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ヴォイトレレッスンの日々

52.(☆~☆☆☆)[2014/08/01~2015/03/31のQ&A]

2015年3月25日 (水)

Q.なぜ、声が大きいことが必要なのですか。☆

Q.なぜ、声が大きいことが必要なのですか。☆
A.それは逆で、必要に応じて声は大きく使われてきたということです。例えば、危険を知らせる。動物と同じく、自分の仲間の生命の危機に対して、早く大勢に伝えるのに、声は便利なものでした。人間は共同でさまざまな仕事をします。第一次産業のように体を使うものにも、大きな声は必要だったのです。

Q.今でも声はトレーニングが必要ですか。☆
A.日常の仕事では声を大きく出す機会はどんどん減っています。コミュニケーションツールとしてメールが主になったこともあります。しかし、挨拶やお詫び、励ましや慰めなど、所作、表情に、適切な声が伴うことが、大切なこともあります。いや、もっとも大切
な機会にこそ、声は欠かせないものといえます。それこそ、さらにヴォイトレの必要は増していると思われます。また、活気など、周りに与える声の力も影響は大きいものです。自分が出すことでの気持ちの発散や充実などにもっと焦点が当てられてもよいと思います。

Q.昔は、日本でももっと声を使っていたのですか。☆
A.今よりは家庭も学校も職場も、声には大きな価値と必要性がありました。挨拶、号令、点呼、高歌、社歌などよく使っていました。返事なども大きな声が求められていたと思います。また、外で遊ぶ子供たちも大きな声を出していました。

Q.パソコンなどの声は、人間の声に変わることができますか。☆☆
A.1990年代、多くの棋士が「パソコンにプロが負ける日はこない」と言うなかで、羽生善治氏だけが「2015年に」と答えたそうです。そして、2014年、5人のプロと5つのソフトの対決は、4勝1敗、パソコンの圧勝でした。
初音ミクの登場で、ボーカロイドはヴォーカルのなかにくい込みました。昔のコンピュータ音声は、人間に聞こえず、人間の声の合成音でした。しかし、技術革新は早いのです。私は、声優、ナレーションの仕事のほとんどでも10年をまたずにパソコンソフトに代わられると、ここにくる志願者に5年前から言っています。人間が人間の声を求める以上、人間の声は不滅といえども、代替は効くし、日本の現状ではアニメ、2Dの世界を求める人も多いのです。歌も舞台も作品ゆえ、それを観る人の脳の受け止め方で変わっていくのです。つまり、人間の声の代わりどころか、それ以上の影響力をもっていくこともあるということです。

Q.人の声は、人の心に訴える影響力を失っていくのですか。☆
A.人に訴えるものは、育ちや生活の環境に深く結びついているものと、本能的に遺伝として入っているものとがあるように思います。歌や舞台は、日常ではなく、作品です。作品は、人生のピークのダイジェストのようなものですから、より強くも人の心に働くものですが、時代を経て弱まることもあります。声を扱っている者としては、そんなことにならないように努めるつもりですが、世の中は必ずしも一辺倒ではありません。そこで生活する人によって変わっていくでしょう。

Q.なぜ、マニュアル声や録音された声が使われるようになったのでしょう。☆
A.マニュアル声は、店員の決まりきった言い方、録音された声は、今の焼き芋屋さんの再生音声のようなものといってもよいでしょうか。これは、コスト削減、労力削減とともに標準化、つまり、誰でも平均レベルの応対がすぐにできるようにしようという効率化です.特に日本人らしい発想と、日本人ならではの技術の産物のように思えます。
声やことばには個人差があり、それが出ることで、好き嫌いも出ます。人の違いによって説得力も違うし、その人のやる気や体調でも左右されます。それを当然のものとして許容する文化と日本のように誰でも同じサービスを求める文化の違い…と私は日本人ゆえ、日本人に厳しく述べます。読むのも日本人ですから。

Q.今の人たちの声は、日本人の性格と関連しますか。☆
A.マニュアル声であっても、そういう一定のサービスを誰にも望むのは、すでに個性を無視して、相手が個別に違う存在であることをよしとしないのです。マイナスをなくす方に厳しいのが、日本のマニュアルです。
焼き芋のおじさんが個人の声で売ると、みんなうまくいくわけではありません。訓練したプロの人以外は、おいしそうに聞こえず、疲れた声で、発音も不明瞭かもしれません。本人もやりたくないように思います。選挙の候補者のように個声に乏しい日本では騒音にもなりかねません。プロがいなくなったからと、コンビニやファーストフォード店に行っても、サービスの大差はないでしょう。なるようになっているのです。

Q.なぜ、日本のサービス業では、その人らしい声でなくマニュアル声でトレーニングするのですか。☆
A.魅力も説得力も、親しくしようという間では、大きな武器です。しかし、そうではない間柄では、人はそれを避けます。そのためのビジネスマニュアルであり、大人の対応でもあるのです。とはいえ、他国からみると、過保護すぎるようなものでしょうが。

Q.いろんな声が求められる仕事では、どうヴォイトレすればよいのですか。☆
A.ヴォイトレの立場として、何でも身につけておくのを勧めています。しかし、それは同時に、なんでもいつでも使うものでないのです。むしろ、やたら使わなくてすむためにヴォイトレで、あらゆる声とその使用について学ぶということなのです。

Q.オペラの感情表現というのが、私には伝わりません。日本人だからでしょうか。☆
A.すべてのオペラの表現がすばらしいものでしたら、たぶん、全世界のすべての人が毎日、聞いているでしょう。どんなに誰かが感動するものでも、他の人が感動するとは限りません。長く接していくとわかるものもあるし、わかっていく人もいます。そうならない人もいます。価値観やその優先順位は、人によって違います。
しかし、ヴォイトレからいうと、オペラの声には学ぶところ大です。好き嫌い抜きに、トレーニングでしか到達できないレベルのものがあるのなら、トレーニングをしていこうという人は接してみることをお勧めします。(♯)

2015年3月16日 (月)

Q.喉の筋肉の動きそのものから、しっかり学ぶと、発声がよくなりますか。☆

Q.喉の筋肉の動きそのものから、しっかり学ぶと、発声がよくなりますか。☆
A.人の動きの改善については、かなり古くからそれぞれの筋肉そのものを意識するのでなく、その動きをイメージして、筋肉でなくその動きを司る中枢神経が結果として動くように使わなくては、うまくいかないとされています。体の大きな動きをする大きな筋肉でもそうなのですから、喉であればなおさらです。

Q.胸式呼吸で、吸気はどのようにしているのですか。☆
A.外助間筋が収縮して肋骨が持ち上がり、胸板が広がり、肺に空気が入るのです。バラ肉のバラとは、あばらのことですが、肩バラは、外助間筋にあたります。そこは煮崩れしないほど固いのです。その逆の呼気は、内助問筋の収縮の働きです。

Q.ストレスに悩まされています。どうすればよいですか。☆
A.何事も自分との勝負です。ヴォイトレで他のストレスは解消しましょう。声の悩みに専念し、他のときは声のことは忘れましょう。ストレスといえども、同じ出来事をどう受け止めるかということですから、よい方向に受け止めるか、それができなければ流してしまいましょう。より大きな目的があって、すべきことをしていたら気にならないものです。ストレス耐性をつけ、一方でストレスリリースをすることです。「問題は問題とするから問題になるのであって、問題にすることこそ問題である」(バーナード・ショー)

Q.ヴォイトレとは、間違っているのを直すのですか。補強するのですか。☆
A.一概に言えませんが、よい状態へ回復させたり、自力をもっとも発揮できるところへ調整するものが多いです。私どもはそれに対し、もっと力をつけるために本人の感覚、体、技能を向上させていく条件をつけていくものを中心にしています。(♯)

2015年2月27日 (金)

Q.猫背になるのはどうしてですか。☆

Q.猫背になるのはどうしてですか。☆

A.胸の脇にある筋肉が固く緊張している人が多く、私は肩と首の筋肉とともにほぐさせています。小胸筋といいますが、これが縮んでいると肩が前に引っ張られ、肩身が狭いという状態、つまり、猫背になるのです。呼吸にもよくありません。

 

Q.歌おうとすると、なぜか呼吸が浅くなります。☆

 

A.歌おうとするのは戦いに臨むようなもので、緊張を強いられます。交感神経優位になるのです。呼吸は、ぐっすり眠るときに深くなります。そのときは、副交感神経が活性化して筋肉がゆるんでいます。ですから、歌うときには、できるだけ眠るように穏やかにイメージしましょう。戦うのでなく、戦いの終わった後の祝福の祭のようにです。

 

Q.骨盤が前傾していると言われたのですが。☆

A.胸を張ったり、ハイヒールをはくと前傾します。お腹が出るのもそのせいです。声楽では、それを勧めるトレーナーもいます。それは後傾で猫背になるのを直すためです。水平になるようにしましょう。呼吸や大腰筋にも影響します。

 

 

 

Q.O脚、X脚は発声によくないのですか。☆

 

A.直接な影響はないとはいえ、姿勢の保持にとって決してよいとはいえません。整体などでチェックして直しましょう。踝骨(しょうこつ、かかと)と距骨(きょこつ、足先と脚部を結ぶ)、脛骨(すね)が一直線になるのがよいと言われています。

 

 

 

Q.土踏まずがないと正しく立てないのですか。☆

A.足の裏には三点の支えがあります。足の五本指、土踏まず(親指側)その反対(小指側)と三つのアーチです。それぞれが共に働いて支えています。ですから、動いてもうまくショックを吸収できるのです。

 

Q.本に骨盤底横隔膜が示してありましたが、何に使われているのですか。☆

A.これは、pelvic diaphragmといって、もう一つの横隔膜です。二つの横隔膜は腰筋で連動します。胸部の肋間筋なども連動しています。柔らかい状態にしなくては、全身で呼吸することはできません。腹式呼吸と言いつつも結局は全身呼吸のことなのです。

 

Q.高音発声は、輪状甲状筋を伸長させて出すそうですが、その使い方を教えてください。☆☆

 

A.そのように、筋肉を、個々に捉えて使うのは、原因と結果を取り違えた、極めてよくない考え方です。発声は筋肉の働きによるのですが、多数の筋肉の総合的な連動で動いています。それは、イメージによって正しい結果を起こした時に、感覚として覚えていくしかないのです。

 

これまで、多くのすぐれたトレーナーやアーティストが否定してきたにも関わらず、常にこういうことが求められます。それは、その音に届けば、それでよいとする安易なノウハウのようなものにすぎないのです。

 こうした感なえは、新しい方法として、科学的、理論的で、誰にでも早く大きな効果をもたらすという期待からくるのでしょう。それは、基本的な態度として違っています。それにしても、よく出てくる質問です。長期的な成果で判断しない人たちがよいと言っているのを鵜呑みにしないことです。何よりも、部分的に使おうという意識は、余計な力や緊張を招き、くせをつけてしまうのです。それで何音か高くあたっても、表現として実力のつかないのは変わらないのです。

 

Q.しゃがれ声が続きますが、原因は何でしょう。☆

A.1、歌いすぎ、しゃべりすぎ、大声、高い声、どなり声、鳴き声、シャウト、長く使いすぎ。

2、空気の乾燥のしすぎ、汚染、花粉症など。

3、寝不足、過労。

4、あがり、緊張。

5、病気

 などが考えられます。

 

Q.ヴォイトレの筋トレ不要論はどう考えられますか。☆

 

A.相手の状況によって答えも違ってきます。アスリートに対して、私はそれ以上の筋トレは求めません。あまりに固くしたり、副作用が出るときは、中断させます。現場では、歌手も役者も、いろんな姿勢でも声を使うことも考えられます。体が支えられなければ問題外です。

 今の日本人は、昔より体の力が弱くなってきているので、鍛えていくことは大切だと思います。発声に力が入るのを筋トレのせいにしたりするのは、鍛えられていない人をたくさんみてきた人が言っていることです。あるいは、筋肉で発声するのではないと言いたいためだと思います。本当は、そんな問題ではないのです。

 

Q.少し疲れたときの方が出しやすいのですが。☆

 

A.その通りで、表現力がのる、伝わる、説得できるように声が使いやすくなっているときは、すでに少し疲れているものです。

 声は、ベストの状況の方がコントロールしにくいと思います。それで、皆がんばりすぎたり、やりすぎてしまうのです。普段から発声教本などによるレッスンで、声の感受性の精度を上げていくようにしましょう。(♯)

2015年2月12日 (木)

Q.肋骨の働きと横隔膜との関係について知りたい。

Q.肋骨の働きと横隔膜との関係について知りたい。☆

A.横隔膜は、吸うときに働く筋肉ですから、発声という吐くことのコントロールを補うべきです。肺にぴたっとついてお碗型になっている横隔膜は、吸うときに押し下げられ、吐くときに復元力で戻ります。

胸式呼吸として、肋骨の上部、前後、左右の動きでぶれさせず、肋骨下部の拡張と横隔膜で、早く瞬時に息を入れ、長く保って出す力をつけていきます。

 肋骨は12対で左右で24の骨です。その元は肋骨頭関節と肋横突関節の2点で脊椎と結ばれています。この二つの関節をまとめて肋椎関節と呼ぶこともあります。この2点の関節を結んだ線が動作の軸となるのです。

 この関節は、上側は軸が左右方向に、下に行くほど前後向きに、並び方が上から下にかけて少しずつずれています。この角度のずれによって肋骨は、上側は前に、下側は横にと、広がります。先が胸骨に達していないので、下の2対は左右に開きます。

 横隔膜は、この肋骨の下端を広げるのです。

 普段の呼吸であれば、横隔膜の動きだけで十分ですが、少し呼吸が深くなると横隔膜が平らになり、肋骨の下端が持ち上げられます。さらに呼吸が深くなれば肋骨中部が横に広がり、最終的に上部の肋骨が前に向かって持ち上がります。上半分は帆立て貝が開くように、下半分は鳥が羽ばたくように、いちばん下は、アリがアゴを広げるようになるのです。

 

Q.自分の声の診断の方法は。☆

 

A. 自分自身のやっているトレーニングへの評価やチェックが厳しくなっていくことが進歩なのです。課題が進むのではなく、課題に取り組む自分がレベルアップするのです。

 

全てのトレーニングにおいて、自分が中心です。自分が全てを決め、自分が結果の全てに責任をもつことを自覚しましょう。そのためにこそ、すぐれた他人のアドバイスが不可欠なのです。何事も上達した人というのは、他から誰よりも学んでいます。そして、ペースを自ら作りだし、まわりをそれにのせていくことで、有利に自分の力を発揮しています。このペースという状況作りも一つの実力です。そのためにどうしたらよいのかを考えましょう。

 

 

 

Q.メニュは、いくつ必要ですか。☆

 

A.すぐれた人なら、たった一つの課題で、その先に全く進まずとも、自分の声のレベルを深化させていくこともできると思います。しかし、多くの人はマンネリ化したり、飽きたりして鈍化してしまうのです。そこで少しずつ課題を変え、新しいアプローチをしていきます。新しい課題に挑むことで気づくことがあったり、今までやったことに照らし合わせて学んでいきやすいからです。

 

とはいえ、トレーナーを単に何度も変えたり、何百曲ものレパートリーを持っていたりする人が、たくさんのことをやっているようでいて、質的に大して進歩しないケースもよくみられます。一つのレッスン、一つのメニューからいくつのことに気づけるか、どのレベルで気づけるかが、勝負なのです。トレーナーについても、その時期の目的によって、トータルの見通しのもとに増減したり、変えていくべきでしょう。

 

 

 

Q.ヴォイトレの結果を出すには。☆

 

A.テニスのうまい人は、自分は動かず、相手を走らせます。ボールが正面にくるところに、先に動いて待ちます。ですから、基礎としての柔軟や走り込み、さらに基本の素振りを欠かしません。下手なままの人はどうでしょう。全く逆のこと(ボールを追いかけて)をやって疲れていませんか。

 役者やヴォーカリストなら、メロディやことばにのったり、ことば(ストーリー)に頼ったりするのではなく、自分でそれを動かさなくてはいけません。役者のせりふも同じです。より表現を伝えやすく、その結果、自分の世界がうまく現出するように、核心を抑えて表現することを覚えていくのです。そのために、できる限り、シンプルなヴォイストレーニングでコントロールを確かにしていくのです。(♭)

2015年2月 9日 (月)

Q.声の出し方がよくわかりません。☆

 

Q.声の出し方がよくわかりません。☆

 

A.声は出てしまうものです。その出し方や出方に問題があるのと、その出た声で歌やせりふにするときに、問題があるのとは別です。普通は両方とも問題がありますから、一緒にしてしまいます。いくら歌を歌っても、声がよくならないのは、2番目の問題しか捉えていないからです。出し方とは、声にどうするのか。出方は、声として保ち、どう終えるのかということです。

 

 

 

Q.息は、声に先行するのですか。☆

 

A.これも現場のシチュエーションなしには何の目的で注意されたのかがわかりません。言うまでもなく、息と声は、同時に出ているのです。息が先だとかすれ、息が後だと硬くなると言う人もいます。そう考えて、ちょうどよいタイミングで出しましょう。というのも、いいのかもしれません。

 

 

 

Q.呼吸をどう発声にするのですか。☆

 

A.私がこのようなときの例で使うのは、「息を用意してから、ためて声にしなさい」「円を描くように息が回っていて、途中からスムースに声にするように」とかです。バーンと声に息をぶつけるような入り方の人が多いからです。それでは、共鳴やビブラートの感覚が育ちません。

 

 

Q.くせがとれません。どうすればとれますか。☆

A.どんなくせでも、すぐにとれないからくせというのです。私は、多くの場合(時間のあるときですが)くせは放っておき、それよりもよいものを育てようとしていきます。くせも魅力になれば個性です。構えるくせ、がんばるくせ、頑なに守ろうとするくせなどは、しぜんとおちていくように待ちます。それで何ともならないときには、いろんな対策をたてます。

 

Q.自分の思い込みをとれば、正しい発声になりますか。☆

 

A.思い込みも発声のくせも、邪魔ものなのですが、邪魔をとれば正しいものが出てくる、残るとは限りません。そういうなら、なぜ、今までそうならなかったのでしょうか。より正しいものをつかむ、あるいは育ててください。

 

 

Q.感覚的な判断は、気分などで当てにできないのでは。☆

 

A.私は、人の感覚はあてにならないが、くり返すことで磨かれ、高まると思っています。それは一流のアーティストの作品などをくり返し聞いて内に入れ、声なら声の使い方から専念して外に出していくことによって可能です。新しく得られた感覚や声が教えてくれることが大切です。

 

 

 

Q.私は、自分の感覚の判断に自信がないのですが。☆

A.竹刀やバットを10回振ってみてください。入り、抜き、どれが一番よかったか、大体わかるはずです。かなり雑でうまくいかず、バラけるからです。かなり合ってもいるでしょう。毎日千回、一年振ると誰もが体が鍛えられて感覚も磨かるでしょう。どの振りがよいのかわかってくるでしょう。そのレベルは人それぞれです。それを3年、5年、10年、30年と続けると、やはり天才と凡才に分かれてくるのではないでしょうか。私のヴォイトレは、常に一流、天才を念頭に置きつつ、凡才のためのものと思っています。自信をもって体感で判断してください。

 

Q.ストレスに弱いです。どうすればよいですか。☆☆

 

A.ストレス反応は正常のこと。例えば、心臓のどきどきは準備をしているのです。呼吸は、早く酸素を送ろうとしているわけです。心拍上がり血圧上がっても血管収縮しないそうです。心拍が上がるのは、喜びと同じ状態です。ストレスは捉え方しだいということです。

 

体が活性化していることは大切です。人を社交的にするオキシトシンが出ます。ハグでの愛情ホルモン、神経ホルモン、きずなを深める、スキンシップ、これはストレスホルモン。

 

下垂体から出る。助けを求めたり、人に打ち明けることで、心血管系を守る。心臓によいし、細胞再生を促します。

 

人とふれること、人を助けることや面倒みること、人を思いやる人は、ストレスで悪い因子が増えません。体質が変わるのです。

 

ストレスの価値を知り、思いやる心を知ることです。つまり、現象を観察すること、ものごとの仕組みとしてみることが大切です。

 

これは、TEDでケリー・マクゴンガルさんが述べたことです。

 

 

 

Q.ストレスに悩むと声によくないのですか。☆

 

A.ストレスは、抑制因子で、それを受けた結果、ストレイン(歪み)を残すのです。ストレスは、人間の生理、心理、精神に対しての圧力です。内因性と外因性がありますが、相互に関係していることも多いのです。生理的には、環境の与えるプレッシャー、心理的に嫌悪感や緊張要因、精神的には、生老病死や孤独感などです。そして、生理的不調、心の不調、精神の不調が生じるのです。もちろん声にもよくありません。

 

 

 

Q.交感神経と副交感神経と、どちらが歌によいのですか。☆☆

 

A.これは、呼吸の胸式、腹式と同じく、よく混同されていますが、どちらかに切り替えるのではありません。どちらが大きく働いているかということです。片方が停止はしないのです。神経については次の図で覚えてください。

 

a中枢神経―脳、脊髄

 

b末梢神経―体制神経―運動神経―求心性

 

        感覚神経―遠心性神経

 

     自律神経―交感神経―昼、戦い、発進

 

        副交感神経―夜、休息、ブレーキ

 

 ちなみに、骨格筋は、意志で動かせるので体制神経の支配、一方、平滑筋、心筋などは、自律神経の支配下です。(♯)

 

2015年2月 2日 (月)

Q.声づくりということばは、しぜんに声を出すのに誤解を与えませんか。☆

Q.声づくりということばは、しぜんに声を出すのに誤解を与えませんか。☆

A.声づくりは、つくり声ということではありません。しぜんに声を出すのに、しぜんな声というのを、どう定義するかによって、よいとも悪いともなるように思います。たとえば、しぜんに出していて、しぜんに聞こえない声が、しぜんに聞こえるようになど。よい意味になったとき、その変わったことを声づくりということでできると思うからです。

Q.ことばを言うときに、芯のある声で響かしたいのに、喉を締めてしまいがちです。☆

A.これは、たくさんの観点を含んでいます。まず、せりふと発声(声楽や歌唱)との違い。響きからみていくと、浅く集約された共鳴に対して、深く集約された共鳴をよしとします。「芯のある」はそのための中心軸感覚として、よい意味に使っています。深く胸に芯があって、口先に響く、喉にかからない声にするということです。

 

Q.きれいな歌声と説得力のある歌声について教えてください。☆

A.日本人の声楽や合唱が、前者を目指しているなかで、私は芯のある声での後者をより上位に置きます。ただし、ここでの説得力というのは、役者が力任せにせりふを言う喉声ではありません。せりふ、ことばの発音は、理想の共鳴からみると、それを妨げるものです。

ですから、私は、歌は音楽的な共鳴から、人間らしく、それを一部損ねたものとしてもみています。歌の表現力を目指すものとみているわけです。

喉を締めて押した声は、下手な声楽家だけでなく、ポップスのシャウト、役者などで、大声で怒ったり、ドスをきかすために用いられます。私は、喉によくないので、特別な応用例として位置づけています。

 

Q.そもそも、欧米人とは発声以前に耳が違うのではないでしょうか。☆

A.言語も違うと耳も違います。乾燥した風土で石造りの壁に囲まれていると、否応なしに声を出したときに共鳴に親しむことになります。室内に声がどう響いてくるのか、そこから感じながら自分の声を話しています。日本人には経験しにくいことです。

 

Q.日本の伝統的な発声は、歌に使えないのですか。☆

A.日本の伝統的というときに、それが邦楽の発声であれば、一般化はされていないので、芸事にもよります。ただし、そういう発声と今の日本人の声との距離は、西欧の発声よりも遠いかもしれません。

生活の中の声を含めるとしても、ここ50年で、かなり声の環境や使い方も変わりました。

声を使わないということはありません。私がみてきた限り、能や歌舞伎を幼い頃から学んでいる20代の人たちは、一般の人よりも遥かに声には恵まれています。また、邦楽の声が声楽に負けているわけではありません。7080代では勝っているようにも思います。

 

Q.声楽家の声や話し方がふしぜん、つくり声のように聞こえます。☆

A.声楽家にもよると思います。欧米の感覚で日常生活も通そうとしている人、オペラ歌手では、日本に住んでいても、すぐに舞台に対応できるように、渡欧時の感覚や発声を通している人もいます。特に勉強中は、意図的に偏向させているので、ふしぜんにみえることがあります。それをマスターしたのち、職業声として、役者の深い声と同じく、しぜんに使っている人、日本人には少ないのですが、外国人のように聞こえる人。あとは間違った押し付けや、深さで無理に声にしようとしている人いますが…。

 

 

Q.なぜ、昔の役者や歌手の方が大きな声が出るのですか。☆

A.第一に、昔の歌手や役者の条件は、大きな声が出ることだったからです。音響技術の悪いときに、声が届かなくてはいけないので、アナウンサーから歌手まで、応援団のような大声訓練をしていました。プロの基準とトレーニングは、声量本位でした。生活でも、今よりは大きな声をたくさん使っていました。職を続けているうちに鍛えられていたのです。

  

今は、歌手は高音が多く、声量にまでエネルギーを回せません。聞き手も声量を求めなくなってきています。大リーグでいうと、松井からイチローになったみたいなものです。

 ヴォイトレからみると、スケールの大きな歌手や役者が出にくくなり、よくないことと思います。現に、声優やお笑い芸人の方が、声量を求められ、その結果、レベルもアップしています。

 

Q.日本の声楽と邦楽の声を比べて、どう思いますか。☆

 

A.個人差が大きくあることは別にしてみます。歌では、さまざまなジャンルや分野、尺度によって比較もしようもないので、声としてみています。声そのものに関しては、一部の熟練の声楽家を除いては、邦楽の方が豊かかもしれません。少なくとも歌唱せずとも伝わる声をもつといえるでしょう。日本人ということを抜きにしても、邦楽が声楽より有利なのは、高音への挑戦を第一に目指さなくてもよいことです。もちろん、他の人に合わせるなど、自分本位にはできないことはありますが。

 

Q.イタリアの発声は前に、ドイツの発声は奥で出すのですか。☆

 

A.確かに、国や言語における違いはありますが、私はそのように教えられて喉を押したり、こもらせたり、張ったり、落としたり、掘ったり(これらはイメージ語です)して、バランスの悪いまま、それでよいと思っている人をたくさんみてきました。

 ここでは、国や言語や○○式、○○流に囚われないものをよしとしています。それぞれ、いろんなイメージはアプローチとしては、有効なこともありますが、アプローチと完成とは、別の形であると思ってください。

 

Q.ヴォイトレのメニュが多すぎて、どれをすればよいのかわかりません。☆☆

A.多くの人が細かくいろんなメニュを求めてくるので、そういうものをいろいろとつくって、部分的な対処をするのがヴォイトレのようになっています。しかし、本当はもっとシンプルです。私のでいうと「ハイ」や「アー」という一声がきちんと出せたら、発声としてはよいのです。最適の一つのメニュをみつけるために、いくつものメニュがあるのです。それを共鳴や歌唱に、そのまま応用できないうちは、いろんなフレーズでのトレーニングをします。いくつかの目的に対して、それぞれ最低限のメニュがいるということです。(♯)

2015年1月20日 (火)

Q.真似ることが学ぶことではないでしょうか。☆

Q.真似ることが学ぶことではないでしょうか。☆

A.それを金科玉条のようにいう人たちに反して私が、「真似るな、盗め(入れろ)」と言うのは、真似ることが、安易な誤解を招くからです。教習所で20年走っているから、F1のレースができるなどと、とんでもない誤解をして欲しくないからです。スピードは目的ではないのです。

しかし、現実には、音楽の世界は、レースやスポーツのようには目に見えない分、それが難しく、声は楽器よりも体としての個体差がある分、さらにことば(詞の世界)もあり、比較が難しく学びにくいのです。そのため、私は一般の人が、比較しているうちにわかってくる材料を徹底して捜し、何十回も使って効果をみながらセレクトしていきました。特に一人のアーティストや一人のトレーナーでなく、複数の一流のモデルの共通点に学ぶことで、個体の差からくるリスクを抑えています。

 

Q.よい歌とは、なんでしょうか。☆

A.退屈させる歌が続くなかに、衝撃のあるもの、心地のよいもの、生々しいメッセージが含まれているものが一曲入ると、新鮮さを感じます。一曲(噺なら一題)ですが、深い声になりやすいものを選んでください(外国語でもかまいません)。聞いたら、もう一曲聞きたいか、もう一曲持つかどうかでみます。2曲持てば、プロです。2曲できたら、次は6曲への挑戦です。本当に勝負できる作品というなら、一生かけてこれでも充分でしょう。

もっともよいのは、心地よく、乗れて、飽きないものです。清涼感があり、スッキリして、聞くだけで体が浄化されていくものです。すると、ことばやメロディよりも、声の音色、リズムというものの大切さがわかってきます。トップレベルの人が私の元にトレーニングを受けに来るのは、そこにある世界を求めてのことなのでしょう。

これは、今、流行の声に、エコーをかけた癒しの歌とは、全く違います。表面的に作られたものは、出だしを聞いただけで最後までみえてしまうわけです。聴衆にリードを許してしまったら(聴衆が読み切ったら)、ステージは成立しません。

よい意味で聴衆の予想を裏切り続けるために、すべてが見えるように歌ってしまってはいけないのです。常に創造する、そこがプロの持つ深さの違いです。そこを支えられる懐の深さがあってこそ、表現、それを最大限に発揮するための余裕や安定となります。

 

Q.気息音のトレーニングとは。☆

A.息が強いのは、欧米だけではありません。中国、韓国には気息音があります。これは息で強く出したあと、音にするのです。彼らの英語の歌は日本人よりよほどネイティブのように聞こえます。

Q.声立てとは。☆

A.「声立て」(起声、アタック、アインザッツ)とは、発声時の音の出はじめのことをいいます。これは、声門閉鎖と呼吸圧上昇とのタイミングによって、次の三つに区別されています。

1.「息を伴う声立て」(気息起声、H起声)・・・声門が閉じるより前から呼気流が強まり、音声に先立って気息音が聞こえます。

2.「硬い声立て」(硬起声)・・・声帯を押しつけるように、声門を強く閉じた状態から、強い呼気圧で声帯振動して発声が起こります。軽い咳払いやスタッカートの場合に表れます。(このような声門破裂音は[  ]の記号で表わされる)。

3.「柔らかい声立て」(柔起声)・・・声門閉鎖と呼気圧上昇がバランスよく整って、声帯振動が始まります。音声衰弱症の場合には柔起声ができなくなって硬起声を用いるようになることがあります。

発声の終わりは「止声」(アップザッツ)といい、声立て(アインザッツ)の場合と同じように3つの切り方があるのです。(♭)

 

2015年1月19日 (月)

Q.顔に表情をつけるには、どの筋肉を使うのですか。☆

Q.顔に表情をつけるには、どの筋肉を使うのですか。☆

A.たくさんあります。口の周りの口輪筋は、簡単に大きく動かすことができます。これを中心にしましょう。 頬筋(きょうきん)、口角挙筋なども使いましょう。

Q.しわはとれますか。☆

A.しわは、表情筋の走る方向に直角に生じます。よく動かすことです。

Q.「アー」と眉や口を吊り上げて発声、共鳴させるのは、表情筋と関係ありますか。☆

A.口角を上げること、鼻の横から上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋の順で動きます。口の近くでは、口角挙筋と笑筋です。ついでに「イー」と口を横に引っ張り、「ウー」と突き出してみるとさらに動くでしょう。☆

 

Q.顔をリラックスさせるために、どんな運動がありますか。☆

A.首を回したり、左右に傾げたり、左右におく、前後に振るなどは、すべて表情筋だけでなく、胸鎖乳突筋や僧帽筋、広頸筋などに作用します。あくびして驚いた顔をしたり、くしゃくしゃにつぶした顔もよいでしょう。

Q.喉がいつも渇くようになりました。☆

A.唾液の分泌がわるくなったのでしょうか。唾液は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大唾液線と、口唇頬粘膜などの小唾液腺から少し出ます。緊張すると自律神経で交感神経優位になり、喉も乾くので、リラックスしなくては出にくくなります。その他、いろんな原因があるので医者へ。

Q.滑舌練習に「タ カ ラ」の音を使うのは、なぜですか。☆

A.最近は「パンダのタカラ」とか「パタカラ」とかが使われているそうです。これは、調音点の違いから、その間を早く動かす、早口ことばのような効果を狙っています。

 タ(ダ、ナ、ラ) 歯(茎)音 舌下を硬口蓋へ上げる

 カ(ガ)     軟口蓋音  奥舌を軟口蓋へ上げる

 ラ        歯(茎)音 舌先が上げてはじく

 パ(バ、マ)   両唇音   唇で閉じしてはじく

 これを、10秒に何回言えるかを測ってみるとよいでしょう。

 

Q.発音を口内の使い方の不充分さでチェックをしたいのですが。☆

A.次の発音のチェックをしてください。

 「ぱも」→「ふぁお」になれば、口唇が閉じられていない(「ぱだ」→「まな」軟口蓋が上がっていない、息が弱い)

「だの」→「あの」になれば、舌の先がきちんと上がっていない

 「か」→「あ」になれば、奥舌が上がっていない

 

Q.手本をみて、脳で認識して、そこからの指令で神経が働いて、筋肉を動かせて発声すると正されるのでしょうか。☆

A.レッスンを脳生理学的に捉えるとそうなるのかもしれません。手順と考えると、時系列に並ばなくもありません。しかし、できるということは、多くの場合は同時です。発声したものが手順などは関係なく、よくなっていくのです。トレーナーには、手本がベストでも、その生徒には、トレーナーの写しはベストではないのです。感覚して動作となるのでなく、動作がそのまま出てしまう感覚でしょう。感覚は同時に含んでしまうということです。これが私の感じてきた、よいレッスンです。

 

Q.声と横隔膜のつながりについて知りたい。☆☆

A.声は、はらわたから絞り出します。はらわたは、口の奥のえら、

(

)

サメでは鰓裂での鰓呼吸で、そのエラ孔は、人の喉に名残を留めています。鰓孔を動かす筋肉が、人では顎から下がくびれて、喉仏になりました。喉頭筋も、咽頭から口腔にかけての筋肉も、すべて鰓の筋肉です。

 蛙は顎の筋肉として、膨らませて呼吸していますが、頸の全面の筋肉の一部が落ち込んでできたのが横隔膜です。これは、体壁筋のなかで、初めて呼吸のためにつくられた吸気のみ、周囲の筋肉の収縮で中央が沈む、というのが、三木成夫氏の説です。そこから彼は吸気の緊張の解放としての呼気=発声、おしゃべりや歌唱という論へ進むのです。

 

Q.声は、いつも出しているのに、なぜ習うのですか。☆

A.習わなくてよいのです。習いたいと思った人が習うのであり、習う必要のない人は、習わなくてよいのです。何らかの使途に対して不足や欠如を感じたら、それを補うために習うのです。(♯)

2014年12月24日 (水)

Q.ヴォイトレからみて、日本の教育で欠けているものは、何でしょうか。☆

Q.ヴォイトレからみて、日本の教育で欠けているものは、何でしょうか。☆

A.「清く、正しく、美しく」の理想は過去のものになりましたが、「正しく」というのは、他の人と同じようにできるように、という形で残っています。そこに過剰な生命力があれば、それを超えていくこともあるのですが、過剰は、正しい=普通、でないので抑えられています。人の示す正しさに合わせたり、追いつこうというのが、ヴォイトレでも何でも目的になっているようです。他の正しいに合わせるのでなく、自分を表に出す勇気と、それを裏付けるだけの力をつけていく努力に気づかせることでしょうか。

 

Q.自分の捉え方が足りないのはわかっているのですが、どうすればいいのかわかりません。☆

 

A.足りないときは、補っていくか、一度、忘れてみることです。たとえば、習字で字をみて、そのまままねて書いている人が多いのですが、師のそばに行くと、その腕の動きは、空間軸として立体的なものです。かつ時間軸として間、タイミングもみえますね。そのくらいの差があると思って、イメージを膨らませていくとよいと思います。

 

 

 

Q.ヴォイトレのなかで、与えられたメニュや方法のよしあしは、どう判断するのですか。☆

 

A.判断は不要です。私の考えるヴォイトレは、形づくるのでなく、発声への感覚を変えていく、そして、強化し、それに身体が耐えられるように鍛えていくものだからです。そこで強化とバランスという、一見反するものをどう処していくのかが、トレーナーの個性にもなるのです。

 

 

Q.発声法というのは確立しているのですか。☆

 

A.問うても仕方ないことと思うのですが、発声は手段で、作品ではないので、何かに対してどのくらい使えているかは、目的や専門によっても異なります。その人の声として、そのあり方をみて、その人の声の理想のイメージからズレをなくしていくものですから、個別のケース、別ケースです。確立していそうで、実のところしていません。

 

 

 

Q.自分の声を認識して、修正するのですか。☆

 

A.ヴォイトレではそのような手段をとっています。そのようにしか、手順として組めないと思われているからです。私は、フレーズを与え、即興で表現のオリジナリティをみるなかで判断しています。そこによりよいものが出れば指摘します。声というものは、単独にでなく、表現として取り込まれているものだからです。

 

 

Q.ヴォイトレをビジネスに役立たせるのはおかしくないですか。☆

 

A.ビジネスのためのヴォイトレ、ということであれば、それなりにメニュやノウハウもつくれます。私は、ど真ん中のヴォイトレが、ビジネスの場に応用できていくことを望みます。「こういうときに、この声を使うとよいので、トレーニングして出せるようにしましょう」ではなく、トレーニングしておけば、そのときに応じた、最もふさわしい声が出てくるということで行なうべきと思います。私は、ビジネスもアートも区別していません。

 

 

Q.伝わる声、伝わらない声は、声量とメリハリの違いですか。☆

 

A.それもありますが、体がついた声で、私は「肉声」と言っていますが、そういう声をもっているのかでしょうか。そのレベルならもっとも小さな声でも、病気であって息絶え絶えでも伝わります。口先だけの、立板に水のような語りでは伝わりません。

 

 

Q.なぜ、実体の伴った声が聞こえてこなくなったのでしょうか。☆

 

A.特に日本で、今、主張や説得に対して、何となく受け入れたがらない風潮が高まっているのを感じます。呼びかけがなくなり、書き込み中心になると、よい方向に行かないのに困ったことです。主体的に発言することと、本当の声は深く結びついているものなのです。

 

 

Q.呼吸のとき、お尻の穴をきつく締めるように言われました。☆

 

A.高い声を出すときなどに、そのように言うトレーナーもいます。そんなことでできるようになるなら、そうしてもかまいません。別のところに意識を向けることで、力を抜くことにはなるのでしょう。本当はそういうときにお尻の穴がしまっているのであって、そうしたらよいということではないのです。似た例は、たくさんあります。(喉頭を下げると高い音を出せるとか)

 

 

 

Q.モーツアルトの音楽を聴くと頭がよくなるのですか。☆

 

A.1993Nature紙に載って有名になった「モーツアルト効果」、これは、1999年、反論として、検証ののち出たもので、「室内認識のみ効果があるが、それは、モーツアルトの曲に限らない」「聴く人が楽しんでいるときだけの効果」などと否定されています。その効果と曲の音の情報構造との関連も不明です。つまり、大半は思い込み効果です。(♯)

 

2014年12月12日 (金)

Q.裏声をどこで使うのかを知りたいです。☆

Q.裏声をどこで使うのかを知りたいです。☆

A.裏声にするタイミングは声の調子がいいときにとる。歌によっても変えなさいといっています。音の高さで決めてしまうほうがやりやすいのは確かなのです。しかし、同じ高音でも、歌によって、高音が多ければキーを下げる、たったひとつしか高音がなければ、地声中心でかまわない。

上っていくときは地声でやる高音を、おりてきたときには裏声で使う場合も、めずらしいことではない、裏声からきたものは裏声で保っていったほうがやりやすい。発声練習も、地声で持っていけるところまで持っていく。上からは裏声から持っていくほうがいい。地声で固定して、今日は出しにくいとなったときに、裏声に合わせる人もいます。しかし、臨機応変でよいと思います。

 

Q.性別によって裏声の使い方の違いは。☆

A.裏声を使おうと思ったら、キーを高めに設定してみる。地声で歌うとなったら、低めにする。そんなに音域に余裕があるわけではないでしょう。女性は1オクターブ半くらいになったら、地声で歌えない。裏声で3度くらい上げてしまう方がよいでしょう。どっちつかずでは、地声でも裏声でもきつくなってしまう。

男性の場合でも下の1オクターブと上の1オクターブ、歌としては、分けている場合が多いですね。語りの部分があって、サビの部分があって、分けられるとよいのですが、それを行き来する曲はやりにくい。日本の曲のほうが、間をつなぐところが複雑に入っているので、歌いにくい。向こうの歌は低く歌っていたら、サビで高くなってというので、切り替えやすいのが多いでしょう。

 

Q.声域で状態が乱れがちです。声がガサガサになって、悪い状態になってしまいます。☆

A.まず、低音か裏声の練習をさせます。実際には高い音を出さなければいけないから、本番の前には、曲よりも高いところまでやっておかないと、喉がなれない。終わってまだ高いところを出していたら、また喉の状態が悪くなってしまう。回復しないから低音でクールダウン。別に高音の練習がいいということではないのです。ひとつのローテーションだと思うのです。

ずっと高音ばかりやっていたら確かに高音が出やすくなる。けれども、低音が失われてしまうのと、声の深さや芯が呼吸や体と結びつかなくなってしまうのです。高音の場合はよほどうまくやっていかないと無理がきやすいです。低音に戻して、きちんと発声をしてチェックすることです。人によりますが…。

 

Q.ベースの声はどこを中心にするのですか。☆

A.根本的な考え方は低音だけきちんとやっていたら、ライブのときは高音に切り替え、高いところで歌えばいい。高音のトレーニングばかりやっていることでは、中途半端になりかねない。よっぽど丁寧にやっていたらいいのですが、そうでなければ歌でやっていたほうが、喉に負担が来ない人も多い。裏声で、声を伸ばして丁寧にしておくというのは、また別の効果があります。低音では、無理にハスキーにしたり押し付けたりしがちなので、そこは、やはりトレーナーが必要です。

 

Q.ピアノに合わせると発声しにくい。☆

A.ピアノに対して声の接点がつかない人には、最初からピアノをベースにしなくてもよいでしょう。バンドで演奏するときも、メロディなりコードで捉えて歌うのですが、ポップスの場合は必ずしもピアノでやっていないし、カラオケもピアノで音をとるわけではないのです。ピアノの音を出されると、どこの音をやっているのかわからなかったり、「ド」にたいして「ド」を出せない人もいます。先生が声で出すと、出せるという人も多いのです。ピアノのことで問題があるのだったら、音高なしでヴォーカリーズ(母音練習)から入っていく。とはいえ、時間がかかっても、できるだけピアノに慣れるようにしてはいきたいのです。

 

Q.音感と発声のトレーニングの両立は。☆

A.音域も広すぎると、音程とかリズムをとるばかりで、発声がよくなるわけではない。音を丁寧に認識したり扱ったりすることに対して、感覚をつける。発声に関しては別にやっていく。発声だけをやっていたら音感の力がつくというのは理想です。しかし、ポップスの人に音程やリズム、読譜は慣れない人には、きびしい。カラオケで歌っていると声が楽に出るのに出なくなってしまう。曲をまるごと覚え、それで声が出るのであれば、そういうやり方のほうが、アプローチとして好ましい。曲らしくないことからのパターンもあるとよいです。音程とかリズム、バリエーションをたたき込んでおくと、歌ったときに、もう少し細やかに認識して、声に変えられるのです。どんなに音感トレだけをやっても歌は歌えるようにはならないでしょう。(♪)

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