Q.胸を高く保つとは、どういうことですか。
A.歌うフォーム、姿勢に関して「胸を高く」「胸を広げて」と指導されることがあります。実際、どんな呼吸の方法であっても息は肺に入るので肺が膨らむのは同じですが、胸を意識的に広げたり高くすると力みやすく、かえって声の持続力がなくなることがあります。
例えば、吸気の際、肋骨の一番下の骨が広がらずお腹が膨らむような意識をもって行います。声をだす段階で一番下の肋骨や周辺が第一声で動いたり、上下、前後するようだと息の流れはぶれます。第一声でフォームが崩れてしまって中々立て直しがききません。母音のみの発声練習ではうまくいっても、発音や表現で動き過ぎてしまうこともあります。
例えばテノールやソプラノのように日常使わない超高音を出すときには胸を引き上げて非日常の動きをする必要もありますが、テノール、ソプラノでも中低音で胸を上げ過ぎたりすることは、あまりいい結果を生みません。
むしろ、柔らかい声、レガート、持続力、といった重要な声の要素がなくなってしまいます。猫背の人に指導するさいには必要かもしれませんが、基本的には胸を常に張っているなどの姿勢は声にあまりいい影響をおよばさないと思います。(♭Σ)
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