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Vol.14

○高い声と低い声を出しやすくする

 

 声の高低の調節で一番困るのは、声が裏返ってしまうことでしょう。女性には、もともと裏声で話している人もいますし、裏声と地声を使い分けている人も多いので、気にならない人もいます。しかし、男性は地声なので、声が裏返ると、本人も周りもびっくりします。そうでなくても、話しているうちに熱が入ったり、興奮したり、疲れてきたり、心外な方向へいったりすると、声はうわずってきます。しぜんに任せて声を出しているのですから、あなたの心身状態が声に表れるのです。これがコントロール不能になると、仕事では、あまり好ましい結果になりません。声のトーンが変わると、説得力は失せ、疑念を持たれかねません。

 そこでトレーニングでは、マックス、つまり、最高の高さの声と最低の低さの声まで、発声練習しておきます。その上で、ことばも、高さをやや極端に変えていってみるのです。

 

●高い声、低い声を出すトレーニング

1.アー / マー / ガ- (高低 それぞれに)

2.ハイ / おはよう (高低 それぞれに)

 

 個人差があるので、できる範囲でかまいません。トレーニングですから、あまり使わない裏声もやっておきましょう。

 高いところは、歌でトレーニングするとよいでしょう。歌もうまくなるので、このトレーニングは、一挙両得です。

 

●声域のマックスのトレーニング

 伴奏に合わせて、低いところから高いところまで、声を出してみましょう。(「ア」でも、その他の音でもかまいません。)

 

※声には高い声、低い声があります。高い声は頭の方へ抜けやすく、低い声は胸にこもりやすいものです。しかし、そういうふうに分けずに、ひとつに捉えるところからはじめるように考えましょう。

 音の高さによって発声や声質を変えてしまうと、一貫したヴォリューム感やメリハリ、ドライブ感、パワーが出せなくなります。

 これには、高い方の共鳴は胸に、低い方の共鳴につけるようにイメージすることで、調整しやすくなります。

 

●裏声のトレーニング

 ヨーデルのように、裏声でやってみましょう。

 「ラリホー」 「レロレロレロレリホー」

 

●声の高さ別のチェック

□かすれずにしっかりした声で全ての音を出せる

□低い声も、のどでなく体の支えで声が出ている

□低い声を強くできる

□高い声をやわらかくできる

□高い声でキンキンなったり、カン高く聞こえない

□音の高さによって感情的に聞こえない、感情がないようにも聞こえない

□口や舌、あご、のどに力が入っていない

□高い声で裏返らない

 

●「最も低い声」のトレーニング

 自分の話す高さの声から下に、半オクターブくらい低くすると、あなたの発声としてギリギリの最低の音の高さの声があります。これは、低すぎて普段使わないために、変なクセがついていないことの多い声です。

 深いポジションでの胸の声をチェックしてみましょう。この声を充分生かしきるようにすることによって、音の高さに関わりなく、のどをリラックスさせたまま声を出し続けることができるようになります。

 

○高い声の出にくいときのチェック (カラオケの歌う声などでも、このチェックは使えます)

□のどや首に力が入っている

□下あごに力が入っている(あごが前にでている)

□胸部でしっかりと声になるところをつかんでいない

□充分な息を流していない

□体や息の支えが充分でない

□響きをまとめていない

□舌に力が入っている

□口をあけすぎている

□息が効率的に声になっていない

□もって生まれた声には高すぎる

 

※最初に自分の声の高さや声域を決めつけないこと

 もしあなたが自分の声の可能性を最大限にまで追求していきたいと思っているのでしたら、自分の声域を知ってもそれを固定して考えないようにしてください。声の質も高さも、トレーニングをするにつれて少しずつ変わってきます。声の楽器である体そのものが、トレーニングで変化します。その上に、発声を直すと、これからの声の印象が大きく違ってきます。

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