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Vol.35 

○謝罪、心からの謝意を伝える声

 

基本トレーニング

1.「申し訳ございません」

2.「すみませんでした」

3.「失礼しました」

4.「大変失礼いたしました」

5.「心よりお詫びを申し上げます」

 

□チェックポイント

A.姿勢、体 呼吸、フレーズ

  少し背を丸めて立ち、首をうなだれます。

B.顔の表情

  申し訳なさそうな気持ちで、力を抜きます。

C.発声、高低、強弱、トーン

  低めに入り、トーンを落とします。語気や響きは抑えます。

D.発音

  あまりはっきりと発音、発声しない方がよいこともあります。口ごもるものです。

E.声の表現法

  相手が話したらすぐに引けるように、ワンテンポ遅れて切り出す間をとるとよいでしょう。

 

○謝る声

 

 低姿勢ということば通り、やや姿勢を低くして、頭を下げて出しましょう。相手よりも低い声で、沈みがちに言います。ただし、相手やケースによっては、はっきりとした声で、明確に自分の誤りを認めることも必要でしょう。

 

○謝罪するときの話し方

 

 謝罪は、内容とことばも大切ですが、声にどれくらい「申し訳ない」という態度が表われているかです。

 謝意をもった姿勢や表情がそれを伝える声を導きます。平身低頭、声はややこもり、低く落ち着いたトーンとなるでしょう。テンポはゆっくりめに、早口は禁物です。ことばで伝えようと思わず、声のトーンで誠意を示そうとしましょう。

 少しでも傲慢さや口先だけのことばのようなニュアンスが出ていると、決して相手に納得してもらうことはできないのです。ただ謝ることよりも、今後に向けての対応などが問われていることも少なくありません。

 電話などで頭を下げて謝っている人がいます。一見、意味がなさそうですが、声はその感じで変化し、その気持ちは伝わるものです。ふんぞり返っていては、誠意のない、その場にそぐわない声になるでしょう。態度や姿勢は、そのまま声に表われます。

 クレームや謝罪はピンチですが、クリアできれば信頼回復となります。声には最大の注意を払うようにしましょう。

 

○クレームに対応する声

 

 クレームへの対応や謝罪については、声のトーンは落とし、低めでゆっくりとていねいに声を使わなければなりません。間違っても、テンションの高い、カン高くて大きな声は使いません。また硬く、事務的に対応したのでは、相手の反感を買いかねません。

 しかし、クレームの対応は、謝罪とは違います。きちんと相手の言い分を受け止めて、どのように解決するのかを考えます。何もかも謝る必要はありません。相手に非がある場合も少なからずあるからです。

 まず、相手の言い分をしっかりと受け止めるために、相づちを打ち、先方が言いたいことを、できる限り聞いてしまうことです。

 途中で反論はしません。その場で結論を出すのではなく、改めてかけ直すほうが有効なときもあります。相手が感情的になっているときには、こちらの言い分を聞いてもらえないことも多いからです。

 まずは、相手のペースに臨機応変に対応することが大切です。しかし、つられて早口にならないように気をつけることです。怒りにまかせてまくしたてるような人には、ソフトにゆっくりと対応しないと、さらにそのテンションを上げてしまいます。おろおろせず、毅然とした態度を保ちつつも、声は心地よく感じさせられるようにしましょう。

 

○はっきりと言い切りすぎない

 

 言い分をしっかりとさせようとするあまり、はっきりと言いすぎると、力が入ることになります。これは、余計な緊張を相手にも強いてしまいます。

 口とあごの動かしすぎも注意しましょう。一語一語はよく聞こえるのに、感情の伝わらないしゃべり方になってしまいます。まずは緊張をほぐしましょう。

 

○甘えた声、鼻にかかる声、舌ったらずの声にしない

 

 どちらのケースも、甘えた声は禁物です。すぐに鼻にかかってしまう人は、「アン、ヤン、ナア、ネエ、ウウン」を鼻にかけないように意識して言ってください。鼻にかからずに発音するコツは、もっと鼻に抜くことなのです。肝心の鼻がつまっていては、無理ですが。

 鼻づまりは、m、nが、b、dになります。たとえば、「ママ」が「パパ」、「ナニ」が「ダヂ」に聞こえます。

 あまりに鼻にかかりすぎてことばがはっきりしないときには、蓄膿症やアデノイドなど、鼻の病気の可能性もあります。耳鼻咽喉科に行ってください。

 甘い声、鼻にかけた声は、舌たらずでラ行がうまく言えません。これは眠いとき、寝起きの声などで、場合によっては色気のある声ともいわれます。しかし強さ、高さがなく、一本調子になりがちです。

 舌たらずの人は、舌の運動をしましょう。サがヒャやタにならないように。セがシェになる人は、スェにしてみましょう。

 

○クレームの電話に対応するには

 

 クレームの電話は、相手の顔が見えません。次のようなことを踏まえて、より声の使い方に気をつける必要があります。

・相手の怒りを鎮めるために、まず「申し訳ございません」などのお詫びのことばを入れる。

・「でも」「そう言われましても」といった否定的な表現で相手の話の腰を折らない。

・きちんと相づちを打ちながら話を聞き、クレーム内容をつかもうとしていることをわからせる。

・こちらに非があるときには言い訳をせずにお詫びをする。

・自分の手に負えないと判断したら上司や担当者に取り次ぐ(自分一人の判断で対応しないのも大切なことです)。

・すぐに答えられそうもないときは、いったん電話を切り、対応策を練る。

・取り次ぐときは内容を正確に伝え、相手に二度手間がかからないように処理する。

 

□口とあごのトレーニング

1.口を閉じたまま、下あごを左右に動かす

2.口を開いて下あごを左右に動かす

3.下あごを大きく下げて、もどす

4.下あごをすばやく下げて、もどす

 

□鼻声を明瞭にするトレーニング

 次の音をはっきりと発音してみましょう。

1.「ガヤダガヤダ」

2.「ラレリロル」

3.「カケキコク」

4.「ガゲギゴグ」

5.「ダテヂドヅ」

 

応用例文トレーニング

<電話応対のケース>

1.「申し訳ございません。あいにく××は、ただ今他の電話に出ております。……」

2.「××はただ今席をはずしております」

3.「申し訳ございません。あいにく××は休ませていただいております」

4.「××はただ今、外出しております」

5.「私でよろしければ、代わりにご用件を承りますが」

6.「××は外出中で、夕方には戻るかと存じます。いかがいたしましょうか」

 

<謝るトレーニング>

お詫び申し上げます。謹んでお詫び申し上げます。

申し訳ない次第です。申し訳なく思っております。

平にご容赦ください。

肝に銘じております。

お詫びの言葉もありません。お詫びの申し上げようもありません。

ご迷惑をお掛けしました。

ご心配をお掛けしました。

ご面倒をおかけしました。

弁解の余地もございません。

ひと言もありません。返す言葉もありません。

うかつにも、私の不徳の致すところです。

今後はこのような不手際のないよう

やむなく○○に至った次第です

考えが及びませんでした

ご指摘のとおりです

こちらの手違いでした

二度とないよう十分に気をつけます

恐縮の至りです

至らないところが多くて、恥じ入っております

お役に立てなくて、面目ない次第です

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3-1.声の話」カテゴリの記事

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