Vol.15
○日本語の高低アクセントを正す
これはヴォイトレからすると、応用です。共通語以外の方言(関西弁)などでは、アクセントは共通語とは一致しません。共通語の高低アクセントは、手本はアナウンサーの報道です。わからないアクセントは、日本語アクセント辞典(今は電子辞書に入っているものもあります)で、調べましょう。
トレーニングでは、高低を無理に際だたせてやってみます。すると、日常のときのアクセントが、とてもクリアになります。
ことばをはっきりと伝えるためには、発音のほかにアクセント(accent)を正しくすることが大切です。アクセントは、地方によって異なります。たとえば、関東では、「橋」は低-高、「箸」は高-低と発音しますが、関西では逆となります。
共通語としては、東京のアクセントを主体に使います。
アクセントには、音の強弱、長短、高低とあります。
日本語は、高低アクセント(Pitch accent、もしくは、Musical accent)が中心です。(アクセントを特に表記するときは、高い音節に棒を引くことが多い。)
それに対して英語は、どれかの音節を強く発音する強弱アクセント(Stress
accent、もしくは、Dynamic accent)です。
○発音の高低とメリハリ
日本語は、同じ長さのシラブルからできているため、強い息での流れがなく、リズミカルな動きがとりにくいのです。どこを伸ばしてもよい長短の感覚になります。強い息の強弱で、リズミカルに発されている欧米語と比べてみましょう。
ことばをしっかりと言う練習で、ことばそのものにメリハリをつけて動かしましょう。
一般的に、声の高さは、弱い表現では低く、強い表現では高くなります。
定められた、このようなルールのなかで、話のメリハリをどうつくり出すかということは、最もあなたの個性の発揮されるところです。
ことばをリズムとして体でとらえないと、その人の体に合った本当の声が生きてこないのです。
メリハリ、緩急は、盛り上げる前に少しおとすとか、盛り上がったあとに急におとすといった計算やかけひきによっても異なってきます。うまくいくと、聞く人は生理的に心地よくなり、快感とともに感動を生じさせやすくなるのです。落語家や俳優は、それをうまく活かしています。
(注)シラブル(syllable)=音節
○日本語のアクセントの法則
日本語で、音の高いのを「高」、低いのを「低」として表記してみると、次のようになります。
2拍の場合、 (1)低高 (2)高低 (3)高高(=低低)
このとき、次のようなルールがあります。
日本語は必ず、低高か高低ではじまり、低低や高高ではじまるものはありません。3拍の場合、
(1)高低低 みどり
(2)低高低 おかし
(3)低高高 さくら
3音では、この3つで、高高高、低低低、高低高、低低高はありません。
日本語には、1拍目が高なら、2拍目は低、1拍目が低なら2拍目は高しかないのです。つまり、高から低になったら、もう高にならないということがわかります。
よくみると、高低低、低高低、低高高があり、高低高がないのは、低から高になったら新しい単語となるからです。つまり、高低高がないのは、高-低高か、高低-高となり、2つのことばに聞こえるからです。
4拍では、同様の理由で、高低低低、低高高低、低高低低、低高高高しかありません。
●高低アクセントのトレーニング
少し大げさに高低の区分けをするため<頭高型と尾高型>で言い分けましょう。
朝=麻、アナ=穴、籍=咳、足袋=旅、tuna(ツナ)=綱、鶴=蔓、都市=歳、訳=役
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