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ヴォイトレレッスンの日々

18.トレーナーについて

2022年6月28日 (火)

Q.トレーナーのことばの意味がわかりません。

A.トレーナーのことばを全てわからなくてもよいと思います。聞いておけばよいし、心に留めておくとよいです。あまり大したことと思わないでください。たえず自分で新しいことばやイメージをつくって、使うようにしていくとよいでしょう。

他の人のことばや聞き慣れたことばを頼って行おうとすると、必ず、誰かのようにとか、過去にやったようになってしまいます。

Q.トレーナーに「違う」と言われたのですが。

A.そこが違うと言っても、わからないなら、私は何度も言いません。厳しくみたら、ほとんどすべて違っているからです。でも間違いではないのです。直させると間違いになることを恐れることです。ですから、「違う」ということばをあまり使いません。

 違っているままでも、そこに本人が気づき、それで決めたら、違っていても通用するようになることもあります。そこだけを取り上げてはいけないのです。深みに落とし込めるようになるまで待つことです。

「違う」に対して「いや合っているはずだ」と言う人には何を言っても仕方ないでしょう。「はい」と受け止めたあと、なぜ違うと言われたのかを研究して自分なりの結論を出せばよいです。

ただ「違う」だけをくり返すトレーナーもいます。それも不親切なことですが、必ずしも悪いことではありません。一体、違うとは、同じとは、どういうことかということです。

2022年6月27日 (月)

Q.トレーナーが、本の答えと異なる答えをしました。

A.答えは、そのときその場で違います。聞く人も答える人も時も場も違うのに、同じ答えなら、トレーナーはいりません。私自身も、変化、成長していますから、同じ問いへの答え方も変わるのです。本だけでなく、こうして更新し、最新の答えを出しています。標本、過去の遺物にしないで欲しいと思います。

 相手が違えば、同じ質問に反対の解答をすることがあります。あなたも、10歳の子と30歳の大人に同じ答え方をしますか。答えだけでなく、その答え方も違うでしょう。首尾一貫していない、それもよしとします。

 

Q.トレーナーにつく本当の理由は。

A.トレーナーによってですが、レッスンの内容でなく、その存在によって、どう声に接するかからどう生きるべきかまでを学べるものです。

2022年6月26日 (日)

Q.未熟なトレーナーでは使えませんか。

A.私も含め、誰もが未熟です。そのことがわかっているトレーナーの方がよいと思います。それがわからないトレーナーは、私としては使いたくありません。でも、人間ですから、ときに自惚れたり、勉強して自信をもったりして、得意になっているときもあります。過去の事や実績をひけらかすのは好ましくありません。そういうときは、私は、プロや難しい症状の人を任せて、レッスンをゼロから考えさせる機会を設けることもあります。

 万能なトレーナーも、完璧なトレーナーもいません。日々、それを補う努力をしていることが大切です。生徒さん以上に学んで成長しているのが、よいトレーナーです。少々器用で声が出てうまくても、日々の記録やレポートを怠るようなトレーナーでは続きません。

 生徒よりうまいとか、キャリアがあるとか、先輩だからというのでなく、生徒よりもすぐれた学び方、問題の見つけ方、解決のアプローチを知って対処できる力、日々成長できる力のある人を求めています。

 

2022年6月24日 (金)

Q.トレーナーが固定した方法やメニュを持って行うのと、相手によってメニュを自在に変えるのは、どちらがよいでしょうか。

A.固定した方法やメニュと、相手によって変わるメニュ

どちらも一長一短があり、その二極の間にもさまざまなスタンスがあります。生徒の対応しやすいのは後者、トレーナーのやりやすいのは前者です。データとしては固定した方が比較しやすいです。

2022年6月22日 (水)

Q.すぐれたトレーナーとは、どんな人でしょう。☆

A.声にすぐれていることは次点です。私は、相手に、そのトレーナー本人よりも大きな力をつけさせられる人だと思っています。早く楽に、をあえて問わないことでしょうか。どんなに声や歌にすぐれた人でも、相手が自分と同じ年月や年齢、練習量で追い越せないくらいの上達であるなら、何をやっているのかということです。

2022年6月21日 (火)

Q.教える人が気をつけることは何ですか。

A.一つしか正解がないと思わないことです。多くのトレーナーが「一つのことを正解と示す」、そのこと自体が私から見ると不正解です。レベルが低いというのでなく、「正解がある」と教えるのは教える側の便宜だからです。

 大体は、本で読んだり、人から聞いた方が正しいことというくらいです。せめて「今の段階では、仮によしとする」と伝わればよいのですが。それを言わなくてはならないようでは、混乱と不信を招くので、言えないものです。誰もが断言してもらうことを望むからです。だから、そうしてはよくないのです。

 

2022年6月20日 (月)

Q.トレーナーは、誰よりも曲のよし悪しを知っていますか。☆☆

A.トレーナーは、曲より歌唱を、好き嫌いでなくすぐれているかどうかをみるのが仕事です。甲乙をつけるのはよいということではありません。まして、知っている数などは、どうでもよいでしょう。とはいえ、人並み以上、マニア以下というところでしょう。

常に知らないもの、未知の可能性へどうアプローチできるのかという応用力が問われているのです。

2022年6月19日 (日)

Q.トレーナーとして、生徒の本音が気になります。

A.その人の生い立ちなどを聞いて、ストーリーを読み取るのは、よし悪しがあります。今や、多くの人が自分について他人に語るためにストーリーをつくっています。本人もつくっているうちに創作が本当のことになり、信じ込み、抜け出せなくなっているのです。そのストーリーをこちらが、そのまま信じるのは丸め込まれることになります。そこで、あっさりと騙されてしまうように未熟では、仕事も務まりません。それは、本人がそう解釈したいストーリーと思えばよいのです。私も、トレーナーから「生徒にこう言われました」と聞いて、それを鵜呑みにしないように注意することもあります。何が本音かは、ことばの裏にあるのです。

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