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2013年8月

Vol.17 

〇声の感じ一つで説得力が変わる

 

 話し声での大切な要素は、声の調子、高さ、強さ、やわらかさ、その心地よさなどです。

 ただの大声ではよくありません。発声での表現は、メリハリとスピードといった抑揚での変化でみせていきましょう。

 しかし、その根本に、他の人とあなたを区別する、あなた自身の声というのがあります。いわば、あなたベースの声です。楽器でいうと、まさに演奏技術のまえの素色ということです。

 

○声は気力、集中力で変わる

 

人前で話して、声が聞こえないといわれたり、電話で何度も聞き返されたりしたことはありませんか。

 大体そういうときは、その声に覇気がありません。声が届かないのは、発声よりも、その人自身に相手に伝えるための必要な気力が満ちていないことが多いのです。

 声はコントロールするものですから、気力や集中力は、必要です。イメージとしては、声の焦点を絞り、集約させて、相手の方に向けて届けるようにします。相手の目をしっかりと見てください。先方にも受け止める準備をさせるのです。

 オペラ歌手などは、一流のスポーツ選手なみのパワー、反射神経をもち、超能力者さながら、声を気力で出しているといってもよいでしょう。伝えるためには、あなたの思いが必要です。その思いが大きいほど、伝わります。本気で伝えようという思いが、とても大きく影響するのです。

 話そうとするのでなく、伝えようとしてみてください。すると、その人なりに話し方のスタイルというのがでてきます。それを声とともに、よりよい方向へ高めていくのです。

 目的や自分を高める意識のないところで、声だけ伝えようというのでは難しいものです。話すときには、自分も話のプロという意識で取り組みましょう。

 

○相手の心を捉える出だしの一声

 

 あなたの最初の一声で、あなたの印象、場合によっては、能力の大半まで判断されています。人というのは、相手の顔つき、ものごし、服装、声などで、およそ慣れや経験の見当をつけています。あなたの第一声だけで、あなたがどういう人かをほぼイメージとしてつかんでいます。それは好感度や信用、信頼にも関わってきます。それほどに、声の第一印象は大切なものです。

 トータルのイメージは、次のような要素から決まります。それぞれ、自分でチェックしてみてください。できたら、他の人にチェックしてもらうとよいでしょう。

 

自己チェック

他の人のチェック

1.態度、マナー

2.自信

3.声のトーン

4.語り口

○話し始めるまえに

 

 話もまた、出だしのところで決まります。そこで聞く人の態度が形成されるからです。

話し出した直後のイメージがよければ、話はとてもよく伝わります。聞く人は、最初に抱いたイメージをもって聞いていくからです。

 逆に、出だしで一度失った信頼は、取り返しにくいのです。そういう状態でジョークなど言っても、失笑で、場をしらけさせかねません。つまり、一言目でアピールする声の力は、是非とも欲しいところです。

 そのためには、話し始めるまえに、ニッコリと微笑みましょう。ほおをリラックスさせて、一呼吸おいて、おもむろに、落ち着いてゆっくりと切り出すのです。それがよい声を出すコツです。

 

○アイキャッチで視線を合わせる

 

目の焦点を、相手にピタッと合わせましょう。

 相手が複数のときは、もっとも重要な人か、真ん中の人にします。

 

 大人数の前で話すときは、自分とあいそうな人や、よく頷いてくれる人にするとよいでしょう。

 すると早く落ち着き、自分のペースがもてます。視線を定めることで声も出やすく、聞き取りやすくなります。

 多くの人が、自分自身を見ていると思わせるように視線を使います。全員を見なくても、左後ろ、右後ろ、まん前と、三方向に目を配せば、充分です。あなたの手を動かしてみてください。その動きに視線がどのくらいついてくるかで、話にのせることができているかをチェックできます。

 

○服装や持ちものについて

 

慣れない服や靴は、声にも緊張を強います。公の場で話すときも、できるだけ、いつも使っているものにすることです。それが無理なら、日ごろから身につけ、慣らしておきましょう。

ジェスチャーを自然につけてみましょう。手や指の動きはとても目立つので注意して、効果的に使いましょう。

日頃から、呼吸が浅くならないように、ウエストをきつくしめすぎないようにしましょう。

 

○「もう一度話したい」と思わせる声を心掛ける

 

 すべてのビジネスコミュニケーションは、“次”へつなげるためのものです。「あなたともう一度話さなくては」と相手に思わせることが大切ですから、相手に印象よく、記憶に残りやすい話し方をしなくてはなりません。声のテクニックは、抑揚などが重要です。会話の流れを壊さずに、キーワードだけを強調する発声練習をしましょう。ただ、あまりに芝居じみると逆効果ですが・・・。

「“正しい”」 を疑うこと

これまで述べてきたのは、2つの対立項です。

 くせと個性、理解することとできること、頭と体、知識と実践、正誤と程度、浅いと深い、などの違いのことに尽きます。これを前者のだけをやって、「学んだ」、「教わった」、「わかった」と言っている人が多くなったのです。

 

 正しい先生の教える正しい理論や正しいレッスンや、正しいトレーナーの書いた正しい本などは、多分に無益なものです。それは、無害なもので、一見即効性があるようにみえるので、ありがたがられるのですが、無難であっては、無害であっては、本当は大して使えもしないのです。毒であってこそ薬だからです。

 でも、現実はそういうものばかりになっています。

偏ってはいけないからと浅くしていくのと、偏りを恐れず深めるのとは全く違うのです。「正しい」って、そんなに心地よいことでしょうか。

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