Q265.フラットしてしまう。
A.その人の中に音楽の流れの線が入っていないと、フラットしがちになるのです。
例えばプロでも、音がフラットすることがありますが、聞いていて不快ではありません。歌が聞こえてくるから、そうは聞こえないし、気づかないのです。ところが、音程で聞かされると、そういうことが気になるのです。歌はその人が作るのですから、ある範囲の揺れがあってもよいのです。そういう聞き方をさせてしまうのがいけないのです。
音程をはずしてしまう人の一番の原因は、音程をとりにいくからです。歌い手が歌の中で音をとりにいくと、聞いている人も音をとりにいくのです。だからはずしたときに目立つのです。
外国人はあまりそういうことは考えていません。文化的な違いもあります。日本人は高低で捉えます。
皆さんの質問で、声の高さとか、音域に関することがとても多いのは、日本人に声域がないこととともに、声を高さにこだわって聞くからでしょう。日本語は「橋」と「箸」も音の高低で聞きわけているのです。向こうはそれが強弱です。音程ということは、高い声や低い声を気にするのと同時に、メロディアクセント、要はメロディを聞いてしまうのです。
「ドミレド」と音をとることが練習で、そこに「わたしは」とつけていくのです。そういうものは、歌からはずれてしまっているのです。外国人の場合は、セリフで「わたしは」メリハリをつけていっているところに音の高さがついてくるのです。