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ヴォイトレレッスンの日々

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2014年12月24日 (水)

Q.ヴォイトレからみて、日本の教育で欠けているものは、何でしょうか。☆

Q.ヴォイトレからみて、日本の教育で欠けているものは、何でしょうか。☆

A.「清く、正しく、美しく」の理想は過去のものになりましたが、「正しく」というのは、他の人と同じようにできるように、という形で残っています。そこに過剰な生命力があれば、それを超えていくこともあるのですが、過剰は、正しい=普通、でないので抑えられています。人の示す正しさに合わせたり、追いつこうというのが、ヴォイトレでも何でも目的になっているようです。他の正しいに合わせるのでなく、自分を表に出す勇気と、それを裏付けるだけの力をつけていく努力に気づかせることでしょうか。

 

Q.自分の捉え方が足りないのはわかっているのですが、どうすればいいのかわかりません。☆

 

A.足りないときは、補っていくか、一度、忘れてみることです。たとえば、習字で字をみて、そのまままねて書いている人が多いのですが、師のそばに行くと、その腕の動きは、空間軸として立体的なものです。かつ時間軸として間、タイミングもみえますね。そのくらいの差があると思って、イメージを膨らませていくとよいと思います。

 

 

 

Q.ヴォイトレのなかで、与えられたメニュや方法のよしあしは、どう判断するのですか。☆

 

A.判断は不要です。私の考えるヴォイトレは、形づくるのでなく、発声への感覚を変えていく、そして、強化し、それに身体が耐えられるように鍛えていくものだからです。そこで強化とバランスという、一見反するものをどう処していくのかが、トレーナーの個性にもなるのです。

 

 

Q.発声法というのは確立しているのですか。☆

 

A.問うても仕方ないことと思うのですが、発声は手段で、作品ではないので、何かに対してどのくらい使えているかは、目的や専門によっても異なります。その人の声として、そのあり方をみて、その人の声の理想のイメージからズレをなくしていくものですから、個別のケース、別ケースです。確立していそうで、実のところしていません。

 

 

 

Q.自分の声を認識して、修正するのですか。☆

 

A.ヴォイトレではそのような手段をとっています。そのようにしか、手順として組めないと思われているからです。私は、フレーズを与え、即興で表現のオリジナリティをみるなかで判断しています。そこによりよいものが出れば指摘します。声というものは、単独にでなく、表現として取り込まれているものだからです。

 

 

Q.ヴォイトレをビジネスに役立たせるのはおかしくないですか。☆

 

A.ビジネスのためのヴォイトレ、ということであれば、それなりにメニュやノウハウもつくれます。私は、ど真ん中のヴォイトレが、ビジネスの場に応用できていくことを望みます。「こういうときに、この声を使うとよいので、トレーニングして出せるようにしましょう」ではなく、トレーニングしておけば、そのときに応じた、最もふさわしい声が出てくるということで行なうべきと思います。私は、ビジネスもアートも区別していません。

 

 

Q.伝わる声、伝わらない声は、声量とメリハリの違いですか。☆

 

A.それもありますが、体がついた声で、私は「肉声」と言っていますが、そういう声をもっているのかでしょうか。そのレベルならもっとも小さな声でも、病気であって息絶え絶えでも伝わります。口先だけの、立板に水のような語りでは伝わりません。

 

 

Q.なぜ、実体の伴った声が聞こえてこなくなったのでしょうか。☆

 

A.特に日本で、今、主張や説得に対して、何となく受け入れたがらない風潮が高まっているのを感じます。呼びかけがなくなり、書き込み中心になると、よい方向に行かないのに困ったことです。主体的に発言することと、本当の声は深く結びついているものなのです。

 

 

Q.呼吸のとき、お尻の穴をきつく締めるように言われました。☆

 

A.高い声を出すときなどに、そのように言うトレーナーもいます。そんなことでできるようになるなら、そうしてもかまいません。別のところに意識を向けることで、力を抜くことにはなるのでしょう。本当はそういうときにお尻の穴がしまっているのであって、そうしたらよいということではないのです。似た例は、たくさんあります。(喉頭を下げると高い音を出せるとか)

 

 

 

Q.モーツアルトの音楽を聴くと頭がよくなるのですか。☆

 

A.1993Nature紙に載って有名になった「モーツアルト効果」、これは、1999年、反論として、検証ののち出たもので、「室内認識のみ効果があるが、それは、モーツアルトの曲に限らない」「聴く人が楽しんでいるときだけの効果」などと否定されています。その効果と曲の音の情報構造との関連も不明です。つまり、大半は思い込み効果です。(♯)

 

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