Q.「声を出す」のでなく、「声は出てしまう」というのは、どういうことですか。☆☆
Q.「声を出す」のでなく、「声は出てしまう」というのは、どういうことですか。☆☆
A.ヴォイスや発声とかスピーチというと、出そうとして声を出すことになるでしょう。普段喋るときや「ん」とか「アー」とか言うときは、考えませんね。
私は欧米の歌を聞いたときに、すでに出ている声を、わずかに変じて歌にしているということを感じました。出ない声を無理に出して歌う自分との差に唖然としたわけです。そこで、声の根本的な差を学んだのです。今でも日本人と海外との差は埋まっていないと思っています。発声―共鳴―発音が分かれる日本(特にミュージカル)と同時処理できる欧米など世界の差です。声を出すのでなく、声は充分に出てしまって、動きたがっているように使えるようにするのが、ヴォイトレの真髄と思っています。
Q.呼吸の深さ、深く呼吸するということを教えてください。☆
A.体全体に空気を入れる、いや、入れなくても入るような体にするということなのです。私は、浅い呼吸、深い呼吸の実演をして違いをみせることがあります。思い切り息を吐いてみてください。ファーと出て、すぐ終わりませんか。これが深い呼吸では息の抵抗のようなものがあり、いくらでも吐けるほどなのです。海外の歌手の吐く息に、それを聞くことができることもあります。
わからないのでしたら、逆に浅い息、気詰まりな場での自分や周りの息を感じてみてください。そのあと、外で思いっきり「ハァー」と換気したくなりますね。その差のような違いが、さらに大きくあるのだとイメージしてください。
Q.歌の評価について、最高のレベルをどのようにみていらっしゃいますか。☆☆
A.私は、ステージとは分けて、耳だけの判断でチェックしています。ヴォイトレ、発声の専門家は、演出家やプロデューサーがいるところでは、純粋に音楽面で担当して、その最高度の完成を目指すべきと思うからです。現実には、総合的なプロデュースは、観客の優先順位を踏まえるので、日本で、歌の声は劣位におかれてしまうのが、いつものことです。
音楽としての歌は、伴奏と共にその世界観のなかに溶け込んで流れて一体になっているか、それと解離して浮き上がり、独自の動きや感情をぶつけているかなどでみています。私は、これをサワリに例えています。よい声がただ、正しくこなされた歌、音程、リズム、目立って発音が聞こえてくる歌は番外です。すべてが一体になって迫ってくるものを期待します。本人が出すぎるのも、引っ込みすぎるのもだめです。
Q.体と息と声の結びつきとは、どうみるのですか。
A.体だけ、息だけ、声だけ10ずつ出せるとします。それがすべて結びついても、多くの人は5+5+5、あるいは、2+4+5みたいな形になります。10+10+10にするのは至難です。
声量と声域もよく似ていて、それぞれ10ずつあっても、歌うときは、(3、10)みたいな使い方になります。高音に届かせるための即効レッスンなどは、この技巧で種明かしできます。
イメージのことなので、ついてこれる人だけ先を読んでください。器づくりとして、(声、息、体)を(5、5、5)から(5、8、10)さらに(10、10、10)にしていきます。結びつきを100%にすることで、トータルも大きな器になります。
体と息、声の結びつきがよくないと、嗄れ声になります。体と息と声との関係もイメージですので、体=息、声の二つに考えても構いません。体が動いたら声が出る方がシンプルでよいと思っています。(腹式呼吸ということを示しているのでない)
Q.歌唱で、息がもっていないとは、どういうことですか。☆
A.瞬時に充分に吸気がなされていないこと、つまり発声への完全は心身の用意ができていないことでしょう。それでは、くり返しているなかで、だんだん遅くなったり、遅れたりしていきます。日本人のケースでは、厳しくみると、1曲で2番から、もうそうなってしまうことが大半です。(♯)
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