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2012年2月

「ゴールとスタート」 Vol.246

私がトレーナーとしてやるべきことはアーティストが暴走しているのを、そこで不完全に燃え尽きて終わってしまわないよう、次元をアップさせる方向にセットして進めることだと思います。暴走するのは、当人がやるのですが、それを抑えたり、ときには逆に暴走させるエネルギーを与えていきます。たとえはよくありませんが、あたかも優秀な騎手のように、です。

プロはスタンスのとり方がはっきりしています。自分ができることが何であるかを知り、それでやっているわけです。そこを誰よりも細かくみて、私たちは共に新たな可能性に向かって切り拓いていくのです。
しかし、それ以外の多くのレッスンは、そこまでのベースづくりが主です。プロたるレベルのまえにプロたる環境と習慣をセッティングしていくのです。

本当は自分で考えていることはそんなことではないのに、自分の今の力ではそうにしかならないという人もいます。歌という形をとるがために、一言ももたせられない人が、どうして10曲20曲を歌えてしまうという不思議なことが成り立ってしまうかのようになってしまっているところから考えてみましょう。
   
大きくみると全部よいのです。悪声であろうがひびきがかかっていようが、裏声が出なかろうが、すべてよいのです。すべては、それがゴールがスタートなのかということにすぎません。
声が大きいだけでは迫力があるわけではありません。そこからつくっていくのは当人です。

トレーナーは教えようとして、ただ教えられたところで結果として、そのトレーナーのよくて半分くらいの実力で終わってしまいがちです。それは少なくとも私たちにしてみれば大きな失敗です。
そういうトレーナーのゴールが私たちにはスタートなのです。
目標がトレーナーでないなら、あなたの理想を現実に実現している人に範をとることです。トレーナーが目標としている声、求めている声そのものは、あなたにとって、そのままではまだ現実の世界でやっていける声とは、やや異なるのです。

現実は、個性でやっていくのに、基準をつけてトレーニングしていくのは、ステレオタイプでの上達としかいえないのです。でも、そのラインを使いつつ、離陸に備えていくためにレッスンがあるのです。人と同じであることが求められる傾向が日本の場合は、顕著です。だからこそ、それで終わらないために真にトレーナーが必要ともいえるのです。

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