Q.話す力をつけるには、どうすればよいのでしょうか。
A.私には、さまざまな人の講演を聞いていた時期がある。その頃、不思議に思ったのは、次のようなことだった。
1どうして彼らは、人前で二時間も三時間も話ができるのか。
2二時間も話していて、聞いている人を飽きさせないのはなぜか。
3彼らと同じ話ができるようになれば、同じだけ人を引きつけられるのか。そして、実際に私は、(同じ話ができるようになれば:::)と試した。90分間、テープに録音した講演者の話から起こした原稿を読み上げてみたのだ(90分間どころか、10分間も話す内容のない当時の自分にとっては、内容はそこから借りるしかなかった)。しかし、すぐに退屈して飽きてしまい、やめてしまった。
それは、自分の言葉や考えではなかったからだ。いくら同じ話を同じように話すことができたとしても、そのことを体験し、気づき、練り上げてきた本人にかなうわけがない。だからこそ、彼らの話には価値があるということがわかった。
「すぐに内容のある話を作り、うまく話せ」と言われでも、それは無理な話から、真似から始めてみるのはよい方法かもしれない。何より話は、まず、「内容」ではなく、「伝え方」を学ぶことが大切だからである。そうでないとしても、両方いっぺんにやろうとするから、どうしても内容、つまり話の原稿にしか気がいかなくなる。それよりは、内容は他人の話からでも借りて、伝え方のトレーニングやチェックに専念してみる。同じ話を何度もやることで、自分の力もわかるし、何を学べばよいかもはっきりしてくる。すると、内容も煮詰まってくるだろう。
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