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2015年1月22日 (木)

Q.息を聞くこととは。

Q.息を聞くこととは。 

A.思えば、私が歌のレッスンで、最初に提唱したのは、息を聞くということでした。よくみていると、多くの人は、曲の音域の高いところ、大きく張ったところばかり、真似したがっているのです。

 

しかし、出だしの一声は、高くもなければ、声量が大きいわけでもありません。そこで同じレベルでできないのに、どうして2オクターブ離れたところで同じことができるでしょうか。つまり、出だしにおける差を、感覚や声の使い方、さらに声そのものの地力の差(声色、音色)だと判断できていないことが、最大の問題だと思ったのです。

したがって、洋楽でも、特に深い息の聞こえやすい歌をセレクトして、何十回と聞かせてきました。そこで使われている息がわかるにつれて、深い声や声の芯、芯のある共鳴などもわかってきます。特にポップスでも、ブルースやゴスペルが参考になります。結果として深い息にしていくのです。

Q.のどに負担を与えるとか、体や息を無理に使うのはおかしいのでは。

A.私のトレーニングの一部分だけです。私は、のどに負担を与えるように、体や息を無理に使わせていないのですが、自分一人で行うときにそのようにやってしまう人もいるのです。形だけを真似て、一人で自主レッスンするときにどんどん偏向させてしまう人はたくさんいます。そして、のどを悪くしてしまうのです。

トレーニングは、ある目的を遂げるために部分的に意識的に集中してやるもので、もとより「おかしい」ものなのです。しっかりとした条件づくりができてから、全体のバランスをとって戻していったあとで、器が大きくなったかどうかを問うべきなのです。

また、それをいうなら、一流の人ほど、表現もフォームも常人離れしているものでしょう。筋肉の動きを、力の働く方向から比較的つかみやすいスポーツのフォームでさえ、一流の選手であるほど個性の違いからくるフォームの独自性が際立ちます。自分自身の体の個性を活かし切っているから、そうなるのです。しかし、結果として、全体的にしなやかで美しいというのは共通する点でしょう。ただ、そのプロセスは必ずしもしぜんでしなやかで美しいものではない、それゆえ、結果が出るまで他の人に否定され続けたというのが事実でしょう。一流アーティストにもあてはまることです。

Q.感覚を磨くには。 

A.ある一曲を集中して何百回も飽きるほど聞き込んで欲しいのです。そして、その後、声の高低、強調、トーン、長さ、リズム、メリハリなどを、順番に一つずつ、声に出して(声が出せないなら、息だけでも口パクでもよいでしょう)楽しんで欲しいのです。あたかも幼い子供がピアノをめちゃくちゃに叩いて、驚いたり喜んだりするようにして欲しいのです。その繰り返しの中に、何かしら一つの法則が見えてくるようになり、いわゆる演奏家の元となる“感覚”といったものが生じてきます。子どもが外国語を学ぶときのように、頭でなく、体や心で捉えて、身に入れていくのです。頭でわかるのでなく、体に身につけることです。

Q.一流のせりふや歌を、どう聞くのか具体的に教えてください。

A.次のような観点をもって聞いてみましょう。

・ことばをきちんと言い切って、やたらとだらだら伸ばしていない。

・息を深いところで切っており、大きなフレーズで息にのせて歌っている。

・メロディラインも、その音をあてていくのでなく、深い息の流れのなかにしっかりと音をおいていくようなイメージである。

・音程の高低が目立たない。強弱のメリハリはしっかりとしており、音が高かろうと低かろうと、声色は安定している。細くカン高くはならない。とくに高いところほど、しっかりと強くキープしている。(共鳴に芯がある)

・はっきりとした個性ある音色の声を体が支え、動かしている。

・深い声、深い息、深い音色があり、体で支えてコントロールしている。(♭)

 

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