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Vol.18

○声質が声の感じを決める

 

 声のなかでも声質は、とても大切です。話の動きの部分、リズム、メリハリ、ノリのまえに、まずこの声質によって、私たちは相手の話を受け入れる気持ちになるかどうかが決まるのです。

 たとえば、怒ったり、ヒステリックになったときの声質では、誰もその人と関わりたくないと思うでしょう。同じ人でも、その声質を変えただけで、受け入れられなくなるのです。

 話のなかで、最後までずっと声での伝達のベースを支配するのは、声質です。途中でかすれたり、上ずったりしては、続けて心地よく聞くことができません。

 声質は、話を聞きやすくするばかりか、聞き終えた後の印象まで左右します。声質を保つためには、ヴォイスコントロールが必要です。

 

●いろんな音色や声色をイメージするトレーニング

 次の楽器の音色を思い浮かべてみましょう。

1.バイオリン  2.ピアノ  3.チェロ  4.シンバル

ついでに、いろんな人の声質を再び、イメージしてみましょう。

 

●声質を変化させる
 高低、緩急、強弱、音質、音量の変化を自分でコントロールしてみましょう。

1.ものまね、模写、口まねをしてみましょう。

2.擬声態語で誇張して感じを出します。

 「グーッとよった」「パクパク食べる」「オロオロする」「ドタバタ走る」「スッキリした」

 つくり声、甘えた鼻声は、品が悪いのでやめましょう。

 

○声質と新鮮さ

 

 聞く人は、話の声に心地よさを求めています。しかし、それが単調に続くと、飽きてきます。

 そのために、話し手は話の伝え方と内容の両面から、新鮮に、かつ、パワーを入れていなくてはいけません。

 気持ちのよいこととインパクトとはどちらを優先させるかは、その人のスタイルによります。両方がその人にとってもっともよいバランスで整うと、とても聞きやすくなります。

つまり、聞く人に聴く努力を強いないような声質が、耳に心地よく入れるのです。

その上で、インパクトとパワー、高いテンションで、話し手に気力があふれていると、さらに、人の心をひきつける声質となります。

 

●声質のチェック

 「キッパリ」「スッキリ」と、大きな声でいってみて、チェックしてください。

□きちんと声の質を保って言い切れている

□言い切るまで、お腹の力で支えている
□そのままお腹で大きく表現できる

□頭部に適切にひびいている

□息の支えも保たれ、息が流れている(かすれていない)

□口先だけの声になっていない

□のどや口でくせをつけていない

 

●信頼は、低い声から生じる

 暗い声と同じで、低い声は、しっかりと使わないとふて腐れているように聞こえます。しかし、あまり強いと、今度は脅しているようになります。これは同時に、魅力的な声でもあります。信用できる、信頼できる声としては、低い声が最大の武器なのです。

 次の声について、チェックしてみましょう。

・暗いだけの声

・暗いけど魅力的な声

・低いだけの声

・低いけど魅力的な声 

○自分の声のおもしろさに気づこう

 

 あなたは自分の声が好きですか。「自分の声が嫌だ」という人がいます。その多くの人に共通する特徴があります。それは、嫌いという人ほど、自分の声をよく聞いていないということです。つまり、たまたま、マイクのスピーカーでカラオケとか、宴会とか、あるいはヴォイスレコーダーや留守番電話などで入れたのを聞いた、その一言、二言の声で判断しているだけのことが多いのです。

 それは自分の声だけでなく、他人の声についてもいい加減に聞いていることにつながっています。他人の声を全身全霊で聞く経験があると、おのずとそれは自分の耳を通じて自分の発声器官に影響してきます。あなたの耳での聞き方が、あなたの発声に大きな影響を与えているのです。あなたは、知らないうちに、自分の好きな人や尊敬する人の語り口になったことはありませんか。

 私はトレーナーですから、それが仕事です。自分の声の出し方を教えるのでなく、あなたの体に乗り移り、あなたの感覚であなたの発声をコピーして、そこで何をどう正すのかを決めて導いていくのです。

 ですから、自分の声をよくしたければ、他人の声をしっかりと聞くようにしてください。そこからおのずと声がよくなる準備が整っていくのです。

 好きな人、尊敬する人と並べて、声がよいと思う人、気持ちが伝わる声だと思う人を、リストにしてみてください。

 

(1)声のチェックリスト

1.自分の声が好き 1 2 3 4 5

2.いつもテープで声を聞く 1 2 3 4 5

3.発声練習をしている 1 2 3 4 5

4.声のかけ方に自信がある 1 2 3 4 5

5.自分のあいさつの声はよいと思う 1 2 3 4 5

6.相手によって、うまく声を使い分けていると思う 1 2 3 4 5

7.状況によって、うまく声を使い分けていると思う 1 2 3 4 5

8.他人の声に敏感である 1 2 3 4 5

9.芸能人の声をよく知っている 1 2 3 4 5

10.ものまねが得意である 1 2 3 4 5

11.自分はよい声だと思う 1 2 3 4 5

12.まわりの人の声に、とても好き嫌いがある 1 2 3 4       

  5

13.声のよくない人は、好きでよい 1 2 3 4 5

14.声には精神的なものが表われると思う 1 2 3 4 5

15.相手の服、顔以上に、声に気がいく 1 2 3 4 5
16
.話より声を聞いている方が好き 1 2 3 4 5

17.昔より声がよくなったと思う 1 2 3 4 5

18.自分は人に好かれる声だと思う 1 2 3 4 5

19.自分の声が好きな人がいると思う 1 2 3 4 5

20.声は、人生への影響力があると思う 1 2 3 4 5

〔診断結果〕合計で100点満点       点

 

(2)声のリスト
・あなたが声がよいと思う人

・好きな人・尊敬する人

・気持ちが伝わる声の人

○声がよい人ほど気づかない弱点

 

 こういう仕事をしていると、とてもよい声をしているのに、なかなか仕事に活かせないとか、人に伝わるように声を使えない人に出会います。もともと声があるのに、今ひとつパッとしない人、さらに声を完璧にしようという人も、そのタイプが多いようです。「声がいいですね」と自他ともに認めるだけの声はあります。しかし、そのことが、その人の声で伝わる能力の妨げになっていることもあります。

 つまり、声のよい歌い手や役者が若くしてそれで評価されるため、そこから伸びないのと同じです。

 ビジネスでも、よい声や大きな声は出る人が、そこで逆に足を引っ張られていることがあります。つまり、声がいいといわれるほどに、声がいいことが目立って、伝わる度合いが少なくなっているのです。問題は、こういう人の大半がそのことに気づいていないことです。とても声がよいのに、伝わり度合いが人並み以下になっているのです。でも、そこに気づくことで、こういう人は声を本当に強力な武器にできます。

 

 これは、下手なオペラ歌手より、生声で一生懸命歌う、アイドルの方が伝わるのと似ています。声のよしあしと、声の伝わる度合いは必ずしも一致しないのです。気持ちがのって話がはずみ、お互いが充実した会話ができなければ、声が伝わることにはならないのです。つまり、声のよしあし、声の大小は、声を出す側の事情にすぎません。どんな声でも、それを知り尽くして、使い切っている人の方が有利なのです。

 

 話は受けとる側との協力で成り立ちます。スピーチがうまいのにパーティでは壁の花、会議では、リーダーシップを発揮するのに、打ち上げの席では、誰にも話しかけられないー というようなことに思いあたる人は気づいてください。

 あなたの声は伝わっていないのです。

 カラオケで感動することが少ないのは、歌う人の一方的な歌唱だからです。アマチュアではうまい人ほど、場から浮きます。プロは聞く人に伝わる、一体感を与え、その時間を満ち足りた場にするのです。さて、あなたの声はそれに充分に耐えているのでしょうか。

 

○相手の声を読み解こう

 

 医者は問診で、舌や睡眠だけでなく、ことばや息呼吸での異常をチェックしています。私もまったく同じことをしています。さらに医者は、健康か病気かの判断ですが、私は相手が健康な声である上で、相手に伝わる声の使い方かどうかをみるわけです。舞台での仕事は、せりふも歌も客に伝わってこそ、芸となるからです。

 聞こえてくる声の中で、発音、滑舌などよりも、気持ちが入っているのか、それは伝わっているのかをチェックします。

 発声として声を出し、ことばを読むのも、その前に伝わる声をもっているのか、伝わるように使えているのかをみる方が必要なのです。

<声のイメージ>

 あたたかい 冷たい 柔らかい 固い 切ない 薄い 熱い ・・・

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3-1.声の話」カテゴリの記事

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