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ヴォイトレレッスンの日々

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2015年1月 8日 (木)

Q.声の判断基準とは、何ですか。

Q.声の判断基準とは、何ですか。

A.ひと声の完成度か歌での表現力かにもよります。

ここからは、私の体験もふまえて、声の判断基準をどう得ていくのかについて、述べます。

トレーニングを指導する立場で、もっとも知るべきことは、トレーニングの成果である、ステージのせりふや歌のよしあしは、何によって決まるのかということでしょう。幸い、私の場合、プロをレッスンすることから始めたために、ステージですぐに求められるものという現実と、トレーニングでその人の可能性を引き出すという理想とのギャップや矛盾がよくわかりました。そのために、自分だけを見本とするような教え方をとらなかったのです。

プロの条件は、声のよしあしとも全く違っています。また、せりふや歌は、楽器のプレイヤーのように、演奏のテクニックの観点から瞬時に判断できるようなものではないのです。

それでも、一声で人間のすごさを知らしめるせりふや歌というのもあります。昔は、多くの人がそれを目指したのではないでしょうか。今もオペラの世界では、それが第一でしょう。とはいえ、テノールもハイC(最高音)の一声だけでよしという時代ではなくなりましたが。

トランペットで一音奏でる、それで思いを伝えるようなアプローチを声で行ってみましょう。

 

Q.イメージとしては、どうもてばよいでしょう。

 

A.どこかに次の3つを持っておきましょう。

 

1.声の発声原理をつかむ(オリジナルの声、発声)・・・1~2音

 

2.その声を動かし、表情も含め方向づける(フレージング、声の使い方、おき方)・・・半オクターブ、1フレーズ (1020秒)

 

3.せりふや歌唱として表現する(組み立てる、構成する)・・・1オクターブ以上 (1~3分間)

 

(この3のときに、最大限の表現をするのは、ステージ、本番、翻って1、2の上に成立しているかをみるのが、私の考えるレッスンです)

 

Q.表現の判断力を磨くには。

 

A.私は、歌においても、せりふを“歌声”よりも重要視してきました。この体験は今も私の音声表現の基準の原点となっています。

 

「一言が通じないうちに、ワンフレーズは歌えない、ワンフレーズが伝わっていないのに、1曲は歌えない」

 

こんな当たり前のことが、日本では見落とされがちだと思うのです。そこで、半オクターブ程度の音域の、ワンフレーズに2~3年をかけていくというトレーニング指針を打ち立てました。そのあたりが、音声を言語レベルで鍛えてきていない日本人のストライクゾーンだと思っています。たとえてみれば、皆、外国人の投げる高めのボール球を振っているから、きちんとした声とフォームがいつまでも身につかないのです。

 

 

 

Q.ことばでの練習法とは。

 

A.やってみましょう。 EX.「愛があるかぎり」(例 ドドシ ドシラソラ)

 

 まず、詞を声に出して読んでみましょう。少しずつメリハリをつけていきます。大きなイメージを持ってしっかりと言えると、ことばの流れから声の動きの線が出てきます。それを大切にフレーズに乗せていきます。これが「オリジナルフレーズ」づくりの入口です。感情が伝わるように表現してください。

 

何度か繰り返して、その心を表現できたら、メロディをつけてシャウトしてください。

 

 

 

Q.フレーズをひとつ聞いても、その人の実力は分かるものですか。

 

A.おおよそわかります。実力のある人はワンフレーズで、全体の歌のイメージまでこちらに想像させてくれます。

 

声は、ワンフレーズ聞けばわかります。すべてはその一声の中に入っているということです。そのワンフレーズを常に同じレベルで歌えずして、なぜ1分間、3分間の歌を同じようにできるのでしょうか。その思いが、後のフレーズ・トレーニングで、音色中心のインパクトのある表現を求めることにつながったのです。

 

 

 

Q.高い音域でしゃべるように軽々とシャウトして、太い音色で歌える洋楽のヴォーカリストは、何が違うのでしょうか。

 

A.声の存在もありましたが、ともかく、聴いて退屈でないこと、これで80曲中、70曲は選外になります。

 

歌など、2曲くらいなら誰でももちます。1曲目はその人の顔、表情や振り、2曲目は、詞の内容などを聞いているものです。どんな人が自己紹介しても、5分間なら興味を持てるというのと同じです。しかし、プロの芸人は、その5分間の一瞬の間もタイミングを間違えず、芸の力を見せつけられるものでしょう。(漫才のM1グランプリ優勝組レベルで想像してください)

 

Q.練習のときの声に関するイメージのもち方は。

A.自分のレベルに応じて、変えていくことです。ヒントとしては、

 

<レベル1>(初心者)動中静あり

 

 体が動いていることが第一です。常に体を動かし(表面的に動くのではない)、息を流しているのかに気をつける。

 

<レベル2>(二年まで)静中動あり

 

 体と息と声のバランスを体の中心で、とらえるつもりで行なう。イメージを確実に体に伝え、確実に声にして再現する。

 

<レベル3>(二年以降)一声一魂

  体を動かさずとも、声に応じて、息も体の支えも充分にできてきたら、表現に集中する。表現するときには、声のことは考えない。前に飛ぶ感じになる。

 

Q.「二極化」論について。

 

A.特に日本の場合、声楽の流れからきた唱歌、童謡、合唱と、役者の流れからきたフォーク、ロック、ニューミュージックと、大きく歌も歌声も二分されたままのようです。メロディをきれいな歌声で歌うことと、詞を伝わるように節をつけるようにすることも、分けて考えられているかのようです。未だ、声を楽器レベルに使ってセッションできるレベルに至らないのです。

 

かつては、大きく響く声のための基礎として、ポップスでも、声楽のような基礎トレーニングが必修に近かったのですが、今はむしろ、そのままの生声や美声?で、ダンサブルに、リズムに乗せたり、DJのように語るところから入っています。それゆえ、ヴォイストレーニングの必要性について、疑問を投げかける人もいます。私自身もいつも考えさせられます。歌手であれ、医者であれ、どこにも万人に通じるトレーナーなど、いないのです。

 

 

Q.欧米人との感覚の違う例を。

 

A.「Hon」を「Ho-n」と「H-on」で言い分けてみてください。

 次に、聞き分けてみましょう。私たちは、「Hon」を「Ho-n」と言います。欧米の人は、「H-on」に近いです。

 

Q.私たちの英語がカタカナ語になるのは、

 

A.外国人(特に欧米人)が日本語を話すときに、ダダダダ・・・と点切れになります。彼らは日本語が機関銃のように聞こえると言っています。おわかりでしょうか。高低アクセントの日本語を、強弱アクセントなしで聞いているのです。

 

これまで生きてきた年月、ずっと使ってきた感覚を用いて、私たちは言語も声も息も、ひいては音楽も受け取っているのです。それを大きく変えていくには、まず、こういう違いに気づかなくてはいけません。私たちが聞き分けられない、あるいはほんの少しの違いと思うことが、欧米人には大違いだということなのです。

 日本語、日本人、日本のルール以外のものに気づくことは、音声のよい勉強になります。トレーニングでは、自分の中のよいものを引き出していきますが、レッスンでは、もともと入ってないもの、足らないものから補っていく、つまり、気づいていないことを気づかせていくということです。(♭)

 

 

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