Q3666.オペラ近代発声(ヴェリズモ発声)について教えてください。
A.咽頭壁を故意に広げた古いドイツ発声などを未だに行っている人は、ヴェリズモ発声について様々な誤解をしているようです。ヴェリズモオペラは、喜び、悲しみ、怒り、恨み…など、強い感情表現が求められるので、リートや歌曲のテンションでは不十分です。従って、表現の弱い人は声、肉体を徐々に鍛え上げなければなりません。そこで一つの誤解が生まれます。強い声=強い力=力み、硬直=喉声=すぐにダメになるのような公式を作ってしまいがちのようです。まず、硬直はよくないですが、硬直とは、脆弱な筋肉がもたらすものです。筋力が弱い為に、最大限に収縮し、硬直するのです。
強い表現を硬直無しに歌う為にも鍛える必要があると思います。全身の基礎的な筋トレは必要だと思います。一番多いタイプが咽頭壁を広げて、声を後ろから上に回して出すタイプです。このタイプの歌手の特徴は、目を見開き、眉を吊り上げて、びっくりした表情になります。このタイプがヴェリズモオペラ歌えないタイプと言って過言では無いと思います。
胸の止めが全く無いタイプとも言えます。真実味が命のヴェリズモオペラで胸の止めが無いのは致命的です。またまたここで誤解を生み出します。胸の止め=胸声=胸に落ちた声=高音域が出なくなる。これは非常に多いです。胸と頭の絶妙なバランスを習得するのは容易では無い為、バランスを崩した例を取り上げ、否定的に見る人が多いようです。
特に重い声のカテゴリーに属する人が、胸の止めをキャンセルして、咽頭壁を広げ、かるーく出す発声をやると、すぐに声を無くすでしょう。咽頭壁を広げ、目を見開き、眉を吊り上げて出す発声は、誰でもすぐに真似できます。しかし、本物のヴェリズモオペラも歌える発声は、簡単にはいきません。誰も悩み苦しみ時間を掛けて徐々に形になるのだと思います。そこが誤解を生む大きな原因の一つかもしれません。(♭∀)
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