Q.のどを使わないとは。
Q.のどを使わないとは。
A.のどの上から押しつけたり、のど自体に力が入ると、浅いところが鳴ります。ここは、自分の耳には大きく聞こえ、歌いやすいため、勘違いしやすいのですが、のど声です。(自主トレーニングをする人の大半は、ここで間違えます)。のど元から拡散した複雑な声となり、完全なコントロールができなくなります。この場合、喉がびりっとひびき、のどに疲れが残ります。
Q.目指すべき発声とは。
A.のどに力が入らず、単純に頭から尾てい骨まで、声の共鳴の中に細くても一本通っているような声です。再現性のきく声であり、小さくも大きくも自由にコントロールできます。それをもってデザインするのです(この線を、高低の2本のラインで捉えるのもよいと思います。
息や声を何度も流すことによって、早く深いポジションで声になるように、体を変えていきます。のどで閉じている通路を、胸の中心まで縦に通すイメージです。腹筋も使いやすくしていきます。腹筋の強さや肺活量よりは、この体-息-体の結びつきの強さの方が大切です。
スケール練習の繰り返しで、のどを開いて深いポジションで声にすることを体で覚えましょう。そのようなことを繰り返す中で、体も息も声もよい状態になってきます。いつも一音目から最後の音まで、きちんと均等にとれるかのチェックをします。
チェックの目安としては、高い声やとても弱い声が出しにくくなるなら、やりすぎか、雑にのどを使いすぎです。
Q.「ハイ」のトレーニングとは。
A.それぞれを3回ずつ繰り返します。
1.息で(ハイ)と言います。(息読み)
2.(ハイ)(ハイ)(ハイ)と息読みをしたあと、一つおいて「ハイ」と声を出します。
3.(ハイ)(ハイ)(ハイ)・「ハイ」「ハイ」「ハイ」
4.「ハイ」「ハイ」「ハイ」
5.上記(4)を順に強くしていきます。
6.上記(5)で最大にシャウトしてみます。(のどが痛くなる人は中止)
ここで最大に出せる音量以上のものが、せりふや歌の中で出てくることはありません。
声のパワーをつけたければ、このトレーニングで最大音量を把握するつもりでやっていきましょう。
・あごが出ないように気をつける。
あごを開けるときに、開けながら少し後ろにひくとよいでしょう。日本人ならば、かなり引くほうがよいと考えてください。
あごのまん中(唇の下)を強く親指で押したり固定して発声するだけで、声や共鳴がよくなったりするものです。
Q.フレーズと響きのトレーニングとは。
A.声と共鳴を意識して行いましょう。
1.「ハイ」「ラー」
2.「ハイ」をドから半音ずつ上げていく(↑)。
3.「ハイ」「ハイ」「ハイ」をミレドの音程で(↓)。
4.「ハイ」「ハイ」「ハイ」をドレミの音程で(↑)。
このときに、声がのどにひっかったり、かすれたりしないように気をつけてください。
Q.「アオイ」のトレーニングとは。
A.ある程度の声量でのどをはずし、体からコントロールできるようになると、響きがついてきます。
そこからは、「アオイ」ということばで、フレーズの感覚をトレーニングしてみましょう。
「ア」「オ」「イ」ではなく、「アオイ AOI」と一言聞こえるように、「アオイ」の三音を一音で出す感覚で言い切るとよいでしょう。
しぜんと上に共鳴してきます。そこからは、上の響きを意識して、統一するようにしてください。
1.「アオイ」をドの音を聞いたあとに、その音で言い切ってください。
2.「アオイ」をドから半音ずつ上げた音につけて、言い切ってください。(下のドから、上のドまで)
3.「アオイー」を少しずつ伸ばしてください。
4.「アーオイ」「アオーイ」(3と同じ)
5.「アーオーイ」、ことばが統一するように注意してください。
6.「アオイ トオイ」「アオイ ソラ」「ナンテ アオイ」
適当に自分でメロディ、音の高さ、ことばを変化させてトレーニングしてください。もっともよいところを選んで、繰り返してください。
次に「アオイ」を「イエア」「アオウ」「ガゲギ」など、自分でやりやすいもので変えてやってみましょう。
Q.ことばのトレーニングとは。
A.自分で「ことばの練習帳」を2~15音くらいでつくってみましょう。自分で考えたことばの方がイメージが伴うので、よい練習になります。
《二音》 ハイ ナイ マイ ネエ ヘイ 愛 朝 空
《三音》 あした あまい ごらん あおい あわい おもい 遠い なんて
《四音》 思い出 見つめて 輝き さよなら 冷たい ひたすら 歩いた
《五音》 思い出す 知っている もう一度 泣かないで 青い空 あなたゆえ
《六音》 いつかきっと あしたまたね あきらめない 忘れないで なんてあおい
《七音》 かけがえのない 去りゆく今は 胸に残るは うつろなときを 二人の愛の
《八音》 ごらん夏の日の 苦しい悲しい じっとみつめて ひたすら歩いた
当面の課題としては、まわりの人にも一声で違いがわかる基本の声の力をつけていくことです。
1.一音を出すことについては、一流の域に入ることができるようになること
2.その一音で、体-息-声の結びつきを意識すること
3.のどを使わない発声を覚えること
高い音や強すぎる声、ハスキーな声を使わなければ、それほどの危険はないはずです。翌日まで、のどが痛くなるようなトレーニングは絶対にしないことです。
Q.共鳴での声になる効率を高めるには。
A.無駄な力をのどにかけないことです。体から声が出るようになると、その声を一つの線上(イメージ、感覚)にまとめていくことが、せりふや歌に対して自由に声を使いこなすための必要条件となります。声のポジションをとらえ、息をすべて声に変えて、お腹から出していきます。そのとき、頭の先から骨盤まで、息と声が一本になるようにすることです。声が口内や体内にこもらず、前に出るようにしてください。
次に「ハイ」の「イ」や「ハイラー」の「ラ」を共鳴として、軟口蓋から鼻のあたりに響く感じに捉えます。
つまり、「ハ」で深い声にしたあと、そのまま、ほぼ同時にのどを開放しているイメージで、響きをそこから上に縦に伸ばした線上でとるのです。つまり、胸の真ん中の共鳴から、のどのところを触らず、鼻のハミングで得られるあたりの共鳴を感じるのです。イタリア人や黒人の響いている言語音やバス、バリトンの声をイメージするとよいでしょう。
このときは、意識は胸か頭から、もっと前にもっていきます。何か言うときには、すでに、そこに声がついてきて集まって出ていくというイメージです。マイクにつきささるように鋭い声でありながらも、体がついている(肉がついている)ため、キンキンとせず、柔らかくしなやかな声ともいえましょう。
人によっては、体からしぼり出しているように聞こえる場合もあります。私はこれらを「肉声」といっています。感情が伝えやすい声ですが、一つ間違うと、のどに負担をかけてしまうので、気をつけてください。(息とのミックス度は、発音、言語や歌唱スタイルにもよります)
Q.声とことばを共鳴でまとめるトレーニングとは。
A.「ハイ」「ナイ」「マイ」「ネン」「ヘイ」「オウ」など、出しやすいものでやりましょう。
ことばをトレーニングするときには、表現できているかということを念入りにチェックしてみることです。そして、ことばをすべて統一していくとともに、ヴォリュームをアップさせていくことです。
一つの声としてのことばにまとめていきます。次に、ことばのフレーズ(一節)を大きくしていきます。そして、統一のレベルを上げていくのです。より大きくことばを統一した音声上に、表現がのるようにするのです。もっともお腹から言いやすいことばで行なってください。
やりにくい人は、次から選んでください。
「ヤッホー」「オーイ」「コラ-」「エへー」「イヤア」「ヤー」「ハイ」「オケ-」「ヘイ」
Q.深い声から共鳴にしていくトレーニングとは。
A.このなかでやりやすいものを選んで繰り返してください。<( )はブレスで行なう>
(1)「ハイ」 (2)「ライ」 (3)「ナイ」 (4)「ネイ」 (5)「ハイライ」
(6)「ハイラー」 (7)「(ハッハッハッ)ハイッ」 (8)「ハイラ、ラララ」 (9)「ハイ、ラーラーラー」 (10)「ガイ」「ゲイ」「ゴイ」「ギイ」
※「イ」はのどでしめずに「ハ(イ)」とひびきをそえるくらいで、強調しないこと。うまくいかない人は「イ」をとってください。
Q.母音での共鳴トレーニングとは。
A.舌の運動として、前に出して「アー」と言ってみてください。表情筋を大きく動かしてみましょう。
1.声域 高―低 [ドレミレド] (低高低<スケール>)をアーーーーで
2.声量 大―小 ア>ア>ア (だんだん強く だんだん弱く)
3.ロングトーン アーーーーーー (5秒 10秒 15秒・・)
4.母音 音色 イエアオウを同じ音色、共鳴で絞る (♭)