Q.歌の捨て方とは。
A.共鳴、ビブラートに頼り過ぎないことです。
「歌わないでください」と述べました。歌という形を形としてみせないことです。誰もデッサンの下書きを見たいわけではありません。無地のキャンパスに、デッサンを重ねていって、一枚の絵に仕上げていくのがライブです。特に、安易な共鳴、メロディでの処理、ビブラートは、歌を歌たらしめる要素であるだけに、そこでよしと思うと、それ以上の上達はできません。
歌っているように思わせないで、歌として、いえ、自らの世界を成長させることです。
これは映画だと思ったまま、見終わる映画は大失敗でしょう。役者が演じている芝居はどうでしょう。音大の教授や、いい年をした音大卒業生が仮装して出ているとみえてしまうような日本のオペラは、失敗でしょう。あなたがいて、その体から声が出てきて、その声自体に変じて、聞く人の心に働きかけたら、そこに歌があるということです。ギターを弾いて、マイクに歌えばいいというものではないのです。もちろん、そういうステージも悪くはありませんが、私の述べるトレーニングの必要性は、そこにはありません。あなたの想いを語るだけ、歌の形を捨てる、声で語りあげるのが歌ということです。(♭)
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