Q4004.言葉の処理の方法について詳しく教えてください。
A.同じ言葉を処理するにしても、喋る時と歌う時では口の動きが変わります。ある意味これが一番難しいと思います。なぜなら、私たちは言葉を喋っている時間が多いですから、いざ歌の時は口の動きを変えろと言われても、すんなりと分けられるものではないからです。喋っている時の口の動きをよく思い出してください。何を発音するにしても、下顎が主導して動いているはずです。
しかし歌唱の場合、下顎はしばしば良い発声の障害になります。なぜなら、下顎の近くにある筋肉が声帯を動かす筋肉と直結しているからなんです。良い発声をするためには、つねに声帯付近を柔軟に動かせる環境を作らなくてはなりません。下顎の動きによって声帯の動きが制限されてしまえば、思うような声が出し辛くなってしまいます。
基本的に、歌声と言語は水と油のようなものだと思います。しかし、「歌」は言葉がなければ成立しません。じゃあどのように融合していけばよいか、トンネルを流れていく声の方向に合わせて発音していけばよいのです。もっと簡単に言うと、上顎を動かして発音をします。喋っている時とぜんぜん違う動きになりますね。でも、これを習得しなければ、歌声と言語の融合はできません。
例えば、「TA」の発音をしてみましょう。喋るときは、「T」を発音するとき、舌は硬口蓋にくっついた状態から前に押し出すような動きになるでしょう。また、それに続く「A」を発音するために下顎が自然に下がっていくようになります。しかし、歌の場合には、「T」を発音するとき、硬口蓋にくっついた舌を、硬口蓋を真上に跳ねることによって発音します。こうすれば歌唱の動きと一致してきますよね。それに続く「A」も、上顎の硬口蓋の部分を真上に上げ、「A」を認識されるまでの空間を作ります。下顎は動かしません。ちょっとは下顎も動くのですけど、喋っている時よりは格段に動く幅が少なくなります。
つまり、すべての子音・母音に対して、基本的には上顎(硬口蓋)を真上に開くことによって発音をします。そうそう、「M」なんかもわかりやすいですね。普通なら唇が合わさった状態から前方向に押し出されますが、歌の発音の場合には、唇が合わさった状態から、上唇を真上に引き上げることで発音をするのです。これができてくると、発音による歌声への悪い影響が少なくなってきます。(♭∀)
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