据えた処方だったとしたら、まさにポップスと同じことが起きたといえるわけです。

本場のものをみたことのない人は、日本人の弱く美しくやわらかい音色に対し、向こうの迫力にびっくりするかもしれません。一説には、その人の体の中心の声を伸ばすイタリアと、師のコピーを徹底するドイツの違いがあるそうです。そうであれば、日本の声楽が後者になっていくのはよくわかります。私は前者の立場をとっています。(♭)

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