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2012年12月

○「ハイ」で好感をもたれる返事をする NO.256

○「ハイ」で好感をもたれる返事をする

 大きな声で「ハイ」といいましょう。相手に対してきちんと向き合い、答える「ハイ」は、人間関係、コミュニケーションのもっとも基本のことです。
 「ハ」のきっかけはH音で、これは声帯でつくる、3つの音(ハ、フ、ホ)の一つです。つまり、声のきっかけとなる最初の音なのです。失声をしたときに、声を取り戻すのにも、この声帯でならす音が導入として使われます。
 「イ」は、前舌音で、これは人間でなくては出せない音、いえ、赤ちゃんには出せない音です。のどの奥に空間ができて、初めて出せるようになる音です。それとともに、日本人は浅くなりがちです。ヴォイトレでは、「イ」を使えて一人前、ベテランになると、「イ」がもっとも高くも出しやすく、ひびきを集めやすい共鳴する音となるのです。
 ですから、お腹からの「ハッ」と、ひびく「イ」との組み合わせは、まさに応答や呼びかけに最高の音です。
 「HI」「Hai」「Hay」・・・と海外でも通じます。肯定する音としては、Ja、Yaなども似ています。逆に否定するのは、No、Nain、Nahなど、鼻に抜くN音がついています。こういう語感(音相という人もいます)を大切に感じていくと、声についても、ことばについても、上達します。
 「ハ」のHaの「ア」は、口内を大きく開き、ヤッホーの「ヤ」の「ア」と同じで、ひびきやすいので、「ア」をつけてもよいのですが、ここでは、「Hi」と「ai」で二重母音( aと iを1音にしてしまうこと)にしましょう。

●「ハイ」と腹から出すトレーニング
 大きな声で「ハイ」といってみてください。うまくできないときは、そのまえに息で深く「ハイ」と言ってみたあとにやると、やりやすいでしょう。「ハイ」は、「ハ・イ」と2拍でなく、1拍でいってください(“Hi!”の感じ)。「イ」では、口を動かさず、声が浅くならないようにします。きちんと「イ」と言わなくてもかまいません。

 大きな声でしっかりと返事ができることは、声を使うための第一条件といってよいかもしれません。うわずってしまう人は、少し低い声にしてみましょう。
 お腹から声を出すには、のどの下の方がビリビリとならず、下の胸の方でしっかりと、響きの中心「声の芯」(声のポジション)が保ちます。胸部と頭部でうまく共鳴しているのが理想です。
 声を出すときは、口の中ではなく、胸やお腹が中心のようにイメージしてください。
 出す声の大きさや高さは、やりやすいところでよいでしょう。少し高めにした方がやりやすい人もいます。その日によって変わっても構いません。しっかりとした声になってくると、声の高さを上げても、うまく対応できるようになります。

 声のトレーニングでは、普段の声と違う声をつくるのではありません。日常的に使っていく声をより深く使いやすくトレーニングしていくのです。いろいろと変化に耐えられる、タフな声にしていきます。

●声がしっかりと出ているかチェックする
 あなたの発声のチェックをしてみましょう。
□全身、とくにお腹から声が出ている(イメージ)
□いろいろいな声や息のノイズが混ざっていない(かすれない)
□一つの線上に声が伸びており、扱いやすい(イメージ)
□声の太さがキープできる、細くならない(個人差はあります)

※息から声への交換効率をよくする
 声のトレーニングのときには、声には、自分にはできないという制限をつくらないことです。
 小さな声では、それに合わせた息しか出さず、体もほとんど使いませんのでトレーニングにはなりにくいのです。体や呼吸を変えていくには、ある程度大きい声から入るほうがやりやすいでしょう。
 まず、体から精一杯の息を使おうと思ってください。そのなかで声になるようにしてみましょう。それが難しい人は、体、呼吸のトレーニングと声のトレーニングを分けてください。
 ここでの目的は、確実に息を声にすることです。息を吸いすぎては、かえってコントロールできなくなります。また、強い息で声がかすれるようでは、のどを痛める危険が大きいからです。
 トレーニングのあとに、のどが痛むようでしたら、それはよくない状態をのどにもたらしたことになります。トレーニングのやり方をチェックしましょう。休みを間にたくさん入れてみてください。それでも変わらないなら、そのトレーニングは中止しましょう。

※声をつくるな、フォームをつくれ
 声になるところを低い音のイメージでとります。今までのどで浅くつくっていた生声を、体と一つになった声(肉声)にしていきます。フォームで出すようにするのです。私がフォームというのは、姿勢のように、外見の形よりは、内側の感覚での統合感といったようなものです。スポーツでベストのプレーができたときの、心身の一体感を思い出してください。
 発声としては、胸の根っこで、確実に声にしてから出すようなイメージにします。このときには、のどが胸の方まで長く続いていて、その下の方の胸で声にしているようなイメージ、のどについている声帯も胸のまんなかについているというイメージにするとよいでしょう。
 声が浅いと、強く出すとのどをしめ、声が浅く広がってしまいます。それに対し、深い声では、息が効率的に声になります。役者の太い声のイメージです。
 声が深いとよく通る声になるのです。一方向へ集約され、声がうまく集まるからです。

●発声トレーニングのチェック
 体を曲げて(前屈して)やってみましょう。次にまっすぐ立ってやります。
□「ハイ」と鋭く、短く言い切れる(音が伸ばさない、のどにかけない)
□頭の方だけで響いていない(響かせない、抜かない)
□なるべくドスの効いた声をめざす(太く強く大きく)
□胸部にしっかりと共鳴している(胸のまん中を手でさわってチェック)
□のど、首、あごに力が入っていない(あごが前に出ていない)
□声がのどに直接あたっている感じがない(のどにビリビリと響いていない)
□のどが開いている、のど仏のところ(咽喉P 参照)が下がっている
□あごの下のやわらかい部分が硬くなっていない
□舌が平らになって、舌の後ろの方の舌根があがっていない

●胸、首、背面の「ハイ」のトレーニング
 舌の運動として、舌を前に出して「あー」と言ってみてください。
1.長さ ロングトーン  「アー」
2.声量 大―小  「ア>ア>ア」
3.声域 高―低  「アー」で ドレミレド (低高低<スケール>)
4.母音 音色  「イエアオウ」
 表情筋を歯ブラシやシェイバーを使う度に、大きく動かしてみましょう。

○のどを開いた声にする

 のどを開くとは、声帯を開くということではありません。
 声帯がずっと開いているのは、吸気のときです。発声時は、声帯の開扉での気流の動きで、そこから声は生じるので、そこは柔軟に保つために、のどにあまり力を加えないということと、口の中、特に奥を少しあけて(大きな空間にして)声を豊かにすると考えてください。

 ことば通りに考えると、のどは開けません。しかし、のどを閉じる、しめるという感じは、何となくわかるのではないかと思います。のどをしめた声というのは、苦しそうな感じがしますね。ここで、のどを開くということは、口の中の奥を開けるということです。のどの力を抜くのです。
 息を深く吸うと、口やのどは自然に広がります。ちょうど、あくびをしようとした状態です。
 よく、「あくびして声を出せ」と言われますが、あくびでは、のどや舌にも力が入るので、あくびの直前の形と考えてください。あごがひかれて、のどの奥がたてに広くなる感じです。
 「まあ~っ」とびっくりしたときのようにしてください。このときに、のどをしめないように注意してください。

●同じ太さ、同じ強さの声をキープするトレーニング
 同じ太さ、同じ強さの音を長時間キープできるようになると、確実に使える声が身についてきます。
 同じ太さで同じ強さの声をキープしようとすると、最初はかなりの集中力とお腹の支えを必要とします。かといって、お腹を使わないと、のどに力が入って、部分的な響きになってしまいます。(そこで腹式呼吸のトレーニングが必要となります)
 日常的に使用している声よりも、しっかりと出すということは、それだけ普段と異なるのですから、第一にテンションとパワーが必要です。パワーがつくにしたがって、よい声が一音ずつできていきます。
 このパワーとは、力で押すのではなく、テンションが高い状態で、集中して出した声をコントロールする力のことです。
1.「アー」
2.やりやすい音で「ロー」

※のどをあけるのがうまくいかない場合
 できない人は、次の順でやってみてください。
1.あごをひく
 ほとんどの人は、あごがまえに出ているので、斜めうしろにひくことです。胸の位置を少しあげてからひくと、首や喉を圧迫しません。親指であごを強く押してみてください。この状態で声を出すとよいです。
 耳のまえにあごのちょうつがいがあります。これは、しゃべったりやわらかいものを食べるときは、動きません。しかし、大きいものを口をあけてくわえるときや、固いものを噛むとき、あごのつけ根のところは下がります。
 あごと舌の余計な動きを抑えるために、エンピツやワリバシをくわえさせるトレーニングもあります。力が入るときは、あごを左右や前後に動かし、楽にしましょう。

2.舌は平らにする
 舌が固くなると、喉がつまる原因になります。舌根(舌の奥の方)が盛り上がると、口の中が狭くなり、へんに共鳴した、つめた声となります。すると、音色も発音も不安定になります。舌が平らになった状態を鏡で確認して声を出してみましょう。
 声楽家やゴスペルシンガーの歌っているときの舌の状態をみると、ぺたっと平らにくっついているのがわかります。TVやDVDでみてください。舌が平らになって、舌先が下の歯の裏についている状態で、喉仏が下がっています。
 強い声を出そうとして力を入れると舌がひっこんで、喉の邪魔をし、喉仏があがり、喉声になりやすいのです。
 というのも、舌は、実際はかなり大きなもので、喉の奥深くまで届き、喉頭につながっているのです。たとえば、舌を前後に動かすと、喉仏が動きます。どうしても力が入るなら、一度、舌を口の外へ大きく出して、ひっこめてみましょう。
 ろれつがまわらないとか、舌やあごに力が入るなどということは、舌を回したり裏返してみたりするトレーニングで、ある程度、解決できます。しかし、根本的に直したい人は、そういうところで左右されないように声を深く使うことをイメージや感覚から変えていくことです。

「遠くの目標をもつ」 NO.256

私はレッスンとトレーニングを分け、その必要性を高め、より高い目的へチャレンジさせるようにアドバイスしています。

 

ヴォイトレというあいまいな世界で本気の上達や効果をあげるには、遠くの目標をみる必要があります。上達や効果ということさえ、近くの目標にすぎません。

 

船乗りは、大洋を横断するには、島や雲ではなく、星を目印にします。遠いゆえに動かないからです。そのためには、古典や歴史から学ぶことです。私は自分の本がすぐに役立たなくても長く、愛読されることを願っています。

 

誰もがお客さんから一歩、人前でお客さんにみせる立場、プロになる道へ踏み込むと、今までみえていたものがみえなくなります。大海原に出ると山のふもとに入ると、みえなくなるのと同じです。それが連続してくのであればこそ、高く遠く確かな目標が大切なのです。

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