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00.同問異答(20人のヴォイストレーナーと専門家の回答)

2021年6月30日 (水)

00.同問異答(20人のヴォイストレーナーと専門家の回答)移動のお知らせ

2021年7月より、Vol.120~「ヴォイトレQ&A(同問異答)」へ移動になります。

引き続き、ご活用ください。

2021年6月26日 (土)

Q. 声をどのようによくしていけばよいですか。自分の声がよくわかりません。よい声と悪い声とはどう違うのですか。声のタイプには、どのようなものがありますか。

. まず、声を出すのに必要な体の部分を、整えていきます。整えるというのは、弱ければ強化し、硬ければほぐし、動きが悪ければ、動きやすくしていくということです。具体的には、呼吸に関係する肩・胸・お腹周りの筋肉の、ほどよい強化とストレッチ。また、声帯周り、おもに首周りの筋肉の強化とストレッチ。そして、声をうまく支えるための、足腰周りの筋肉の強化とストレッチです。それぞれの実際の方法は、トレーナーによって、組み立てが変わってきます。ここまでは、基本です。

次に、自分の目指したい目的地を、設定します。どのような声を、目指したいかということです。これは、自分の声を、使いたいジャンルで、好きな声、憧れの声を見つければよいので、しっかり探しましょう。

よい声と悪い声というのは、喉によいか悪いかで、判断するのが自然です。どんなにそのジャンルで魅力的な声でも、その声を使うことによって、喉を傷めてしまうようでは、よい声とは言えないと思います。声を使いたいのに、声が出なくなってしまっては、本末転倒でしょう。

声のタイプには、ジャンルによって、さまざまなものがあると思いますが、おおよそ、太い声、細い声、輝きのある声、いぶし銀のような声、力強い声、柔らかい声、などでしょうか。(♭Ξ)

 

. 自分がよくなったと思える声のイメージがあるならば、そこにむかっていくためのプロセスを考える必要があります。しかしそのようなイメージがなく、自分の声がよくわからないというのであればまず、目指す方向性をある程度しぼってみるか、またはあまり方向性などはしぼらず単純な発声練習などの基礎的な部分とさまざまなジャンルの声を使う音楽やセリフ、芝居などをこだわらずに練習してみて、なにか自分の心にふれたジャンルを少し深堀りしてトレーニングしてみてもいいかもしれません。

指導者がいるのなら、自分の声をその指導者がどう分析しているかを何度でも納得するまで聞いてみていいと思います。

よい声と悪い声というのも定義はあってないようなものです。例えばオペラを歌う人からするとデスメタルのような声もアイドルのような声もNGなことが多いのですが、そのジャンルでOKならばよいということです。重要なのは自分がどのようなことに必要で声をよくしたいかということです。

声のタイプも同様です。もし現段階で、自分の声や何にどう必要かが不明確であるならば声のタイプなどはあまり気にしないで大丈夫です。

1.いつもより大きな声をだしてみる

2.お腹を意識して声をだしてみる

3.いつもよりたくさん息を吸って声をだしてみる

この3つだけでいろんなことが変わってきます。

まずは声をだしてみましょう。ただ声をだすのが難しかったら、何か歌ってみましょう。何を歌えばいいかわからなかったら、いろんなジャンルを意味もわからなくていいので歌ってみましょう。それでも難しかったら、漫画でもテレビの中のことばでもいいです。何か一つのことばを13までを意識して声をだしてみてください。(♭Σ)

 

. 声の出しにくさを感じているとき、もしくは自主練習で試行錯誤しているときなどに自分の声がよくわからなくなるのは、多くの人が経験する過程の一つだと思います。喉だけ、口先だけで声を出したり、力みが多かったり、その人特有の何か癖があったりと要因はさまざまですが、いずれの場合にしても身体の感覚が伴っていない(身体を使えていない)ことが共通しています。発した声と体感が一致していないので、どれが自分の本当の声なのかとわからなくなるのです。

まずは、身体を使えるよう基礎的な練習をすることです。「声」をどうするかはその後の話です。

私自身はレッスンで悪い声という表現をしたことがありません。もし敢えて言うなら、悪い声とは悪い発声で出したときの声でしょうか。

声のタイプは、例えば細くて高い声、太くて低い声、明るい響きの声、暗めの響きの声など、そのわけ方や表し方はいろいろあると思います。(♯α)

 

. 自分の声というのは自分一人ではわからないものだと思います。ですので、何がよくて何がよくないのかということもわからないのも無理がありません。そもそも「よし悪し」というのも、何を基準にするのかというエビデンスが不明確なまま、判断する人によって意見がわかれているのが現状だと思います。

声における専門的な立場ではない人の「よし悪し」の意見というのは、所詮「その人の趣味」と考えてもよいと思います。ですので、意見も十人十色となるでしょう。その意見に振り回されるというのは、あまり賢明なことではありません。

私がレッスンで「よし悪しの判断の基準」と定めて大切にしていることは、「その人にとって不自然な声になっていないか」ということや、「その人の声・音楽・語り方に、聞く人の心を魅了する要素があるか。内容を伝える力があるか」ということです。不自然な声というのは、あまりにも弱々しすぎて聞こえにくい声や、喉に無理を生じさせるような乱暴な声などがその一例です。声を改善していくために大切なことは、自分一人で悩まないことです。トレーナーの指導のもとで改善していくようにするとよいでしょう。

声のタイプについては、どのような視点で判断するかによって判断が細かくわかれる部分だと思います。そのため、意図が詳細にくみ取れない状態では何とも答えられません。型にはめるようなことはあまり考えず、自分の楽器の特徴や個性を大事に、あとは取り扱う作品に違和感なく対応できることを大事に考えてみてはいかがでしょうか。(♭Я)

 

. あなたが目指している分野によっても、どのような声が求められるかが変わってくるかと思います。明瞭な発声が必要な職種なのか、発声というよりアピール力が必要なのか。

よい声としては、やはり通る声、的確な音量、そしてその場に適した表現ができているかなどが重要なのではないでしょうか。さらには、魅力としてとらえてもらえる何かがあるか。これは千差万別で、明るさ、誠実さ、快活さ、さわやかさ、人それぞれの魅力が声に出ると思います。

テレビやYouTubeをみていると、だみ声であったり、滑舌が明らかに悪いのに、なぜか喋りに引き込まれて聞き入ってしまうということがよくあります。美声のアナウンサーの語りより、だみ声の落語家さんに聞き入ってしまうこともあります。

結論を言ってしまえば、声のよし悪しというより、あなたが何をどう表現しているか、どんなエネルギーを持って表現をしているかと言うことに尽きると思います。あなたより美声じゃない人が感動的な歌を歌うケースもあれば、あなたよりとってもよい声なのにあまり感動しない歌を歌ってしまっているというケースもあるからです。

声のよし悪しと言う観点で物理的にものを言ってしまえば、声帯がピタッと合っている、共鳴が使えている、母音の発音が明瞭である、子音の発音が的確である、美しい表現ができている…など。

これらは技術的に磨くことが可能です。注意しなければいけない点は声帯をぴったり合わせようとか共鳴をしっかりさせようなど自分の声をよく聞かせようとして、喉首肩などに力が入り、声の美しさを阻害しているケースがあります。どうぞ無駄な力を入れずにあなた自身の声を響かせられるようにトレーニングを重ねてください。

声のタイプとして、音域の高いほうから、女性であればソプラノ、アルト、男性であればテノール、バリトンというふうに声種がわけられます。その中でも重い声なのか軽い声なのかなども分類できます。声帯を楽器としてとらえてみたときに、自分の声がどこに属するかは、およそ判別できます。(♯β)

 

. 今まであなたが生きてきて、いろいろ経験して、その結果としての今のあなたの声があります。これは今のあなたにとって一番いい声です。少なくともさまざまな周りからの要求に何とか適応してきた声です。そのことをまずは認めてあげましょう。その上で、よりよい声とはどういうことか考えるとよいでしょう。

わかりやすい基準は大きさです。大きい声は出せますか。腹の底から「やっほー」と叫んでみましょう。やまびこは帰ってきそうでしょうか。大きな声が体から出せる人は、第一関門は突破していると思われます。しわがれた声でも、喉にかかった声でも、とりあえずは大丈夫です。あとは響かせ方、体の力の取り方を学んでいきましょう。

大きな声が出せない人は、まずは思いっきり息を吐いてみましょう。誕生ケーキのろうそくを100本一気に消すイメージです。どうでしょうか、消えましたか。強く息が吐けない人は、まずは自分の息を感じるトレーニングから始めましょう。静かにで構わないので「ふー」と息を吐きます。目を閉じて、自分の息を感じてみてください。慣れてきたら、最後まで一定に吐けるようにしてみてください。息がなくなりかけると、お腹から息をたくさん送り届けないといけません。慣れてきたら「スー」に変えて、少しずつ息を強くしていきましょう。

声のタイプの区分としては、高い低い、軽い重い、強い弱い、浅い深い、胸声頭声などいろいろありますが、ここでは高い低い、と軽い重い、を組み合わせた男声の声の区分について説明します。

高く軽い:テノール・レッジェーロ。喜劇役。セリビアの理髪師アルマヴィーア伯爵。

高く重い:テノール・ドラマティコ。英雄的イケメン二枚目。オテロ。

低く軽い:バリトン・ブッフォ。道化役。魔笛のパパゲーノ。

低く重い:バス。王様役。魔笛のザラストロ。

ちなみに日本は女性に高い声(子供っぽい声)を要求するため、無意識に上ずってしゃべる傾向があります。これは本来の声のタイプではないため実際に声を聞くと地声は高くないことが多いです。(♭∴)

 

. 声をよくするには、バランスのよい食事を心がけ、必要な睡眠時間を確保し、適度な筋力をつけ、健康な体を作ること。次にストレスを減らす努力をし、機嫌よくあること。最後に日々の鍛錬です。

健全な肉体と精神なしにいい声は出ません。うまくなっていく人は自分自身の機嫌をとるのが上手です。

自分の声がよくわからないなら、録音して聴きましょう。モデルは毎日何時間も鏡を見ます。

よいか悪いかは感覚的なものであって、絶対的な数値ではありませんが、よい声の一つの指標として「サステナブルかどうか」が挙げられると思います。長時間出し続けられる声、ずっと聞いていて疲れない声、長い人生の間で喉をつぶすことなく歳を重ねても衰えない声、といったことです。

日本では虹は7色と考えられていますが、他の国では6色だったり4色だったりします。つまり、名前をつければ存在がクローズアップされ、名前がなければ認識されないわけです。色に名前があろうがなかろうが、虹は虹です。私は声のタイプにラベルを貼ることに意味を感じません。(♯∂)

2021年5月29日 (土)

Q. 自分の声が変で嫌いなのですが、自分の声を知るにはどうすればよいのですか。

. 自分が聞き慣れている自分の声は、実際にまわりの人が聞いている自分の声とは違い、自分の身体の中を伝わって自分の耳に届く声もプラスされています。録音機器などで自分の声を聞くと、その部分が欠落しているので、違和感をおぼえます。他人の声を録音機器で聞いたときに、少し違う声に聞こえるので、自分の録音された声も、少し違うのだろうと、想像がつきます。それでも、昔に比べれば、録音機器の性能も、かなり向上しているので、以前よりは、本物に近い声を聞くことができるのでしょう。将来、技術の進歩によって、マイクなどを使わなくても、外に聞こえている自分の声だけを集音して、オンタイムで聞くことができるイヤーレシーバーができるかもしれません。それまでは、自分の本当の声を、聞くことは難しいでしょう。

おおよその自分の声は、録音機器で知ることができます。常に、声を録音して、聞き続けることで、声の変化を知ることができるので、習慣化することを、おすすめします。自分の声が変で嫌いでも、ヴォイストレーニングによって、変えていけるので、あきらめずにトレーニングをしていきましょう。(♭Ξ)

 

. 声が嫌いということと、発声がうまくいっていないということは別の問題です。自分に聞こえている声と第三者が聞いている声の違いというのはありますが、第三者に聞こえている声を知るというのならば、録音してみることが簡単です。スマートフォンに録音の機能がついているので、それで済むのですが、自分の声が変で嫌いという問題がなんとかなるとも思えません。何が変という具体的な事例がないことへの回答となるのであいまいな表現になると思いますが、変じゃない声というのを具体的にあなたの中で明確にすることが重要だと思います。変じゃないと思う声が明確にあれば、そこに向かってトレーニングを積み重ねられるかもしれません。

これまで指導してきた人の中にも自分の日常の声が嫌いという理由でレッスンにいらした人もたくさんいらっしゃいます。そしてレッスンを重ねて発声の技術向上をやり続けた結果、自分に自信をもたれて歌手として舞台に立たれている人もいます。

自分の声を好き嫌いと判断するのではなく、技術の向上を続け、そんなことを思わないところまで訓練を続けることです。変だと思うならトレーニングするしかなく、発声の技術向上はきっとあなたに自信をもたらしてくれます。それを手助けするために我々の仕事はあります。

(♭Σ)

 

.きっとこれまで、あなたなりに自分の声と向き合ってこられたのだと思います。あなたは自分の声を「変で嫌い」としている一方で、「(本当の)自分の声を知りたい」と思っています。それは実のところ、「変で嫌い」である今の声は、自分の本来の声ではない、とどこかで感じているからではないでしょうか。

あなたに限らず、誰でも中途半端に発した声を「今の声は好き!」「今のはよい声だった!」などと感じることはほぼありません。その逆もしかりです。つまり、しっかり声を発したとき、身体と共に声を出した体感を得たとき、その声に嫌なものは感じないのです。その状態になれたなら、あたなも「自分の声」として受け入れることができるはずです。

自分の声を知るには中途半端にではなく、身体を使ってしっかりと声を出す、という状態に身を置いてみることです。それにより声の聞こえ方も、声を出したときの体感も確実に(よい方に)変わっていきます。(♯α)

 

.大事なこととして、自分一人で解決しようとしないことだと思います。「自分の本当の声」というのは、自分自身では判断がつかないからです。自分自身で「よい」と思う声というのは、客観的に聞いた場合に必しも「よ

い声」とは限りません。それは、自分自身が楽器であり、プレーヤーだからです。楽器とプレーヤーの一体型がゆえに、聞こえ方というのは、自分自身と第三者とで変わってきます。往々にして、「自分自身によく聞こえる声」というのは、第三者が聞いて「違和感のある声」となっている場合が多いです。

自分一人だけで解決しようとせずに、トレーナーなど、指導者の下で継続した訓練を行いましょう。また、「自分の声を聞きながら(確認しながら)発声する」という感覚を捨てる覚悟も必要です。その代わり、フォームや体の使い方、呼吸の取り方など、「声や音」に頼らない部分の感覚を磨き、マスターすることが、本当の自分の声を知る第一歩だと思います。トレーナーなどの声の管理者のもと、自分の体の使い方に注力して、自分の声を確認しないことを徹底的に行うように心掛けるとよいと思います。(♭Я)

 

.誰しも自分の本当の声を、自分自身で聞くということは不可能です。自分に聞こえている音は、頭蓋骨の中に振動した音を骨を通して聞いているので、他人が聞いている声とは異なります。ですから、録音したときの自分の声がなんか変なふうに聞こえるというのは誰もが経験することでしょう。

自分の声が変と思われるのは、何か癖があるからなのでしょうか。誰かに言われたのでしょうか。

もし癖があるのであれば、トレーナーに聞いてもらって、何に原因があるか探る必要があります。それができたら次の段階として、声の出し方のメカニックを知る、つまりどこの筋肉に頼って出すか、どこの筋肉に圧力をかけるか、どの筋肉は緩めるのか、というメカニックを知る必要があります。

マイクを使わずに歌うクラシック歌手は、必ず気をつけていることがあります。「自分の声の響きを聞かない」ということです。これは鉄則です。自分のだしている声を聞き始めた途端に、メカニックで歌うことができなくなるからです。

いい声のでるメカニックを定着させるためにトレーニングを積む必要があり、そもそも自分の耳で自分の声を聞いて響きを調整してはいけないのです。ある世界的なオペラ歌手は「今日どんな声が出るかは出してみないとわからない。メカニックで声を出すだけだ」というようなことを話していていました。 

本当の自分の声を知るには、頭蓋骨から骨盤あたりまで、細かく言うと、表情筋や咽頭、喉頭の筋肉、肋骨の筋肉、骨盤底筋、背筋、腹筋などをいかに統合的に使えるようになるかにかかっています。(♯β)

 

.「声」を「顔」と置き換えてみましょう。あなたは自分の顔が変で嫌いですか。これは捉え方によるでしょう。そこそこ、魅力的ではありませんか。ほっぺたのたるみも、目じりのしわも、おなかのふくらみも、ほくろも、魅力的なのではありませんか。

まずは自分を許し、好きになることです。あなたはあなたでそのままでいていいではありませんか。何をしようが、何をしまいが、いいではありませんか。これが出発点です。

自分を許せると、他人にやさしくなれます。すでによい自分を、よりよくしていく気になります。あなたは、超、よくはないかもしれない。一流の人から見ると、三流かもしれない。それでもいいではないですか。大好きなことに巡り合えたのですから。

私は最近やっとこのことに気づきました。「自分は大好きなことをやっている。幸せだ。死ぬまで深めていこう。」こう考えるようになってから人生が開けていったような気がします。まだ途上ですが。

余談になりますが、私はテレビを見ません。テレビは、人との比較を中心に成り立っているメディアだと思うからです。テレビを見ないと、私も、あの人もこの人も、魅力的に見えるようになってきました。(♭∴)

 

.自分の声に対して関心や欲求があるからこその疑問だと思います。その疑問こそ、声の鍛錬のスタート地点です。

普段、自分が聞いている自分の声は、他人が聞いているものとは違います。外耳で聞く空気の振動(つまり他人が書いている音)だけでなく、内耳で聞く骨伝導などの豊かな響きが加わるからです。

自分の声の録音を聞いて、あまりにペラペラな声に驚いたという経験は誰しもあるでしょう。特に女性の人で「私は声が低いです」とおっしゃる人は、大抵浅く甲高い声で話すので驚かされます。そこまで自分のイメージと実際の声は乖離しているのです。

でも我慢して3回録音を聞いてみましょう。きっといいところや、改善点が見つかります。

現状をそのまま受け入れることと、次に持っているものを深め、育てていくことが大切だと考えます。(♯∂)

2021年4月24日 (土)

Q. よい声とはどんな声をめざすのでしょうか。声に問われることは何ですか。

 

.「よい声」には、二段階、または二種類あると考えています。まず、健康的に、「よい声」。もう一つは、歌声、話し声としての、「よい声」です。

健康的な「よい声」は、声帯や喉回り、呼吸器とその回りの筋肉群に、異常や萎縮がなく、楽に、大きな声も小さな声も出せ、掠れたり雑音が混ざったりしない声、でしょうか。今は、コロナ禍で、「小声」が推奨されているので、あまり長い期間、「小声」礼賛が続くと、多くの人が、健康的な声でなくなってしまうのではないかと、危惧します。

もう一つの「よい声」は、歌声・話し声ですが、その人が声を使いたいジャンルでの、「よい声」です。つまり、その人が、出したい、あるいはとても魅力的だと、思う声です。たとえば、オペラでのよい声と、浪花節でのよい声は、大きく違います。その人が使いたい声なので、どちらがよい声とは、決められません。浪花節を、うまく歌いたい人には、オペラの声は、必ずしも何の魅力はないでしょう。その人にとっては、「よい声」ではないのです。

それでも、浪花節をうまく歌いたいという人に、声楽の発声の基礎を応用して、立派な声を、出せるようにすることができます。それは、共通するところが大きいからです。(♭Ξ)

 

.自分が何を目指すのかということに尽きると思います。ある人によくない声でも、自分が目指すべきものなら、よい声ということになるのではないでしょうか。ただし、ある一定の基礎レベルという点では、声のレベルを考えることはできます。

・第三者に豊かと思われる声

1オクターブ以上の音域

・ロングトーンの自由さ

などは、どんなジャンルの声でも基礎レベルとして追及していいと思います。これらを聴いただけで、審査員ならあなたの声のレベルを判断します。同じジャンルでも人によって好みは違いますから「よい声」という定義は千差万別です。そういう意味で「よい声とは」と問われたらあなたが目指しているものとしか答えられません。

しかし、これもまた、どんなジャンルでもある一定上の声のレベルというラインがあります、それらは好みではなく技術の基礎といってもいいでしょう。それを向上させることは可能と思います

カラオケ上手というのは器用に歌えたり、声の成熟度が早かったりといういわゆる「上手」という状態です。「上手」な人はたくさんいますが、声が「個性的」な人はあまりいません。たとえば美空ひばり、北島三郎、稲葉浩志、桑田佳祐、ルチアーノ・パヴァロッティ、マリア・カラスなど、プロは、顔を見なくても声を聴いたらその人がわかります。これが個性だと考えています。

器用に上手になろうとすると声の個性が失われることもあります。

そういう意味では声の個性を尊重しながらの指導というのが、トレーナーも注意しなければいけないことだと考えています。(♭Σ)

 

.「よい声」の定義は、ひとことで言い表すのは難しいと感じます。なぜなら、声を使うジャンル(演奏なのか、演劇なのか、洋楽か邦楽か等々)によって「よい声」とされる、または聴き手が「よい声」と感じるものさしがそれぞれだからです。とはいえ、一般的な見解ではなく、もっと具体的に、あなたの声で見た場合には、どんな声をめざすかについては、明確なものがあるといえましょう。

それは、声を変に作ったり何かに似せたりするのではなく、「あなたの声(あなたの声帯)そのままに、身体を使って出す声」をめざすことです。これは、あなたが声を使うどのジャンルに進んだとしても通用します。

またどのジャンルであれ、声に問われるのは「伝えること」に集約されると思います。声によって情報を伝える、声によって音楽・表現を伝える。それらは、身体を使って、声(または息)のコントロールを自在にできりょうになることで、向上していくのです。ですので、ぜひとも身体を使って声を出すことを求めていってください。(♯α)

 

.一言に「よい声」と言っても、その基準は千差万別、十人十色というのが本当のところだと思います。Aさんの思う「よい声」と、Bさんの思う「よい声」は一致するとは限りません。それだけ「よい声」というのは判断に差が出るものであると思います。

それならば、「よい声」の反対である「不快な声」とは何かについて考えてみればよいと思います。「不快な声」というのは、その人の発する声に対し、聞き手が違和感をおぼえる声ではないかと思います。違和感のある状態というのは、多くの場合、「無理をした声」または「充分でない声」ではないかと思います。この部分を改善していくことが、「よい声を目指す」ということにつながっていくと思います。

私の中での基準としては、「その人が持って生まれた楽器の特性を充分に活かした声」であり、「歌やことばの聞こえ方が、聞き手に対して違和感なくしぜんに聞こえる状態、説得力のある状態になっている」ということです。無理につくられた声というものではなく、あくまでも、自分の特性を大事に相手に伝わりやすい状態であるかということで考えてみてはいかがでしょうか。(♭Я)

 

.ジャンルによって求められる声の音色は違うでしょう。クリアな音色、少しざらついたような音色、こもったような音色、響きのある音色、シャウト、ウィスパー、など、曲によっても要求されるものは異なるかと思います。

しかし、声の基本として目指していただきたいのは、体に支えられ、息が流れた上で声を出すということです。どのような音色であっても、まず、体からしっかりと声を出すということです。

人間の体も、声帯を通して音が振動し、体全体に共鳴して、空気中に音の振動をもたらすという点では、楽器と同じです。この楽器は唯一無二であり、ご自身にしか出せない音をもつのです。それを自覚して自分にしか鳴らせない楽器を作り上げるような気持ちでトレーニングに励んで欲しいと思います。

主にマイクを使うジャンルの人も肉体という楽器が与えられているのですから、充分に鳴らさないのはもったいないでしょう。鳴らし方を学び、最大限の可能性を引き出すのが、ヴォイストレーニングの醍醐味かと思います。肉体から声を鳴らすということを考えてみていただきたいです。(♯β)

 

.よい声とは、月並みに言えば、聞いていて気持ちのよい声でしょう。どういう声が、聞いていて気持ちよいかは人によってさまざまな判断があるでしょう。誰が判断するのでしょうか。

ここでは視点を変えてみましょう。自分の声を録音で聞いたことがありますか、どう感じたでしょうか、聞いていて気持ちよかったでしょうか。

答えの一つは「自分が」聞いていて気持ちよい、ということです。あなたの声です。あなたが大好きならそれでよいではありませんか。

次に、よい声、とは、必要とされる声、というのがありえます。声優として仕事で要求される声。か細い声、しわがれた声、ロックのシャウト。それらは、よい声、ではないでしょうか。

必要に迫られて出される声、赤ちゃんの泣き声、「助けてー」や「苦しいー」などの呻き。これらはよい声とは言えないでしょうか。医学的に無理のない声をよい声とでもいうべきでしょうか。

声に問われることは、やさしさ、温かさ、厳しさ、人生の重み、切なさ、何だと思われますか。(♭∴)

 

.たとえば「ルイ・アームストロング(It's a wonderful worldのジャズシンガー)がよい声か」と聞かれれば、意見はわかれると思います。素晴らしい歌声だという人もいれば、ダミ声や悪声だという人もいるでしょう。シャルロット・チャーチ(12歳でデビューし、天使の歌声ともてはやされた歌手です)も、澄み切った歌声だという人がいれば、いつまでも子供みたいな声だという人もいるでしょう。

私は二人ともどちらもよい声であると思います。私の考えるよい声とは、「息が流れている」ということと「自身の声の特性を理解していて、それを最大限生かせている」ということです。

息が止まった喋り方や歌い方は、聴く人を苦しくさせます。声を発する側も不完全燃焼となります。息が流れていることはすべてのよい声の共通事項だと言っていいでしょう。

自身の声の特性を生かせているというのは、ないものねだりをせず、生まれ持った声を育てるということです。元来、細い声なのに、無理してパワフルな歌唱を目指しても、元々、パワフルな声の人に、なかなか勝てません。喉をつぶしてしまうことにもなりかねません。逆もまた然りです。鴉は白鳥にはなれませんが、美しい鴉になら努力次第でなれるのです。(♯∂)

 

.よい声や声に問われることにおいて、考えるヒントを述べます。一般的には、悪くない声から魅力的な声といえます。よしあしでいうと機能として使えること、使いやすいことが問われることが多いのですが、本質的には、もってうまれた発声に関する身体の器質を損なわず、最高の状態にまで、もっている機能を高めて使うこととなります。日常と、ビジネスと、芸事と、それぞれのシーンで問われるものは異なっていきます。ですから、あなた個人が、よいと思う声から問いたい要素を出していくことに尽きます。(♭π)

 

2021年3月27日 (土)

Q. 腹式呼吸を強化するために、腹筋運動をするのがよいのでしょうか。

A.高校時代、ふとした間違いから男声合唱部に入った私は、毎日100回、腹筋運動を、先輩たちからノルマとして課されました。高校一年生だったおかげか、中学では文化部に所属していたにもかかわらず、あっという間にクリアできるようになったのを憶えています。

腹式呼吸は、横隔膜という名の筋肉を使う呼吸法なので、腹筋とは直接関係はありません。ただ、筋肉というものは、大抵の場合、対抗する筋肉があると、使いやすくなります。

例えば、腕の前側の筋肉と、後ろ側の筋肉のようにです。前側の筋肉しかないと、腕を曲げることはできますが、腕を伸ばすときは、前側の筋肉の力を抜くしかありません。考えても素早く腕を伸ばすことは、できなさそうですし、ゆっくり伸ばすには、とても慎重なコントロールが必要になりそうです。ですが、腕の後ろ側の筋肉があれば、腕を伸ばすときは、後ろ側の筋肉に、前側の筋肉よりも力を入れれば、容易にコントロールして腕の伸ばしができます。

そのように、横隔膜の対抗筋として、腹筋全般や骨盤底筋は、強い方が、横隔膜との息のコントロールが、容易になるので、積極的に強化してよいと思います。ただし、強化だけでなく、ストレッチも充分にして柔らかさを保たないと、腹式呼吸量が減る原因にもなりかねないので、忘れないようにしましょう。(♭Ξ)

 

.最近は発声そのものに対しての腹筋不要論というのは実際あります。腹筋を大きくすることや固めることは力みやすくなる、硬い腹筋は動きを邪魔する、柔軟なお腹の使い方が重要などの意見が多いです。腹式呼吸をトレーニングすることと6パックの腹筋をつくることはあまり関係ないように思いますし、歌う筋肉は歌いながらつけるという意見もあると思います。

しかし程度の問題はあれど、腹筋運動があまりできないような体も考えものです。ある程度、ハードな運動や筋トレをおこなう歌手というのは多いです。ピラティスやヨガをとり入れている歌手もいますね。

私自身、トレーニングの一環で一本歯下駄と呼ばれる歯が一本しかない下駄をはいて歌ったり、バランス感覚をきたえる器具の上でトレーニングすることがあります。するとお腹の重心や下腹部がうまくバランスがとれないとふらつくので目安となります。

腹筋運動などもやりすぎてはよくないと思いますが、ある程度のレベルならやってもいいと思います。やってみて自分に合わないと感じれば回数を減らしたり、やめてもいいですし、ストレッチを多めにしてみるなど、自分なりの改善点を見出していけばいいと思います。

「絶対」というトレーニングはないと思います。リスクとリターンのバランスを考えながらトレーニングするものだと思います。リスクを取れない人にはリターンはないので「腹筋運動は絶対NG」という感覚にはなりすぎないほうがいいでしょう。(♭Σ)

 

.腹筋運動は、健康のためとか腹筋を鍛えるためにはよいと思います。ですが、腹式呼吸そのものを強化したいのでしたら、呼吸の練習をすることがより効果的です。なぜなら、腹式呼吸とは「呼吸する」ときの身体の働きを指しているからです。

呼吸の練習では、安定した息を吐く中で、横隔膜の動きをコントロールすることを行っています。それを踏まえた上で、「腹筋運動のときの呼吸はどうなっているか」を思い出してみてください。安定して息を吐くどころか、(人によっては)身体を起こすときに息が止まっていたりしますよね。これでは「呼吸する」こと自体が規則性のないものになり強化のしようがありません。

練習とは、同じ動作(または同じ状態)を繰り返し行うことでそれが身についていくものです。そもそも腹式呼吸のときに腹筋だけが働いているわけではないのです。そのあたりも含めて学ばれると、もっと視野が広がると思います。(♯α)

 

.筋肉の少ない人、基礎体力の弱い人、歳を重ねて体が硬くなってきた人などは、運動をたくさん経験してきた人に比べると、どうしても基礎的な力が弱いと言わざるを得ません。自分自身の基礎力の向上という意味で、程よく腹筋運動を取り入れてみるとよいと思います。

しかし、腹筋運動をやること=腹式呼吸の強化とはなりません。いわゆる腹筋運動で使われる筋肉や働き方と、腹式呼吸で得たい筋肉の部位や働きは一致しないからです。

腹筋運動と一言に言っても、トレーニングの種類はいろいろあると思います。行うのであれば、何を鍛えたいのかの目的をしっかり持って、トレーニングするとよいと思います。

腹式呼吸の強化が目的なのであれば、腹式呼吸に関するトレーニングを積極的に行うことが望ましいです。呼吸で使われる筋肉の働きや感覚は、呼吸のコントロールを繰り返し行っていくことによって身についていくものです。

ご自身でやり方がわからなければ、レッスンでトレーナーに相談してみてください。レッスンで与えられた課題を繰り返し取り組んでみるとよいと思います。結果的にそれが近道になります。(♭Я)

 

.基礎体力の底上げ、筋肉が少なすぎるからつけたい、などの理由からの腹筋トレーニングはいいと思いますが、腹式呼吸を強化するためでしたら、腹筋運動はあまりおすすめしません。寝て上体を起こす腹筋運動は腹直筋に働きかけて、体の表層部の腹筋を強化しますが、それは呼吸のためにはあまり役に立ちません。

筋肉には収縮して力を発揮する場合と、伸びながら発揮する場合と、止まっているけど力を発揮する場合があります。呼吸のために必要な筋肉の使い方は、「止まっているけど力を発揮している」というパターンになります。呼吸や発声の際には、筋肉を縮めるような使い方は不利だと思った方がいいです。ですので、なるべく長さを変えないように維持するように使うことをおすすめします。

息を吸って胸郭が広がったら、なるべくその空間を維持して、細く長く息を吐いてみましょう。

息を吐くとすぐ体がしぼんでしまうという人は、息を吸って体を広げた状態で息を止めて、胸郭の拡張を維持して慣れていきましょう。骨盤底筋を引き上げたり、お尻の穴を締めたり、骨盤の一番底を強固にしていくことも腹筋のパワーアップに貢献してくれると思います。

(♯β)

 

.よいと思います。この質問は次の質問と同じ種類のものです。「速く走れるようになるために、ウエイトリフティングをするのがよいのでしょうか?」多くの人にとって、この答えは「関係ない」でしょうが、私は「関係がある」と考えます。全身の筋肉はつながっているからです。

腹式呼吸は体の内側の筋肉であり、そのトレーニングはレッスンでトレーナーがメソッドとして持っている「息吐き」でしか鍛えられません。腹筋運動はおなかの外側(体の表面)の筋肉であり、直接的には関係ないといえます。

しかし、腹式呼吸を強化したいと考える人は大抵の場合、体の筋肉が全体的に不足しているように思います。ですから、運動は何であれ、とにかくやった方がよいです。ウォーキング、ランニング、ダンス、武道、水泳、球技など。私も学生時代まで運動部に所属していましたが、先輩に「もっと大きな声を出せ!」「腹から声を出せ!」と怒鳴られます。メソッドは何もありません。しかし、新入部員は数か月で大きな声が出るようになります。ヴォイストレーニングの第一歩はスポーツだと思ってよさそうです。(♭∴)

 

. やらないよりはやる方がいいです。ただし、腹式呼吸で主に使うのは腹筋ではなく、腹筋よりも内側にある横隔膜や、斜腹筋、骨盤底筋などです。もちろん、筋肉は単独で使うものではなく連動しているので、腹筋を鍛えることはその周りの筋肉の助けになります。

腹筋運動をしたら、同じだけ背筋運動もやって下さい。前後のバランスがとれていることがとても大切です。背筋は、姿勢よく立つためにも重要な筋肉です。

腹式呼吸は筋肉だけで行うものではありませんが、鍛えられた体は有利です。

私は高校の合唱指導を行っていますが、混声合唱部は往々にして男声が不足しがちです。合唱コンクールの前には臨時の男子部員に来てもらうことがよくあります。この際にアドバイスしているのが「できれば運動部、それも可能なら水泳部の男子を」ということです。彼らを正しく指導すれば、短期間で既存の部員に追いついていい声で歌うようになります。横隔膜を支える筋肉がついているからです。

とはいえ、筋肉だけでは歌えませんので、腹筋背筋を鍛えるなら呼吸の練習も忘れずにやりましょう。(♯∂)

2021年2月27日 (土)

Q.肩が動くのは、よくないのですか。直す方法はありますか。

A.肩が動くということは、つい肩で息を吸っているということが考えられます。歌などで、呼吸としてメインで使うのは、腹式呼吸ですが、どうしても息が足りなくなったときなどは、動いても仕方がありません。ただ、常に肩が動いてしまうのは、おすすめできません。

「たっぷり息を吸って、声を出す」というトレーニングがあります。これは、たっぷり息を吸うことで、しぜんに肩と胸を開いて、喉まわりを広げ、喉に無理な力が入らないようにするトレーニングです。この場合は、肩と胸で息が吸えないと、成立しないトレーニングなので、肩と胸が動きます。お腹だけでたっぷり息を吸っても、効果ないトレーニングなので、大いに肩も胸も、動くことが重要です。そんな例外もありますが、そうでない場合は、肩も使わないと、呼吸が間に合わないのかもしれません。

日常的に、スポーツをあまりしない人は、胸を使う呼吸量が、弱すぎるかもしれないので、胸で呼吸をするトレーニングも実施していけば、肩を上げる必要が、なくなっていくでしょう。

余談ですが、オペラ「蝶々夫人」の主役、蝶々さんは、和服姿で、お腹回りを、帯などでガッチリと締めつけているので(締めつけないと、和服が着崩れて、だらしなくなってしまいます)、胸や肩でもしっかり呼吸ができた方が、楽にアリアを歌えます。(♭Ξ)

 

A.目指す表現方法や必要なジャンルでも変わってくると思います。役者なら激しい演技での激しい声が必要な場合は肩があがるようなブレスがあってもよいですし、肩で息をするような演技にもなりえるでしょう。ポップスでも肩を揺らしながらリズムをとって歌う歌手もいます。し、高音域で肩をあげたり顔が横をむいたり、体を前に曲げてする歌手もいるくらいなので表現方法との兼ねあいもあると思います。

純粋に機能を高めるためであったり、発声技術向上のため、声楽や合唱などという観点でいえば、肩はあがらないほうがよいです。肩が上がる場合のほとんどは上半身に力みがあります。支えが浮いてしまったり、胸が硬い、顎が硬いなどの場合もあがってしまうことが多いです。このような場合は、全身の鏡で自分の状態を目視することが重要です。自分がどのような姿で歌っているか、みえていないことも上半身が力むタイプの人に多いです。できれば歌っている姿を前面、側面から動画で撮影してみましょう。肩だけではなく顎や眉間などにも力みがある可能性があるので調べて損はないです。

見た目が矯正できたら呼吸の見直しです。深いところに息をいれること、そしてその状態をキープすることなどから始めてください。腹式呼吸ができていないと胸が硬くなってしまい声のコントロールがうまくいかないので、その結果、さまざまな力みが生じることがあります。ブレスで発声は決まるので、ブレスの見直しをおすすめします。(♭Σ)

 

A.もしブレスをするときに肩が動く(肩が上がる)のであれば、胸呼吸で息が浅くなってしまいます。歌っている最中に肩が動くのであれば、余計な力みが入っていると思われます。または、両方の理由から肩が動く場合もあると思います。胸呼吸で肩が上がって息が入らず、そのせいで歌いにくくて、さらに肩が力む、といった具合です。

いずれにしても歌いにくい状態になっているので、改善した方がよいです。それを直すには、ちゃんと基礎に立ち返り、呼吸の練習で安定した息をしっかり吐けるようにすることです。呼吸が浅い人は、吸う息を増やそうと頑張りがちですが、そうではありません。しっかり息を吐くから、次のブレスで息が入ってくる(入りやすくなる)のです。身体を踏ん張る(保つ、支える)ことを体感しながら練習できるよう、スタッカートではなく、ある程度長めの息で行うことをおすすめします。(♯α)

 

A.肩がリラックスしたうえで動くのであれば問題はないのですが、固まったまま動いていたり、自由が利かないような状態ではいけません。回したり、伸ばしたり、いろいろなことを体に経験させて、「どうとでも動く」「自分でコントロールできる」という自覚を得ることが大切です。

肩甲骨を寄せたり上げたり離したりと、肩の上だけを意識せず肩甲骨を丸ごと動かしてみてください。肩を上にグーっと引き上げて、すとんと落とすのも脱力になります。(肩甲骨を上に引き上げたときに、実は息が入りやすいという感覚も得られるかもしれません。)

力が入っているところに対して、力を抜こうとするとかえって意識しすぎて力みにつながることがあります。おへその下、足の付け根、腰のあたりを広げるように感じて上半身の重みを下半身に預けてみましょう。胸が前に突き出て上半身を引っ張り上げている人は胸も緩めてください。(大げさに言えば猫背の姿勢にしてみる。)

下腹部以下の部分で上半身を支え、肩の存在を忘れられたときに、自由になるのを感じられるでしょう。(♯β)

 

A.肩が動くということは、呼吸のときの場合でも、発声中の場合でも、よくない影響を与えると考えてよいでしょう。ブレスの時点で肩が動くということは、深いブレスになりにくくなっています。胸や肩に力みがあると、深い部分まで息が入らないため、苦しくなる→そのまま声を出すと、どんどん苦しくなる→体が力んでいるので、苦しくなったまま息が入らない→また苦しいまま出し続けるしかないという悪循環につながります。上半身の力みはほとんど感じないほどに、穏やかなブレスがとれるのが理想と思います。

「ブレスをたくさん吸わなきゃ」と思うと、かえって力んでしまうがためにブレスが吸えなくなってしまう場合があります。どちらかというと、「吸う」というよりは、脇腹を触って肋骨を感じられる部分のできるだけ下の方が、肺に息が充填されることによって広がっていくのを感じられるような開き方をイメージするとよいのではないかと思います。焦らずに、ゆっくりと自分の体が広がっていく感覚を大事にしましょう。肩が上がる状態を改善しやすくなると思います。穏やかな気持ちで試してみましょう。(♭Я)

 

A.肩が動くのは、二通りの原因が考えられます。一つは、ブレスを胸で浅くしているから肩が上下に動くのが原因。もう一つは変なところに力が入っているから肩が(というより腕が)前後に動くのが原因です。二つ目の対処法は、こまめにストレッチをして力を抜くしかありません。一つ目のほうがより根本的な原因で、対処法はブレスが深くできるようにトレーニングすることです。

まっすぐ立って足を肩幅に開きます。せーのっ!で、「ふー」と息を全力で吐いてしまいます。吐いて吐いて吐き切って、これ以上はもう吐けない、となったとき、笑います。さらに数秒止めます。そのあとで緩めてください。吸うのではなくただ緩めるだけです。そうすると、腰、背中の後ろ側に息が入る感覚がわかると思います。いつもそこに息が入るようになると、肩が動かなくなると思います。

トレーニング方法としてバリエーションを2つ紹介します。一つ目はこれに前屈を加える方法です。吐きながら倒し、吐ききったら笑って止めます。ゆっくり上体を起こしながら、息を入れていきます。二つ目はsで息吐き(笑う必要はない)も有効でしょう。同じように肩を開いて立ち「サ行」の舌の位置のまま息を強めに吐きます。なくなったら止め、(笑う必要はない)緩めます。これを10回程度続けるのが1セットです。一か月くらい毎日続けると、ブレスが深くなったことを実感できると思います。(♭∴)

 

A.ひとことで肩が動くと言ってもいろいろな状態があるので、一概によくないとは言えません。

よくない例のひとつは、息を吸ったときや高音を出すときに肩が上がること。これは呼吸が浅く、上半身が緊張した状態です。初心者にありがちなクセです。この状態では声帯が上がってしまうので、よい声は出せません。直すには腹式呼吸を意識すること(これはレッスンで勉強してください)、そして首を長く感じることがおすすめです。肩を下げようと考えると別の力みが生じやすいので、「首が気持ちよく伸びている」と意識してみて下さい。

もうひとつのよくない例は、風を切るように鋭く肩を揺らすこと。これは浅くて短い呼吸、体幹が弱く重心が浮いている状態で起きやすいです。精神的に余裕がないときにも陥りやすい体の状態だと思います。

肩が動くよい例は、胸郭を大きく使うことで肩が外側に開いた状態です。肩が前に入ってしまうと呼吸が浅くなるので、特に猫背の方や緊張しやすい人は、肩を外に、腕を少し後ろに落とすとよいです。息をするのが楽になり、自分の外側の世界に対しても、ゆったりと構えられると思います。(♯∂)

2020年12月26日 (土)

Q. 横隔膜の緊張(アッポッジョ)と、下腹の動きでの支え(ソステーショ)の連動について。

Q. 横隔膜の緊張(アッポッジョ)と、下腹の動きでの支え(ソステーショ)の連動について。
下腹を絞るような「支え」と、横隔膜を緊張するような「支え」を、同時に意識することは難しく、意識を向けるなら、どちらか一つになります。
下腹のほうを重視すれば、横隔膜については、かまわないでよいのでしょうか。
「横隔膜」が緊張している(肋骨下部左右のあたりにぐっと広がる感じがある)ことが、「呼気」に必要なのでしょうか。
声楽で言う「支え」とは、下腹内部の筋肉の収縮と、横隔膜の収縮と、どちらのことを言っているのでしょうか。

 

A.歌声にとって大切なことは、お腹を膨らませて息を吸うこと(腹式呼吸)です。このときの主役が、横隔膜という名の筋肉ですが、体の内部の筋肉なので、自覚しにくいものです。そのために、さまざまな呼吸の練習方法や、「支え」の練習方法が、考案されています。

「支え」とは、乱暴にまとめてしまうと、呼気のコントロールです。強く吐いたり、弱く吐いたり、早く吐いたり、ゆっくり吐いたり。呼気のコントロールのために、どこかに力を入れる(感じる)ことを、「支え」といいます。これによって、歌いやすくなります。

横隔膜の力を抜けば、腹式呼吸で吸った息は出てしまうので、維持します。

一度にたくさん息を吐きたいときは、お腹回りを凹ませる筋肉を、使います。横隔膜が自覚できないというのなら、吸気でお腹が膨らむことを、利用します。

腹式呼吸でお腹が膨らめば、横隔膜が収縮できているので、膨らんだお腹や下腹や背中を活用して、間接的に、横隔膜をコントロールしていきます。この自覚にも、感覚なので2つに分けるよりも、結果として横隔膜がコントロールできていたら、下腹などの動きは、絶対必要なわけではないというしかありません。筋肉は、拮抗する筋肉が存在すると、さらに活躍しやすくなるので、下腹だけでなく、お腹回り、背中回りの筋肉は、鍛えられていると横隔膜のコントロールも、しやすくなります。

(♭Ξ)

 

A.下腹が声楽の「支え」について重要な役割をおこなうのはご承知のようなので省きますが、そこを緊張させることは支えではありません。基本的に緊張や力みというものは支えではありません。それはかえって支えを失う結果となりえます。

吸気の際には肋骨が外に押し出されるので、肋骨の外の筋肉を固くしてはいけません。横隔膜は空間を開けているだけなのです。発声がよい人はこれを脱力で行うことができ、そうでない人は力みに頼ります。

支えというのは緊張ではなくバランスです。例えば一本歯下駄やバランスをとる訓練のための器具に乗って歌ってみましょう。歌いづらい音域や高音になるとふらつきませんか。または歌いだすとふらついたりしませんか。そのような人は下半身の体を支えるところがうまくいっていないのでしょう。

丹田、腹斜筋、骨盤、腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、足裏、踵、つまさき全てのバランスで倒れないように立ちます。それは力みではなく全体のバランスです。

片足立ちだけでも実感できます。

上半身の脱力と下半身のバランスこそが、支え(アッポッジョの基礎)です。

「緊張」「収縮」「絞る」などの言葉がみられますが、強く体を力むことでは、声楽の場合あまりありません。むしろ緊張などとは逆の方向へ向かうことが重要です。

私の場合は、上記の器具などで歌う前に20分ほど立つだけの訓練をおこなったり器具に乗って歌うこともあります。それでも音がふらつく場合は器具に片足だけで乗って歌うこともあります。

ただしお腹の下(丹田)や腹筋、斜腹筋などを使うなということではありません。使うことと力むことは違うということです。バランスを考えて歌うようになってから昔よりもお腹を使うことが意識しやすくなりました。力まずに。

海外に行くとアッポッジョは「下(お腹)に向かうベクトルの支え」ソステーニョは「下から上に向かうベクトルの支え」という歌い手もいました。

 

以上のことを前提として質問に答えます

・下腹に何かするのか

女性と男性で感じる位置が違うので注意しましょう。男性の方が深いです。骨盤の作りの違いです。吸った息をいれる空間を下腹に感じるくらいでいいと思います。力むことではないです。

・横隔膜の緊張と下腹の支えの連動

基本的には体のすべての動きは連動していると言えるでしょう。下腹がおろそかになると顎もおろしづらくなりますし口腔も開けづらくなります。横隔膜の下腹も連携しています。しかしそれは力みであってはいけません。肋骨周辺のひろがりと下半身のバランスが声のバランスにとても重要です。これがうまくいくと胸より上が力まなくなります。肩があがりやすい、胸が硬くなる人は、まず下半身のバランスやそこから発生する支えがうまくいっていないと考えられます。

・横隔膜の緊張の必要性

広がっていることは重要です。そのために肋骨の広がりは重要です。声楽の支え、共鳴とよばれるもののほとんどは声の密閉のために必要なことです。喉に負担なく声を遠くへとばすためには体の必要な場所を密閉して、時には声も密閉させて遠くへ飛ばします。ホースで水を遠くへ飛ばす原理です。ホースの先を密閉すると少ない水の量でも遠くへ飛ばせます。この密閉を力まずに行うために様残なことを覚えるわけですが、その一環が横隔膜の広がり、

肋骨の広がりです。

・声楽の「支え」は、下腹内部の収縮と横隔膜の収縮とどちらのことか

使うという意味ではどちらも必要ですが、すべてバランスです。支えは声を支えることではなく体を支えることを指しています。アッポッジョは支えるのほかに「もたれ掛かる」「よりそう」などの意味がありますが、歌っていると体幹はぶれて高音域や出しづらい場所にくると体の中が大きくぶれています。これをぶれないようにするために力まずに声がもたれ掛かれる、寄り添えるような体のバランスを保っていることがアッポッジョです。これを改善するためにあえて体がふらつきやすい状況を作って練習することで、体と発声のバランスを整えていくのです。(♭Σ)

 

A.歌うときに「支える」ことが必要なのは、横隔膜が元に戻らないように、下げたままを保つためです。歌うときに横隔膜が戻ったら安定した息が保てず、喉で歌う(喉に力みが入る)ことになってしまうからです。

「横隔膜の緊張と下腹の支え」は、ただ呼吸しているだけなら連動はしないでしょう。歌うときに連動するように、トレーニングを重ねるわけです。ただ、私たちは横隔膜の感覚を直接的に体感できません。

ではどうするのか。腹式呼吸では「肺の下の方に息が入る→横隔膜が下がる→内臓が下に押される」という流れです。内臓が押されるので、「肋骨下部左右のあたりにぐっと広がる感じある」です。このとき「内臓が下に押される」状態を保って(支えて)歌うことで、横隔膜が戻らず下がったままを維持するのです。

こう見たときに「下腹内部の筋肉の収縮と横隔膜の収縮」を分けて捉えられないし、下腹だけでなく肋骨の後ろ(背面)・脇腹に手を当てればそこも広がる感じがあるはずです。それらを内包する「身体の支え」という表現がしっくりきます。(♯α)

 

A.一言に「支える」と言っても、さまざまな解釈がありますし、メソッドもいくつかあります。同じ「支える」という言葉でも相反する使い方を指す場合もあります。声楽の事例だと、ドイツ式とイタリア式ではお腹の使い方そのものが違います。

今回、アッポッジョやソステーニョというという言葉が使われていること、また、解釈に若干のずれを感じますが、おおよそのお腹の使い方から、イタリア式の発声方法についての質問と解釈し、お話を進めます。

まず「アッポッジョ=横隔膜が緊張すること」と解釈しておられるようですが、これについては少々誤解があるようです。その理由は、ことばの由来から考えればイメージしやすくなるのではないでしょうか。「appoggio」(アッポッジョ)はイタリア語の名詞で「支え」となりますが、これが動詞の「appoggiare」(アッポッジャーレ)になると、「もたせかける」「支える」「置く」「ゆだねる」という意味があります。これは、すなわち「息がもたれかかれる状態」「息が支えられる状態」を意味しているというのが、言葉の語源に沿ったものになると思います。

つまり、appoggioは横隔膜を緊張させることを目的としたものではなく、息を自在に扱えるためのよりどころになってあげることだと解釈してはいかがでしょうか。appoggioが発声上必要な理由は、声帯を懲り固めた発声にならない状態に有効だからです。腹壁下部の主な筋肉には、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋の3つがあり、骨盤や腰、更には肋骨までつながっています。これらの筋肉と腹直筋が胸郭の下の横隔膜を広げることによって、呼吸にゆとりをもたらせます。

具体的には、呼吸によって胸郭が極端に開いたり閉じたり動き過ぎないことです。息を吸ったときだけ胸郭が開き出していくのと同時に萎んでしまったら、息のよりどころになるとは言えません。

なお、「sostegno」(ソステーニョ)もイタリア語の名詞で「支え」という意味になります。これが動詞になると「sostenere」(ソステネーレ)となり、「(ものを下から)支える」「立つ」「自立する」という意味を持ちます。声楽的な発声の解釈では、息の流れによる支えや息の柱という意味合いがあると思います。語源から考えると、息を下から上に送るということです。

appoggioもsostegnoも、どちらか片方だけではなく、両立させること、そして、そのバランスが重要です。また、それは「緊張や力み」ではないという点が重要です。このように、sostegnoは動的な支え、対するappoggioはそのsostegnoができる状態環境を作ってあげる支えと考えると、両者の関係を理解しやすくなるのではないでしょうか。(♭Я)

 

A.息を吸ってその息を保持するには横隔膜の緊張が必要ですが、それを安定的に保つためには下腹、いわゆるお腹の支えが必要です。お腹といっても非常にあいまいです。「丹田」と言われる場所なのか、はたまた、よく指導に用いられる「おしりの穴を絞めて」や「骨盤底筋を引き上げて」なのか迷うことと思います。

横隔膜の機能を安定させて使うためには、腹直筋、腹斜筋、骨盤底筋、背筋、腰回りなど、横隔膜の周りにあるいろいろな筋肉が、きちんと働いている必要があります。それはテーブル(横隔膜)と足(腹直筋、腹斜筋、骨盤底筋)の関係に似ています。土台がしっかりしていなければ、それに隣接する横隔膜は、安定的に機能することはできません。

この部分をどう使っているかは、たとえば腹直筋は、とても長いので、私はみぞおちから恥骨までを長くしたまま使ってみる意識を持ちます。胸を張りすぎていれば逆に腹直筋を縮めることもあります。腹斜筋は胴回りを取り囲んでいるので大きなコルセットに身をゆだねるかのようにして体幹を安定させるべく使います。骨盤底筋はまるで上半身の床だと感じて少し絞めて固くして安定感を感じるようにさせたり、背筋はいわゆるいい姿勢をとって張って使うようにして歌に動員させています。

横隔膜がしっかり使われている状態は、息のコントロールに役立ちます。しっかり声を出すときには肋骨を広げて、胸腔内の圧力を高め、横隔膜でこれを保持しなければ、どんどん息が口から漏れ出て歌など歌えませんので、横隔膜で息をコントロールすることが必要です。

私は「支え」という言葉が混同されているということを、日本の中で常々感じておりました。翻訳の問題かもしれません。横隔膜の支えとして用いられる「appoggio」(名詞)は「支え、支柱、台、援助」という意味で「appoggiare 」(他動詞)だと「もたせ掛ける、立てかける、根拠を置く」、「appoggiarsi」(自動詞)だと=「もたれる、寄りかかる、頼りにする」という意味です。私の感覚だと上から下だったり、前から後ろだったり、重力に任せる感じです。 (辞書によると「ラテン語appodiare 台座の上に安置するが語源」)

一方、おなかの支えとして用いられる「sostegno」(名詞)は「支え、柱、支援」、「sostenere」(他動詞)=「支える、助ける、援助する、持ちこたえる、低下を防ぐ、扶養する、元気づける」 「sostenersi」(自動詞) =「立つ 直立する、暮らしを立てる、活力を保つ」で、私の感覚だと下から上に向かって支えるです。(辞書には「ラテン語sustinere sotto tenere下から支えるが原義」)(♯β)

 

A.横隔膜は、ドッグブレスのときに動いている、お腹の上側、肺の下の部分です。下腹部は丹田(へそより10センチほど下)のことで、息吐きのトレーニングを行う際、ここを意識するように習わされる人も多いでしょう。私は横隔膜と下腹部はつながりがあるとイメージしています。

そして理想的な発声=横隔膜の使い方=下腹部の使い方、となるのだと思います。

横隔膜を意識するより、下腹部を意識する方が容易なので、下腹部を意識するように教えています。(♭∴)

 

2020年11月28日 (土)

Q.コンコーネ50の10番の歌い方について教えてください。

A.10個のフレーズからできている曲です。始めの6個は2小節単位、残る4個は4小節単位ですが、最後だけロングトーンになっているので、余分に2小節ついています。

始めから8フレーズは、1拍目から始まり、残りの2フレーズは、3拍目から始まります。曲としては、不自然な作りですが、練習曲なので、この不自然さを、自然な流れとして聴かせなければなりません。始めの6個のフレーズには、全てスラーが付いているので、レガートで歌わなければいけませんが、4個目までのフレーズは、長い音符に挟まれて、16分音符が入っています。レガートの中でうまく処理できるように(弾み過ぎてしまわないよう)、練習しましょう。

4フレーズ目の臨時記号は、特徴的な音なので、しっかり決めましょう。5フレーズ目は、フォルテの指示どおりに入って、レガートを崩さないように気をつけましょう。

7フレーズ目は、1小節半の長いロングトーンの後の、8分音符に入り損ねないように気をつけます。ここからのレガートも、見落とさないようにして、続く5度と6度の跳躍を、きれいに処理しましょう。続く8フレーズ目の始まりは、最高音のロングトーン1小節半です。

ここからは先は、レガートは一か所しかなく、アタックも出てくるので、ノンレガートで、キビキビと音をさばけるようにしましょう。特に、9フレーズ目の頭は、初めて3拍目から始まるので、入り損ねは厳禁です。曲の最後のロングトーンのディミヌエンドは、始まりを早くすると声が持たないので、遅めに始めるようにしてみましょう。(♭Ξ)

 

A.この課題は伴奏の形と歌の旋律の違いを感じて歌うと面白くなってきます。

伴奏は常に8分音符で進行していくが歌の旋律は複付点で16分音符になっているので伴奏とは合いません。これを理解して歌う必要があります。

2小節の♭ミと4小節のソの音の響きが落ちないように気をつけましょう。その前の高い音と同じ場所で歌えるように。

7小節4拍のシの音はナチュラルなので高めの取りましょう。

17小節の♭ミの音はずり上がらずその音から入ってこれるように、その後の1819小節の下降形で響き、体の支え、音色が変わらないように気をつけましょう。

22小節と26小節の上侯形のアクセントは喉でアタックせずに横隔膜でアタックできるよう訓練してください。

28~30小節の♭ラの音は押さずに揺れないよう気をつけてください。(♭Σ)

 

A.Allegro maderato(ほどよく速く)にassai(きわめて、非常に)がついているので、ゆっくりにならないよう「きわめてほどよい速さで」というテンポ感を持って歌いましょう。それにより、始めに出てくる付点のリズムも重くならず、軽快に捉えやすくなります。もし1418小節の8分音符が滑ってしまう場合には、その前後の部分だけ予めテンポを落として練習しておきましょう。

曲全体としては、アクセントがついている箇所以外は常にレガートを意識することです。1516小節は、2分音符なのと音の幅もあるので、息の流れが停滞しフレーズが途切れやすくなるため、特に意識したい場所です。

22、26小節は、音が上行形でさらにアクセントがついています。ミの音に向かってアクセントを頑張るあまり、ただ押すような声になると力みで4分音符が維持できず短い音になってしまいます。勢いにまかせずに、しっかりとした横隔膜の支えの中でアクセントをつけてください。(♯α)

 

A.テンポとしては、比較的、快活な感じだと思います。伴奏が8分音符のリズムで刻んでいるのが特徴です。旋律は長めに伸ばす音符もあれば、付点で少し粋のいいリズムのように見える部分もあるというのが特徴です。でも、全体的にはレガートに歌うことを崩さないように心がけるとよいと思います。スラーでくくられたまとまりを大事に感じるとよいのではないでしょうか。

この曲のもう一つの特徴として、絶えず緩やかなクレッシェンドとデクレッシェンドがついていることだと思います。これを心掛けて演奏することは大変だと思いますが、テクニックを身につける上ではとても役に立つと思います。ぜひ指示を大事にして歌うようにしましょう。伸ばしている音でクレッシェンドとデクレッシェンドをかけることによって、声が凝り固まるのを防げると思いますので、かえって歌いやすくなっていくと思います。

多くの人が鬼門に感じる部分があるとしたら、17小節のミへの跳躍ではないでしょうか。この部分に関しては、音を狙うくせのある人は苦手に感じることが多いと思います。音を見過ぎて構えやすくなってしまうことが原因だと思います。コツは、その直前のラの音と口の形やポジションを変えないことです。同じラインの中で処理できるとうまくいくと思います。(♭Я)

 

A.曲の構成としては、最初の4小節、次の4小節が対になって始まります。

9~12小節では、8小節までに上昇した音が下降しながら進行し、13小節~16小節と17小節~20小節も上向下降の音形で対になっています。18小節以降も長いロングトーンの音形が対になって構成されます。

この曲に特徴的なのは、1オクターブの上昇がいろんな形で出てくるところです。13小節のミ♭の音は4小節かけて17小節の一オクターブ高いミ♭に繋がっていきますし、2223小節にいたっては、たった2小節でオクターブに達さないといけません。オクターブの跳躍を歌うには、高い音が来てから準備をしていては間に合いませんので、フレーズの最初から、高く上がるぞという意識で歌い始めてください。

冒頭では3拍であったり、13小節意向だと6拍であったりと、長く音を伸ばす際は、拍感を失わず、その拍感も下向きのビートではなく上向きの跳ね上がるようなビート感を意識して歌いましょう。その跳ね上がりの結果、高い音に向かうようにして歌ってみてください。(♯β)

 

A.伸びやかなメロディを大らかに歌っていただきたい曲です。複付点や付点のリズムは正確に軽快に。

小節をまたいでタイで繋がれているロングトーンは、和声がどんどん変化していきます。

和声は変化しますが、歌い手が何かの作業をして声を変える必要はありません。耳をよく開いて伴奏のハーモニーを感じていれば、自然に和声にマッチした声が流れ出すでしょう。(♯∂)

2020年10月31日 (土)

Q.コンコーネ50の9番の歌い方について教えてください。

A.コンコーネは練習曲なので、歌いやすさ、親しみやすさとは、真逆のメロディー・フレーズになっていることが少なくありません。これは3拍子のゆったりと歌う曲です。

全部で32小節ですが、24小節で休符にフェルマータが付き、一区切りした後に8小節が続いて、曲は終わります。

冒頭の小節は、一拍目から始まりますが、次の小節からは、三拍目から始まる小節が続きます。始め2小節は、順次進行で、スラーもついているので、レガートに美しく歌いましょう。

3小節目は、6度の跳躍もあり、レガートもついていないので、音程が甘くならないように気をつけます。4小節目は、第3音に臨時記号がついているので、短調感をしっかり出しながら、スラー通りに、レガートにします。ここでメロディとしては、一区切りつきます。

続く5小節目では、第3音の臨時記号が、ナチュラルに戻っているので、長調感をしっかり出すことを大切に、スラーもなく、6度の跳躍と7度の跳躍があるので、いきいきと歌いましょう。

さらに6つ目の小節も、7度の跳躍から始まり6度の跳躍もあるので、いきいきと続けます。この、56小節には、アクセント記号が同じ部分に付いているので、うまくいかさないといけません。続く78小節は、ほぼロングトーンの7小節目に、8分音符の多い8小節目がつながっているので、8小節目を出遅れないように、気をつけます。

この曲はヘ長調で書かれていますが、ここからフェルマータまでの小節は、ハ長調として歌うのが、簡単です。フェルマータの後は、冒頭と同じ小節で始まりますが、締めくくりの小節は、スラーと休符の位置に気をつけて、慎重に練習しましょう。(♭Ξ)

 

A.8番の延長上の訓練です。Lentoと表記してありますので決して早くならずレガートを意識してください。伴奏が常に動いていますので伴奏を感じながら歌うと歌いやすくなると思います。

4小節から5小節にかけての下降形の響きを落とさずに歌うわないと次のドへの跳躍で段差がついてしまいます。

10小節1拍の跳躍、12小節1拍の跳躍は低い音を出しているとき既に次の高い音へ向かっているつもりで出しましょう。

16小節の#ファは伴奏がないので丁寧に歌いましょう。

22小節の下降形はラとファの音が2回ずつ繋がるので2回目を上から取り直すつもりで歌いましょう。

28小節3拍目~29小節にかけては跳ねすぎずレガートで歌えるよう心がけましょう。(♭Σ)

 

A.しっかりと横隔膜で支えた上で、曲全体をレガートで歌うことを求めて練習したいです。

特に10小節目の高いレは、飛躍した音で8分音符と短く、さらにアクセントがついています。その音だけを意識し過ぎて喉で押してしまわないように、その直前のミの音で横隔膜が緩まないようしっかり支えておくことが必要です。12小節目の高いレも同じです。

音域はドから1オクターヴ高いミ(又はファ)までの幅で、8番までと比べて頻繁に旋律が上がったり下がったりしています。横隔膜を保つことは、このような旋律でもポジションがあちこちに行かず安定させる役割にもなります。

18、20小節目は、ブレスが()カッコで記されていますが、始めは無理をせずにブレスを入れて練習しましょう。なお、ブレスなしで歌う際には、17小節目のデクレッシェンドで横隔膜が緩みやすいのでしっかりとした支えを意識することです。(♯α)

 

A.速度的にはLentoで強弱的にはpで書かれています。緩やかな速さで、乱雑にならずに丁寧に歌うことを心がけてみてはいかがでしょうか。

pと書いてあると、つい「弱く」ということを思いがちですが、声が弱々しくなってしまうだけでは練習にならなくなってしまうので、弱くというよりは丁寧なイメージを持つといいと思います。イメージがつきにくい場合、慣れるまでは、程よいボリュームで、フレーズのまとまりを感じながら歌っていくといいのではないかと思います。

ある程度慣れてきて、楽譜通りに歌うことに対応できる場合は、書かれているクレッシェンドやデクレッシェンドを丁寧に再現してみるといい練習になると思います。これらのコントロールは体も集中力もとても必要とされますが、声を自在にコントロールできるようになるための練習としてはとても役立つと思います。

音を正確に歌うことはとても重要なことですが、必要以上に狙わないことや、音を当てに行かないことなども重要な課題だと思います。音の跳躍部分で、狙ったり当てに行ったりして、声も音楽も違和感のある状態になってしまう場合は、注意が必要です。楽譜に書かれている内容で、それを正確に再現できるようにすることを基本として、書かれていない歪な音楽にならないように注意しながら歌うようにしてみましょう。(♭Я)

 

A.8分の9拍子で、ゆったりとしたテンポで歌いましょう。しかしゆっくり歌いすぎると息もつらくなるので、8分音符3つで1拍と捉えるといいでしょう。

曲の構成としては、最初の4小節でテーマを提示し、次の4小節で転調しながら受けています。

9~12小節と1316小節もメロディが対になっています。1724小節まではそれまでFdurだったのが5度上のCdurに転調しています。1820小節は冒頭の再現として現れますが、最後の4小節で結びとなります。

クレッシェンドとデクレッシェンドが全体に何度も出てきます。音楽を小さい範囲でとらえると、フレージングがつけづらいので、このクレッシェンド・デクレッシェンドを利用しながら大きくフレーズをとらえましょう。

3連符のようなリズムになっている8分音符の連なりは音程が正確になるよう心がけましょう。

17小節のアウフタクトからCdurに移行しますが、このアウフタクトは音量は小さくともしっかり体で支えて、次の上向するメロディに備えてください。上向した一番高い音で音を支えるのをやめてしまう人がいますが、次の8分休符まで歌うつもりで支えをやめないように気をつけましょう。(♯β)

A.うめくような低い伴奏から始まります。Lento(遅く)の指示がありますが、8分の9拍子なので遅すぎないようにしましょう。

一般に分母が8の場合、一小節を一つの単位と感じられるようなテンポ設定をする必要があります。練習として、速めのテンポで歌ってみてください。1小節を一拍と感じ、2小節を一拍と感じ、4小節を一拍と感じられるように練習します。

遅めの曲はこうやってテンポを速めて練習しておくと、構成が聞き手に分かりやすくなります。いずれにしても、伴奏の8分音符がきちんと話せるようなテンポを設定するといいでしょう。

形式は3部形式(ABA)で、Aがはじめの8小節、Bがその次の16小節、Aが最後の8小節です。

新しく曲を見るときは、頭から追っていくのではなく、ざっと楽譜を眺めて、どことどこが同じか、変なところはどこか、大きいところから見ていきます。

そうやって見ると初めに気が付くのは、Aに戻るところのフェルマータです。絶妙によいタイミングにしないと間延びしてしまいます。Bの部分(中間部)に特徴があります。Bの頭、フレーズがアウフタクトから始まるものが続きます。どんどん畳みかけて盛り上がっていくように。また小節をまたぐときに仕切り直さないようにしましょう、フレーズの頭がアウフタクトなのですから。Bの後半八小節、伴奏がスカスカですが、遅くならないように。あまり意味を持たせないように演奏してください。一般に中間部で初めて出てくるテーマには意味を持たせすぎないのがいい演奏のコツです。

この曲の頂点はB最後の2小節、その低い音です。なんと盛り上げの難しいこと!少なくともテンションを落とさずに。(音高が高くなると盛り上がり、低くなると盛り下がることは、最も嫌われることです。)(♭∴)

2020年9月26日 (土)

Q.コンコーネ50の8番の歌い方について教えてください。

A.Andante sostenutoですから、ゆったりと、速くならないようにしなければなりません。そうしないと、この曲の課題は、とても難しくなるので、注意しましょう。

スラーが細かく付けわけられています。まったく同じメロディでも、スラーを付ける部分が変えられているので、よく見て練習しましょう。

始まりの4小節は、2小節ずつスラーが付いているので、2小節ずつレガートにします。続く4小節はスラーがないので、ノンレガートで歌います。そして、続く始まりの4小節と同じメロディは、4小節全体にスラーが付いているので、途中で切らずに、4小節のレガートにします。スラーの始まりが、8小節目の3拍目、ブレス記号の後から始まっていることを、見落とさないように気をつけましょう。次の4小節は、2小節目の3拍目からスラーが付いているので、ノンレガートで始めて、途中からレガートにします。

続く17小節目からの8小節は、ほとんど同じ4小節ずつのメロディですが、前半は34小節目全体がスラー、後半は、2小節目3拍目から、4小節目1拍目までがスラーになっています。ブレス記号の有り無しまで変えられていて、ほとんど意地悪問題のようです。

次の25小節目からの8小節は、4小節ずつの下向音型で、臨時記号も付いた、歌い甲斐のある音型です。前半は2小節ずつのスラーで、スラーの中にブレス記号があり、とても歌いづらくなっています。後半部分も同じ箇所にブレス記号がありますが、スラーは4小節全体的につながっているので、前半と同じように歌ってはいけません。

33小節目以降は、通常のスラーになるので、やっと落ち着けます。37小節目と39小節目のスラーに挟まれた、38小節目のアクセント記号は、音程を外したりしないように、繰り返し練習しましょう。(♭Ξ)

 

A.レガートのための課題です。ただしレガートを意識しすぎて音楽が止まらないようしましょう。曲としてはそれほど長くはありませんが難しい課題です。

8小節のド~#ドへの移行をていねいに、ブレスで体がほどけないようにしましょう。

13、14小節で低い音で落ち着きすぎないよう常に前にすすんで下さい。

24小節のファの音の響きを高く、28小節までは響きを保つことを最優先課題としてください。29小節~32小節も同様です。

33~36小節は全て36小節のレのポジションで歌ってください。ファからレへの跳躍はとても大変ですのでポジションを落とさず徐々にcrescをかけながら上降してください

36小節のレから37小節のミへの移行は間に休符がありますが、テンションや流れ、勢いは絶対に落とさないで下さい。

38小節はアクセントがかいてありますが、これは喉ではなく横隔膜での柔らかいアタックだと思ってください。

(♭Σ)

 

A.Andante sostenutoは、andante(歩くような速さで)のテンポより少し遅くという意味なので、それを考慮すると旋律をレガートで歌うために、かなり横隔膜を保って息をコントロールすることが求められます。息が足りないのにひと息で歌おうとして喉が力むことは避けたいのです。(必要な人は)はじめのうちは提示されている以外にもブレスを増やして練習しましょう。

28~29小節は、8分休符の後で1オクターブ以上の飛躍があるので遅れやすく、喉が上がりやすい箇所です。同様に3336小節も、タイの後の裏拍が遅れやすく、そのせいで喉を押してしまう傾向があります。この2ヶ所が歌いにくいと感じる人はきちんと部分練習をしてください。

37~40小節は8番の山場と言えるフレーズですが、喉でアクセントをつけてしまわないように、はじめは母音ではなく階名や子音を入れた発音(SaHaなど)で練習すると安全に感覚をつかみやすいです。(♯α)

 

A.レガートに歌う要素が必要な課題です。しかしながら、最初からレガートを意識しすぎると、音程が不鮮明になったり、本来のレガートな歌唱で必要とされる発声のテクニックを使えない状態で歌うことになってしまう可能性があります。客観的に聞いて、声や音程が「うねる」状態になっていたとしたら、それはレガートではありません。

最初の練習としては、声が硬くならない程度に、少し几帳面にソルフェージュをしているくらいの明確さを意識するとよいと思います。歌いすぎないでシンプルに発音しているくらいの声がよいのではないでしょうか。

ダイナミクスに関しては、後半にpp(ピアニッシモ)が出て、少しクレッシェンドをかけつつも、最後はディミヌエンドで終わっていくので、この部分は相当なテクニックを要します。

前半の部分は、後半の制御に耐えうるように派手になりすぎないボリュームではじめるとよいでしょう。ボリュームのコントロールとバランスを大事にすること、うねらず力まず几帳面に発音すること、そのうえで、スラーをヒントにフレーズのまとまりを大事にすること、クレッシェンドやデクレッシェンドに注意しながら歌うこと、そうするとよい課題になると思います。(♭Я)

 

A.曲の構成としては116小節、起承転結の「起」のように同じようなメロディが2回続きます。次の8小節は「承」、同じ調のまま少しだけ音形が変化した部分。次の8小節でcmoll d moll というふうにちょっと複雑な転調を4小節ずつ経て、次の8小節は今までずっと下降形だった音形がはじめて上行形に変化し、12度ものアルペッジョでしめくくられます。最後にコーダ4小節で終わります。

基本的に下降形のフレーズなので、上向形に比べれば歌いやすいのではないかと思います。よく息を流して、3拍子のリズムにのって歌いましょう。1小節を3つにとらずに、円を描く感じで1小節1つにとるといいでしょう。

13小節の4度は下から取るのではなく上から音にアプローチするといいでしょう。19小節目の前打音は素早く歯切れよく歌ってください。25小節からの下降音は臨時記号の音程によく気をつけてください。26小節目の「シ」の音が低くなりがちなので、高めに、下降すると思わず歌うのがコツです。29小節目の12度の跳躍は、前の音「ド」をその音のポジションで歌わず、次の「♭ミ」のポジションで歌うとよいでしょう。33小節目~2度、4度、5度の跳躍する音程に気をつけてください。(♯β)

 

A.Andante sostenuto(歩く速さで 音をよく保って)ですが、遅すぎるとフレーズを作るのもブレスも難しくなるでしょう。はじめの4小節が1つのフレーズに聞こえる速さでなければなりません。音が下がってきますが、フレーズは「上向き」ですので落ちてこないように。

一般に音楽は始まってから盛り上がっていきますので、下降音形でも曲のはじめなら盛り上がっていきます。曲の盛り上がりが音の高低に一致してしまう日本人特有の現象を「音高アレルギー」といい、よくないことです。

17小節目「ファー」で伸ばしているときにピアノをよく聞きましょう。伴奏との声の扱い方の練習です。よく支えて張りのある声で伸ばします。

33小節目ppはテンションを下げないように。緊張感が高いところです。8分音符が絶対に遅れないように。書かれているより早めに動いて構いません。

37小節目「ミレドシラソ」で絶対に落ちないように!!その次の小節の頭の低い「ファ」がこの曲の頂点なのです。その後のアクセントは大見えを切るように、時間を使っていいでしょう。リットせずに普通に終わるといいでしょう。二部形式で、はじめのテーマが戻ってこないのも特徴です。(♭∴)

 

A.どれだけ滑らかに声を続けられるかが課題となる曲です。表情豊かな経過音がたくさん出てくるので、滑らかさと正しい音程の両立が大切です。

最初にあえて全てスタッカートで歌ってみて下さい。そうやって体の使い方と音が頭に入ってから、レガートで歌いましょう。

コンコーネはアなどの母音唱で歌う人が多いと思いますが、この曲は階名(ドレミ唱)でもやってみましょう。たくさんの母音、子音が入り混じる階名唱できちんと歌えれば、歌詞のある曲を歌うのに役立ちます。

3拍子の3拍目が粘ってしまうとどんどん遅れてくるので、リズム感が弱いという自覚のある人はメトロノームに合わせて練習するのがおすすめです。(♯∂)

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