Q. お腹だけではなく背中にも意識を向けるように言われますが、わかりません。
A.歌う時にはお腹で支えてとか、お腹を張ってとか、なにかとお腹を使うように注意を受けることが多いと思います。初心者のうちは特に、お腹の意識が弱く、喉だけで声を作ってしまい声を体で支える意識が低いかもしれません。しかし、なるべく、息を吸って体が拡張した状態をキープしながら歌うように努めましょう。ある程度トレーニングを積んだ人は、背中側にも意識を向けられるといいと思います。声の支えには、横隔膜を下げるとか、張ると言われますが、横隔膜はお腹側のみならず背中側にもついているわけです。呼吸を支える筋肉は、体の背中側にもついていることを忘れがちです。背中で壁に寄り掛かるような感覚、背中で壁を押すような感覚が参考になるかもしれません。イタリア語で声を支えることを「appoggiare」といいます。もともとは、寄りかかる、立てかける、もたせ掛けるといった意味です。歌うときの支えは、踏ん張るのでも、張りだすのでもなく、寄りかかる感覚が一番近いのだと思います。(♯β)