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2012年3月 1日 (木)

Q3757.オペラの発声は不自然だと思いますが、ポップスに応用できますか。

A.一例として参考までに述べます。ポップス調の歌い方で、オペラ・アリアを歌うというフィリッパ・ジョルダーノさんという方がいます。NHKのテレビ番組でたまたま見たのですが、そこで彼女は、次のように話していました。

“私は、従来のクラシック歌手と違って、オペラのアリアを自然な発声で(所謂「ソプラノの声」でなく)歌いたかったのです。オペラ歌手の両親の演じてきたオペラのアリアをカンツォーネのように歌いたかったのです。母からは声楽を教わり、父からも沢山の助言を受けました。そして、今に生きるオペラの魅力を伝えたい。いつの日にか、ポップスの歌手ばかりでマイクをつけてオペラを演じたい。でも、初めはなかなか私の考えを認めてもらえなかった。”

更に、以前彼女は“13歳の時ポップスと出会いその自然さにとても魅かれ、オペラと違って発音や歌い方が自然でわかりやすかった。でも母はオペラ歌手ですのでアリアも大切にしてゆきたい。その結果二つが混じり合い自然でよりシンプルなアリアになりました。”とも語っていました。そして、今や、フィリッパ・ジョルダーノさんのこのような歌に対しての姿勢が沢山の人達に受け入れられて、彼女のCDは飛ぶように売れ、演奏会も若い人達でも大変な盛況の様子です。フィリッパ・ジョルダーノさんのCDでは、彼女の得意とする“私のお父さん”“歌に生き、恋に生き”では、ポップス調の歌い方に拘った為か、曲の途中でがなり立てていました。“私のお父さん”では、お父さんへの心からの御願い、“歌に生き、恋に生き”では、神様への祈りを歌っているのに、何故彼女はガナルのだろうか?ととても不思議であり、とても聞き苦しく感じました。もしかしたら、彼女は未だ、彼女にソプラノの声を教えてくれたお母様のソプラノの声を自然と感じるまでに到っては居ないのではないでしょうか?或いは、彼女が尊敬しているというソプラノの故マリア・カラスの声が自然の声とまでには完成されていなかった為に、故マリア・カラスの声、即ちソプラノの声が不自然と感じているのではないでしょうか?

オペラの声、声楽の声は、究極に極めると“自然な声”になるはずです。ただ、自然な声まで極められた例はごく少数であり、完成されていない多数の声を自然でないと解釈してしまうフィリッパさんには少々違和感を覚えました。(♭∀

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