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2011年11月

「可能性と限界をみること」 Vol.243

素人の世界では、やった分、伸びます。やっていない人より、より優位にたてます。プロとなると、みんながやっているので、やればやるほど、はるか上の存在に気づきます。自分の能力がすべて限界と思えて、八方塞がりになります。その限界状況から打開策を考えるか、真のオリジナリティを発掘して、一点突破するかなのです。そこまでを私はいつも考え、相手にあたっています。

 趣味とするならヴォイトレは最適です。健康にもストレス解消にもよいし、カラオケや朗読、スピーチ、仕事にも日常にも活かせますから、得られるもの大で失うものはありません。仕事となると、全く違ってきます。何かの基盤として声は存在するのですから。     私はこれを単体として仕事とするのに大変でした。歌や芝居のように、確立した世界がないのです。もう一つ、声のパフォーマンス面での評価の基準づくりも同時で行ってきて、ようやく、この2つの面から声の表現の世界が見えてきたように思います。
真のオリジナリティでやっていこうと思う人でも、その志を長く持てる人は少ないものです。ことに日本のような同調圧力の強いところでは、私も目に見えない世間の足をひっぱる力に奮起したものです。どうして一人の革新者よりも、その他、大勢の他人の批判だけをする人たちの声に、一時は己の真実にめざめ、頑張ろうとした人たちが引っ張られるのか、不思議です。自立や独自の表現が嫌われる風土とはいえ、残念なことです。しかし、少なくとも私はそういう少数の、時代を切り拓いていこうとする人の味方でありたいと思っています。

 基い、声そのものが無理なら声の動かし方で、それでも無理なら声の動きの組み合わせで、それでも無理ならフレーズやハーモニー、アレンジ、詞や曲の変化、他のプレイヤーの力、パフォーマンスなどいくらでもやりよう、みせようがあるから、歌はすばらしいのだと思います。

 レディ・ガガさんは一肌脱いで、脱皮しました。私は何でもありと思っています。たった一度の人生ですから、できるところから勝負した方がよいでしょう。ゲームと違い、人生は思い切りやって敗れても、ダメになったり、死ぬわけではありません。生きている限り、復活戦があります。早く大きく失敗する経験を積んだ方が、その後の人生で勝つ可能性は高くなるのです。

 トレーニングは、最初はMAXでMAXを目指します。そして、レッスンや本番には、MINでMAXを獲りにいくのです。

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