Q3344.高音域が詰まってしまいます。
A.たまに見受けられるタイプですが、高音域をはっきりとした母音で発声しようとしすぎるタイプの人がいます。高音域は、パッサッジョを超えてアクートという域に達したとき、ことばをしっかりと発音できる域ではなくなってきます。
往年の大テノールで、Giusepope Di Stefano (ジュゼッペ・ディ・ステーファノ)という歌手がいました。ステーファノはアクートでことばをはっきりと発音しすぎようとする歌手で、若い頃は開いた声ながらも高音が出ていましたが、晩年の録音を聞くと高音域のクオリティがとても残念なことになっています。パッサッジョからアクートにかけては、口の中のフォームや響きのポジションを意識して、無機質な形を作り、息のスピードで表現をコントロールする必要があります。アクートで子音をはさんでことばを発音しなければならないときは、子音の発音される接着面を限りなく小さく鋭くするイメージも必要です。(♭∀)