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Vol.13

コントロールできる声にする

 

 声量のコントロールは、その他にも、高低、長短、音色などのコントロールがあります。これも声量と同じく、高い声、低い声と、両極が出せればよいのではありません。適度に調整できる必要があります。

 

●声の出る体のイメージをもつトレーニング

 声帯自体はとても繊細なものです。打楽器のように扱ってはよくありません。声帯が出す音の強さには限界があります。

 声量とは、声帯で発する音量を大きくするのではなく、その原音を共鳴するところに呼気を使って最大に動かしてみせていくと考えてみてください。それにはしっかりとした共鳴のできる声とフォームを地道につくり上げていくことです。

・深い息から深い声へ

 意識は頭や口先でなく、お腹、へそ下5センチメートルくらいのところにおきましょう。声を自分の体と一体化させて、その根っ子のところから大きくイメージしましょう。

 

※声に対するフィット感と集中力

 ここで、めざす声はリラックスしていて、柔らかく出していても、鋭く、ボリュームののった緊張感があり、かつ、しなやかな声です。一分のすきもないほど、一瞬の息もれもないくらいに体にフィットしたものです。

 かっこよい服をしっかりと着こなしていたら、どんなに飛んだりはねたりしても絵になります。しかし、それがだぶついていて、足にひっかかりそうであったり、脱げそうだったら、気になって堂々とふるまえないでしょう。私たちと声との関係もそのようなものだと思ってください。

 ですから、服をかっこよく仕立てるまでと、それをしっかりと身につけるまでの間は念入りに細心のチェックが何度も必要とされるということです。

 

 自分がどのような声を出しているのか、それが果たしてよい方向に表現を伝えられる声であるのかをしっかりと判断しましょう。

 そのためには、ひと声出すごとに、その声に耳を立て、体で感じている反応をもあわせてみます。そして、毎日、それを判断していくのです。何よりもプロのひと声を何度も聞き込み、体にしみこませることです。

 そこには並々でない持続的な集中力が要求されます。ヴォイストレーニングも、集中力で身につけていくのです。

 

●声の“発生”のトレーニング

 できるだけ柔らかく力を抜いた状態で、しっかりとした声になるようにトレーニングします。このとき、のどをしっかりとあけ、なるべく胸の深いところで声がとれるようにします。せりふで、一呼吸をとるところまでの間を、節回し(フレーズ)としてうまくもっていけるようにします。まずは、「体からより大きく、より太く、より強く」することを心掛けてください。次に「より長く、より均等に」していきます。

 

※縦の線上に共鳴を統一させる(イメージ)

 体からの呼気の流れにのって、縦のイメージ(頭部-胸部)で1本の線上にとれている場合は、お腹から深い声になっています。体で支えられているため、のどの負担を最小限に抑えられます。響きも縦の線上に考えます。

 あなたの体で、次の2点を意識することです。

 1点は胸のまん中。もう1点は軟口蓋の上から眉間にかけての線上の1点です。

 胸にしっかり響くと、その響きは頭の方へも自然と共鳴してきます。頭部の共鳴しているときは必ず胸部にもその根っ子となる響きの感覚があるわけです。

 大半の響きは浅く、八方へ広がって薄っぺらになります。そこでのどがあがり、のどに負担がきます。しかし、縦の線上に2点をとると1本の線になります。一直線に響きはまとまっていくのです。よい声は指向性のあるものとイメージしてください。

 

 重いものを持ち上げるときのように下腹の力で、体もやや下に落とすようなところで声を発してみます。無理にかすれさせたり、しわがれた声にしないでください。

 声の浅い人は、横に浅く声が広がっているので、シャウトするとのどを痛めやすいです。まだ、やらない方が安全かもしれません。

 体とつながっていない声は、声としての発展性がありません。確実に調整でき、しかも自由にメリハリのつけられる声をベースにするのです。

 

●声の終止のトレーニング

 ていねいに音が消え入るように止めます。

 フレーズの最後の音は耳に残るものですから、その音がうまく処理できていなければ、全体もこわれます。そこでしっかりと声をお腹で止めるトレーニングをします。体で止め、胸の響きが、頭の方(鼻すじ、眉間)に余韻として少し響いて消えると、理想的です。

 これは、さらに次のフレーズに同じように入っていくためにも大切なことです。終止で乱れていると、次の出だしも狂います。常に体を戻して新しいフレーズにしましょう。それができてきたら、よいフォームとなっていきます。

 

※声を直線的にとらないこと

 たとえば、「私」と言ってみてください。そこで「わ」「た」「し」を、3音とも胸についた、しっかりした声で言えるでしょうか。頭の音だけ強くぶつけて声を出し、あとはあやふやで何を言っているのかわからなくなりがちです。大きな呼吸の円循環の流れのなかで、声を確実にキャッチするようにイメージしてください。

 日本語は、一音目を高めにはっきりととります(「高出し」)。頭の音がわからないと意味がよく伝わらないからです。

 くり返してトレーニングするときは、ためて、構えて、鋭く切り込むように考えてください。

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