Vol.31
○温かい気持ちで応対する声
●基本トレーニング
1.「はい、どうぞ」
2.「ようこそいらっしゃいました」
3.「こんにちは」
4.「いらっしゃいませ」
5.「かしこまりました」
●チェックポイント
A.姿勢、体 呼吸、フレーズ
たき火にあたっているようなイメージで体をあたためます。
B.顔の表情
目一杯ほほえんでください。
C.発声、高低、強弱、トーン
一呼吸おいて、うれしさをかみしめていってみます。やや低めの声で。
D.発音
少しこもってもかまいません。口の中を広く使いましょう。
E.声の表現法
ゆるやかに、ゆっくりと、あわてずに。
○温かい声とはどういう声か
温かい声、ホットな声は、ラジオのパーソナリティの声が手本ですね。テレビのアナウンサーやレポーターと違って、マンツーマンのメディア、ホットなメディアとしてのラジオは、聞く人をあなただけに想定してオンエアされています。いわば、みのもんた式、声の使い方ですね。
現代人が、温かい気持ちになれるときは、いつでしょうか。
皮肉なことですが、悲しい出来事を皆で共有したときなどではないでしょうか。戦争、テロ、大震災などで打ちのめされたとき、人間のとても大切なものがあふれ出てきます。倒産、闘病などでも、そうかもしれません。もっとも、人間らしい心を持つのは、死刑囚という人もいました。
あなたはどうでしょう。人の施しに感謝したとき、反抗していた親が年老いて弱ってきたとき、赤ちゃんや小さな子供と接するとき、人というのは、温かい気持ちになります。温かく人に応対できる声は、本当は、とても苦労してきた人でなくては、なかなか出せません。こればかりは、ノウハウでありません。せめて、そういう気持ちで、他人にも接しようとしたときに発されるものでしょう。
○声の感じをやわらかくしよう
その人の声の感じが“決め手”となります。話は、その動きの部分、リズム、メリハリ、ノリのまえに、声質によって、相手の話を受け入れるかどうか、決まるといっても過言ではありません。怒ったり、ヒステリックな声は、誰も聞きたいとは思わないでしょう。とても仲のよい人でも、声質が少し変わっただけで、ずいぶんと感じが変わることがあります。
このように、ずっと伝達のベースを支配するのは、声質です。よい声質は、話を聞きやすくし、やわらかな声は、聞く人の気持ちを穏やかにし、聞き終えた後の印象をよくします。
○声質の印象の違い
声質は、ちょっと変えて出すだけでも、かなり相手の受ける印象は違ってきます。
いつも、次のことに気をつけましょう。
1.語尾を丁寧に切る。
2.同じ声質をキープした声で話す。
3.声の高さを上げすぎない。
4.メリハリ、強弱をほどよくつける。
5.感情的なときほど低くゆっくりと抑える。
○自分の声が嫌だと思わないように
声質は、一人ひとり違うものですが、ある程度は先天的に決まっています。中には、自分の声が気に入らない、声を取り替えたい、という人もいるでしょう。でも、誰の声にも、その人なりの個性のよさがあるものです。それを見つけ、自分の声をより生かす方向で伸ばしていきましょう。
声は、その使い方で随分と印象が変わります。大切なのは、声そのものでなく、声を使った結果、相手に与える印象の方だということを忘れないでください。自分の声が嫌いであっても、周りの人はその声を聞いているのです。
まずあなた自身が、自分の声を好きになることが先決です。そして、自分のベストの声をつかみましょう。自分のベストの声とは、調子がよいときだけでなく、大事なときにいつも気にしなくてよい声です。自分にぴったりと合った、自然な声といえましょう。
○声とことばの響きをよくする
ここでは、声の感じをよくするための準備をします。
発声に関係する筋肉が硬直していては、声はうまく響きません。顔も同じです。日頃から大きく表情を動かしておきましょう。表情の豊かなことが、声の表現力を高めます。
○音声のイメージからやわらかくする
高低、緩急、強弱、声質、音量のイメージを自分で工夫してコントロールしましょう。
1.ものまね、模写、声色のまねをしてみる。
2.擬声態語を使う。これは、誇張して感じを出すとよいでしょう。 「グーッとよった」など。
3.わざとつくり声、甘えた鼻声にしてみる。
●硬い声をやわらかくするトレーニング
硬い声に聞こえる人、ゆっくりと「アー」と伸ばしたとき、「アッ」と硬い音が入る人は、声門を急な息がこじあけているのです。
1.「マメミムメモマモ」
2.「マメミモムミメモムマ」
●感情を入れて言うトレーニング
感情を込めて言ってみましょう。
1.「とても、うれしかったです。」
2.「でも、勇気づけられました。」
3.「とてもおいしいですね。」
4.「あのときは楽しかったです。」
●応用例文トレーニング
1.「承知いたしました」
2.「どうぞおかまいなく」
3.「ようこそおいでくださいました」
4.「お待ちしておりました」
5.「~いたしかねます」(わかりかねます)
6.「恐縮です」
7.「もったいないおことばです」
8.「皆さまのお力添えのおかげです」
9.「とんでもないことです」
○応対のことばのトレーニング
1.お待たせしまして本当に申し訳ございません
2.さしつかえなければ、私が承りますが・・・
恐れ入ります。ちょっと席をはずさせていただきます
お話中のところ、失礼ですが
なんのおかまいもできませんが
すっかりお引き止めしてしまって
お時間をさいていただいて恐縮です
本日は貴重な時間をありがとうございました
聞いていただいただけでも光栄です
○いたわるトレーニング
1.お疲れになりましたでしょう。
2.くれぐれもお大事になさってください。
3.とんだ災難でしたね。
4.ご心痛のほどお察しいたします。
5.お気になさらずに
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