« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月

Vol.21 

○同感、共感の気持ちを声に表そう

 

 話を進めるのでなく、声から気持ちを読み取り、そこに同感するには、どういう声を使えばよいでしょうか。

「あ~」「えー」「うっそー」「ホントー」でしょうか。

 とりあえずは、相手の話の正しい理解は必要ですね。

「Aさんが僕を離さないんだよ」「Aさんが私を離さないのよ」

 これは、Aさんが嫌な連れか、親しみを感じている異性か、などで違います。Aさんと相手(僕)との関係がわかるまで、うかつにことばは出せませんが、声なら「はあ」「そうですか」あたりで、探ることもできますね。

 つまり、英語でなら次の対比です。

 <Accepting>   <Desclaning

 SoundsGood     Sorry

 Great But

 I love to No

 Nice         Bad

 <Positive>    <Negative

 

・驚く「わあ」「えー」「ひゃあー」「うわあ」

・同情する「まあ」「うん」「ええ」

・気持ち悪い「ひえい」「ぎゃー」

 

○疑問と感心の表現

●疑問を表すトレーニング

 「エー」「本当ですか」「そうですか」

 

●感心を表すトレーニング

 「すごい」「さすがー」「疲れたー」「お疲れ様」「感激!」「うれしい!」

 

○「喜び」の活用トレーニング☆

喜怒哀楽の気持ちをさらに声にのせる

 このことばをそのまま読んでもよいし、ひとつのことばを読むときにイメージしてみるのもよいでしょう。

 

この上ない喜び 得がたい喜び 美しい喜び 新鮮な喜び 熱心な喜び

有頂天な喜び ほとばしる喜び 驚きに近いほどの喜び 恐怖がそのまま輝くような喜び

ひくひくするような喜び まぶしいような深い喜び 魚が水に遭ったような喜び

野獣が山に放たれたような喜び 旱魃に慈雨を得た百姓のような喜び

喜びが大きい 喜びが生まれる 喜びが兆す 喜びが湧く 喜びがこみ上げる

喜びがあふれる 喜びが流れ出す 喜びがしみ込む 喜びが伝わる 喜びが輝く

喜びを覚える 喜びを味わう 喜びを感じる 喜びを抱く 喜びを浮かべる

喜びを堪える 喜びを膨らませる 喜びを得る 喜びをそそる 喜びをもてあます 喜びを微笑む

 

○感激ワードの声風味

 

 決して声がよいとはいえなくとも、明石家さんまさんのテクニックは、こののせ方にあります。

 「そうか」(同感)

 「そりゃ、ちがうやろ」(つっこみ、客との同感)

 「ズコーッ」

 オーバーリアクションの連続で、ゲストをのせていくのです。

 話の中から、一つひとつきめ細やかに選び、最大限の反応を返してあげているから、素人の子でもTVなどでしゃべりにくいことさえ、ペラペラと気持ちよく話してしまうのです。

 

○意図を知るためのさぐり声

 

 あいづちの応用です。

 「フーン」「はあ」「そりゃ、ひどいね」「超バ」

 

 私たちがドラマで泣かされるのは、人の死、しかも他人の犠牲によるシーン、そして人の気持ちをとことん、我が身のように思いやるシーンです。かつて、日本の両親は、子供に優しい子、人の気持ちや痛みがわかる子に育てと願っていたのに、この50年、自分さえよければよいという風潮に家庭も学校も社会もなってしまいました。残念なことです。

 

○同じ返答でも声を変える

 

 おうむ返しは、一度や二度ならよいのですが、その先は、それが分からないように、声でうまく演出しなくてはよくないのです。

 相手がのらなければ、こちらでのってみせることです。こちらが明るくすれば、相手も明るくなる。こちらが元気にすれば、相手も元気になるのです。

 

○同じワードを同じ調子で繰り返さない

 

 かつてサッカーのゴン、中山雅史さんは、試合後のインタビューで、ほとんどを「そうですね」で返していました。今はボキャブラリーも豊かになりましたが、単調に続かないように、少しずつ調子を変えてみることです。

 ちなみに、よく使われる「大変ですね」「違いますね」も、「言っていません」「知りません」も、よいイメージではありません。それでも、明るくいうと、かなり違ってきます。

 

●気持ちを伝えるための共感ワードのトレーニング

 「いいなあ」「よかったですね」「おつらいでしょう」「しんどいですね」「困りましたね」

 こういうことばのトレーニングほど、声が変わってくるものはありません。

 

○声での気持ちのやりとり力こそが表現力

 

 表に現す力には、踊りやしぐさ、表情などもあります。しかし、ことばについては、声を使うことになります。あなたの楽しかった思い出は何でしょう。人とワイワイと心地よく、話をしているときではないですか。あっという間に、楽しいおしゃべりの時間は過ぎていきます。

 ことばで伝えたいことは、メール、手紙にもしたためられるし、プレゼントで表すこともできます。

 しかし、手を握ったり、ハグのように、相手の心身と関わり合うのは、会わないと無理です。でも、声は電話やCD-Rやメールの添付でも、使えるようになりました。ことばの中の声(振動)の気なのです。

 

 映画館で、ヒーロー、ヒロインに恋に落ちる人は、ストーリー、ルックスだけでなく、座席の下から伝わる声の振動にも、心が揺すられているのではないでしょうか。男性の低く太い声、女性のハスキーな声にひかれるのも、そういう空気の揺らぎに一因があります。

 

○推量の方が疑問形より伝わる

 

 相づち「~でしょうね」「~ですね」「ほー」「へー」

 答えられるものだけ答えて、失礼と思われるところは流してくださいというメッセージとなります。疑問質問が、強制になってはいけません。心が伝わるには、相手がリラックスでき、フレンドリーに気楽であることが大切です。トイレも「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」とあると、「きれいに使ってください」よりも協力する気になりますね。

 

○気持ちを探る声

 

 絞り込まないことも大切です。遊ばせておく余裕がないと、話はただ進行してしまうだけです。

 「How do you feel~」 あなたは、どう感じたのですか。どんな気持ちですか、どうでしたか。

・主人公として立ててあげること。

・相手のイメージをふくらませて、しゃべらせてあげること。

 婉曲に切り出すとよいのですが、ストレートに切り出せないのは、けっこう難しいですね。

 

●あいづちの共感トレーニング

「それで それで・・」「へえー そうか」

「うん、ためになったなあ」「あんがとー」

 とにかく切り出すのも、一つです。話すことがないのは、自分がないとアピールしているかのようです。

 他人の話で終わらず、自分のを入れましょう。

「はい」で終わらないで、一言、自分のことを加えましょう。

 

●ねぎらい、いたわる心をのせるトレーニング

 「・・だったでしょう」「大変だったでしょう」

 「(あいさつ)+寒くなりましたね(時候の話)+(本編やエピソード)」で一つの形にします。

 

○強調表現で、応答のポイントを知る

 

 メリハリつけのためのプロミネンスのトレーニングをします。それは、自分の気持ちを伝えるには、強調する手法がもっとも有効的だからです。これは同時に、聞く立場での理解をも高めることになります。

 

●プロミネンスのトレーニング

 たとえば、「私のはじめての京都での紅葉狩りです」

 これを「私、はじめての、京都での、紅葉狩り」と分けてみます。この中でどこを強めるかで、どこに一番気持ちが入っているのかが、伝わります。聞く方もそれがわかるから、反応できるのです。

 

 私   ・・・・あなたが?

 はじめて・・・・最初でしたか

 京都  ・・・・京都にですか

 紅葉狩り・・・・紅葉はいいですね

 

 相手が「はじめての・・」と強調しているのに、そこで「今年の紅葉は・・」云々と答えるのは、少しはずれていますね。「うわー、京都すごくよかったでしょう?」の方がのりますね。

 

○ことばは活かすために捨てる

 

 ベテランのアナウンサーは、1回の読みの中で4つくらいのキーワードを強調して、あとは流します。原稿が手もとに来るや否や、もっとも伝えるべきことをピックアップする能力が問われているのです。

 文章すべてを一所懸命読むと、聞く方も、すべて一所懸命聞くことを強いられます。疲れるし、さらにどこが重要かわかりません。外国語ではないのですから、大体筋さえわかれば、把握できるのです。というのなら、キーワードだけ入れれば、情報としては充分なのです。天気予報なら、雨かどうか、気温は何度か、強風や台風など、特別な情報があるのか、くらいで充分です。それを100字くらいでしゃべるのですから、キーワード以外は、流してよいのです。

「正誤で考えない」

 私はできるだけ、「これが正しい」、「これは間違い」というようなことを押しつけないようにしています。それは、過去の体験をもとにした決めつけになりかねないからです。

 先生やトレーナーのなかには相手を自分のようになるように教えているだけでよいと思っている人が案外と多いものです。それでは世の中の人を出すことはかないません。

なぜなら「自分はすぐれていて自分だけが正しい」と思っているからです。自分が正しいと本人が思うのは自由です。正しくないと思って、やっている人はいないでしょう。だからこそ、本当に正しいのかをいつも疑うことです。

しかし、トレーナーは相手にとってどうかなのですから、全ての人において、その人の考えや、やり方が正しいという方がおかしいのではないでしょうか。

 「自分が正しい」という人が2人いて、やり方や目的、価値観が違うとします。すると一方が正しく、一方が間違っているのでしょうか。どちらも間違いということになるのではないでしょうか。いつも、そのあいまいさを少しでもつきつめ改良していく努力をつづけていくことです。

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

ブレスヴォイストレーニング研究所ホームページ

ブレスヴォイストレーニング研究所 レッスン受講資料請求

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

発声と音声表現のQ&A

ヴォイトレレッスンの日々

2.ヴォイトレの論点