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ヴォイトレレッスンの日々

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2014年10月15日 (水)

Q.アーティストの才能があれば、ヴォーカルの才能になりますか。☆

Q.アーティストの才能があれば、ヴォーカルの才能になりますか。☆

A.ヴォーカルの活動は、役者と同じく、かなり総合的な才能に支えられています。音楽的にすぐれた才能をもつ人もいれば、役者の才能をベースでやっていく人もいます。音楽的な才能は、音楽を通して磨かれるものですから、他の分野では、一流といわれる人が歌って、それなりにうまくても、音楽性に欠けることはよくあります。一方、プレイヤーとしてミュージシャンとして一流の人でも、声が不足していると、やはり物足りないものです。(♯)

 

Q.自分の練習が思いこみで間違っていないか不安です。☆

 

A.そういう感じがあってもなくても、ヴォイトレならば、間違っている可能性が高いと思います。絶対に正しいと思い込んでいることでさえ、方向違いや、逆効果もあるのです。正しいとか方向とか効果というものを定められないなら、行けるところまで行くことでしょう。それで限界が分かったり、稀に突き抜けたりすることがあります。迷って進めなければレッスンにきてください。トレーナーは、あなたの何かを抑えて、次へ行くところへの方向とやり方を定めてくれるはずです。不安や葛藤が、次に行くことよりも大切なこともあるのですが、トレーナーにつくと、より高いレベルでの問題となるはずです。

 

 

Q.ずっとうまくいかないときには、どう直そうとしていますか。☆

 

A.いろんな直し方がありますが、私が述べてきたのは、方法でなく、結果としてみること、トータルとしてみることです。今ここで起きている問題とみえることを、今ここで直そうとして直るのは、大体、本人が直しているのです。ですから直せない、そこで直しても、またもとに戻ることが多いのです。そこで直そうと思い込んでいることが、直せない一要因になっていることが少なくありません。つまり、そこで直そうとせずに、それを支えているところを、よりブラッシュアップしていくのです。部分にこだわるのでなく、トータルにみて、別の部分や別の方法で対処するということです。より基礎を固めるということです。

 

 

 

Q.直そうとしていることがよくないというのはどうしてですか。☆

 

A.直そうというときには、歌とか発声のトータルの流れから、音程とかリズムとか高い音、発音…など、一つの問題だけを取り上げて、がんばっているわけです。その修正プログラムをいくつもつくってきた私からみると、ほとんどは、単独でなく、いくつもの問題が絡みあっているのです。そのため、その一つだけを直しても直らないし、意味もない。その問題は、本当の問題でなく、部分的な問題にすぎないことがほとんどだからです。つまり、音程を正しても、高音に届いても、歌という点では、欠点を隠しただけで少しもよくなっていないのです。これをヴォイトレの指導と思ってやるから、本人が気づかず、いつまでもレベルが上がらないことが多いのです。ヴォイストレーナーの陥りやすい自己満足ですので、私はかなり厳しく自戒させています。

 

 

Q.問題の設定についての問題ということですか。☆

 

A.問題としてどのように取り上げるかは、スタンスといって、私はとても大事にしています。問題は、取り上げるから問題になるのであって、取り上げなければ問題にならないことも多いのです。トレーナーとしては、問題の存在を指摘した上で、正すことを求められます。そのために常に直しやすい欠点を探し、列挙するようなことをしがちです。しかし、多くはベースの力がつくことで、しぜんと解決してくこともあるのです。いや、それしかないのです。本当の目的は何なのでしょうか。例えば、それが、客を喜ばせる、感動させる、すばらしい声で歌うことに寄与するのか、などでしたら、常にそこからみるべきです。

 

Q.これまでに出したことのないような声を体験できました。どうしてですか。☆

 

A.その声がよいのか悪いのかわかりませんが、そういう変化を起こすことが、私の思うヴォイトレの役割なのです。これまでの自分のイメージや、習慣としてくり返していた、体が覚えてしまっていた発声をストップしたために新しく経験できたのでしょう。

 

 

Q.よく学べる人、学べない人は、何が違うのでしょうか。☆

 

A.私のところでは、トレーナーがそれぞれ異なるメニュをいろいろもっています。相手のタイプによっては、ほぼ同じようなレッスンになります。なのに、そこからすごく学べる人と、学べない人がいます。私の本を読んで、すごく学べたと感謝してくれる人と、役立たなかったと言う人といます。それは、目的、レベル、あるいは相性の問題なのでしょうか。

 

私が学ぶ立場に立ったなら、レッスンでも、本でも、できる限り学ぼうとして接します。どんなレッスンでも本でも、すべてがよいというのでなく、その人なりに学べるところと、学べないところがあります。その比率や数を考えても仕方ありません。学べるところだけ、学べばよいからです。一行でも一言でも学べたら、そこからできる限り、自分に役立て成長しようとすればよいのです。学べないように思ったら、自分に何らメリットがないのです。誰もが学べないようなものからでも学べるくらいの力がなければ、プロにはなれないでしょう。

 

 

Q.正しい自覚と客観視とは同じことですか。

 

A.どちらも声に関しては、とても難しいでしょう。プロの歌手や邦楽家でも声そのものにどのくらい自覚があるかというと、どうでしょうか。ステージに対しての自覚は、誰でもあると思います。声となると、かなりのベテランでないとわからないことかもしれません。私は、その2つは内的と外的(第三者)で分けたいようにも思います。人を教えて、初めて気づく人も多いです。

 

 

 

Q.新しい感覚とよく言われますが、それは、積み重ねの上に出てくるのですか。

 

A.トレーナーとして、積み重ねの上に出てくる学習効果のように言いたいのですが、私たちの体でさえ、過去を引きずりながらも、毎日新しく生まれ変わっているのです。まして、感覚をどう判断すればよいでしょう。

 

私がよく例えるのは、「Aが正しい。Bが間違い」でなく、A―Bの間にもたくさんの答えがあり、そのどれがよいかを明らかにしようとトレーニングしていると、いつの間にか、AでもBでもないし、その間にもないCというのが、一つ上の次元に出てくる。そして、AとBを包み込んでしまう。新しい感覚として、これまでの矛盾も選択そのものも否定、なきものにしてしまうということです。

 

 

 

Q.長所を伸ばせば欠点は克服できるって本当ですか。

 

A.そう考えて、アプローチする方が楽しいでしょうってことです。ただでさえ日本人は、間違いを直して一つだけの正しい答えを出せるような教育で固まっています。欠点というのは、長所がないから悪く目立つのです。目立つのだから、取り上げなければよいと思うのです。私はみないようにしています。

 

 

 

 

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