「正誤より至ること」 Vol.236
私見ですが、ヴォイストレーニングで、正しい、間違いということが言われるようになったのは、ここ20年のことです。世間でも正義と悪とが二分され、清く正しく美しくという風潮が、さらに強まった気がします。
そもそも文化とか芸術というのは、他人の創り得ない、理解できないところから、切り出されるものですから、定まった“権威”から判断されるような正誤や善悪でなく、常にどこまで至るか、すごいかということなのです。
学んでいくプロセスでは、今ある(つまり、すでに過去の)一流のものに引っぱられるようについていきつつ、新たに切り出していくものです。
客やプロデューサーはもちろん、トレーナーのアドバイスさえ、そのまま受けとって行ってみながらも、自分でとことん吟味して、判断して創造していかなくてはなりません。
スーパーオペラレッスン(NHK)でバーバラ・ボニーは、これを次のように述べています。
「教師の指示通り、努力するだけでは何かを失ってしまいます。そして、通常それは、別世界への最後の扉を開くカギです」この人は、正誤でなく、至ることを知っている人だと思います。
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