Q.脱力のイメージを教えてください。
A.「もっと喉の力をぬいて。」わりと多くの生徒さんが、この注意をレッスン中に受け、一生懸命に喉の力を抜いていることでしょう。もちろん、それほど悪いことではないのですが、「力を抜く」ということは、いろいろな場面で使われます。たとえば、「もっと肩の力を抜いて」などと。本来は、入り過ぎている力をほどほどに抜いて、ちょうどよい力の入れ具合で、物事やその動作を実行すると、効率よくさらに技術などの向上が見込まれるという場面で使われるフレーズです。
仮に、100m走のトレーニングの場面で、「もっと~の力を抜いて」と指導を受けながら繰り返し練習をしたとしても、力を抜き過ぎて走れなくなる選手はいないでしょう。走るために必要な最低限の力は、抜かないからです。抜き過ぎると走れなくなることが、誰の目にも、本人にもすぐに判るからです。ところが、発声になると、目に見えないために、行き過ぎた脱力も、あまり気にせずに長期間繰り返されたりします。熱心な生徒さんになると、日常生活の会話でさえ、「脱力」に取り組んでしまうので、気が付かないうちに、発声器官の廃用性萎縮につながってしまうかもしれません。よい声を出すための「脱力」で、声自体が出せなくなってしまうような本末転倒にならないように、気をつけましょう。(♭Ξ)
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