Q.日本人のスピーチの仕方の参考書に何がありますか。
A.『田中角栄の3分間スピーチ』(小林吉弥/光文社)を勧めたいです。元総理、故田中角栄氏の人心掌握術がくまなく描かれています。引用してみると
「ねえ、おつかさん。そうでしょう!」仲間意識で迫る、稚気、茶目っ気のある、角栄氏を彷彿させる。
「野党は…三味線みたいなもんだ」
「(百姓の子だから、緊張に対する訓練ができておらず…)ヤマドリを撃っていたようなもんだ」
「みなさん、私も人の子だ…」
「何十万年、何万年の歴史の上に今日がある…」
「クマやトラが出てきても、ジッとがまんしていればいいという人もいるが、そんなバカなことはないッ」
「いったん背骨を抜いた人間に骨を入れ、セメントで補強したようなもんだ」
「こういうことであります」
「…じゃねェですかッ」
「…られるわけはない」
「…では世のなか通らんッ」
「…ということになるんだ!」
「…しなければいかんのです!」
なんとも、活字だけでも人間味(=身・実)が伝わってきます。私は一度だけ、生で角栄氏のスピーチを聞きましたが、まさに絶品で、今も脳裡に焼きついています。(Э)