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Vol.36、37

○意欲をみせる声、リーダーシップをとる声

 

基本トレーニング

1.「お任せください」

2.「私が責任を持ちます」

3.「こちらをご覧ください」

4.「いかがでしょうか」

5.「これでお願いいたします」

 

□チェックポイント

A.姿勢、体 呼吸、フレーズ

 大きく深呼吸して、全身で演じるつもりで

B.顔の表情

 きっぱりと強気になる

C.発声、高低、強弱、トーン

 やや大きめに鋭く

D.発音

 はっきりと言い切る 特に語尾を気をつけましょう

E.声の表現法

 大きく信頼感を増すように

 

○声に張りをもたせる

 

 声のトーン一つで、話の説得力は大きく変わります。

 どんなによいことを言っても、相手に聞こえなければ伝わりませんから、その状況に応じた最低限の声量は、必要です。しかし、声が伝わっても、心地よく感じられるとは限りません。そこには、トーン、声の調子、高さ、やわらかさなどが関係してきます。メリハリとテンポ、スピード感といった変化も大切です。

 いつも声に張りがなく、ことばが不明瞭なのに、人前で話すときだけよくなるということはありません。しっかりと声のトレーニングを続けてください。トレーニングをきっかけに声を意識することで、普段の話し声もよくなります。

 いつもハキハキしていて、きれいにことばを発するように心がけましょう。

 声に張りがあるというのは、きちんと意味を伝えられる生きたことばで、そこにメリハリがしっかりとついて聞こえるということです。ことばのトレーニング、感情を入れて、せりふを読み、はっきりと伝わる声を身につけてください。

またことばが明瞭に聞こえているかどうか、しっかりとそのことばの意味が伝えられているかを意識しましょう。

 

○声が細くても大丈夫

 

 あなたの声が他の人に聴き取れないほどの弱々しい声で、日常的な会話に不自由するくらいならば、異常があるということも考えられます。一度、医師に相談してみた方が安心でしょう。

 でも、思い通りにすぐに声が出ないという程度であれば、その必要はありません。

 声は個人差の大きいものです。声量や声質は誰一人として同じ人はいません。気分や体調にも、状況や相手にも大きく左右されます。

 とはいえ、一般的に声が太いと力強く、声が細いとどうしても弱々しく聴こえるものです。

 声が細い人は、それが自分の声が本来もっている特色、個性ですから、無理に太くしようとせず、声の使い方に磨きをかけるつもりでトレーニングをしましょう。細くてもよく通り、張りのある声であれば、充分にどこでも通用するものです。

 逆にいくら太い声で声量があっても、ただことばを発しているだけでは、誰も耳を傾けてくれません。

 

○のどへの負担をかけない

 

 のどをつぶして個性的な声になったと言っている人がいます。これは例外と考えてください。取り返しのつかないことになりかねませんので、決してやらないようにしてください。

 のどがつぶれるとは、声帯がうまく合わさらなくなることです。また、潤滑油となる粘液が出ない状態もあります。症状としては、息もれ、高音が出ない、しゃがれ声、やわらかに響かない声として表われます。

 つぶれていないのに、つぶしたような声に聞こえるのは、のどに力を入れて無理な使い方をしているからです。威張っている人などが使いたがる声ですが、のどには悪いのです。

 実際に、声帯を振動させる原動力となる息を送り出し、コントロールしているのはお腹です。その発声がうまくいかないと、のどの負担が大きくなります。いつも声帯ではなく、お腹から声を出す感覚で発声しましょう。

 

□体から声を出すトレーニング

1.「エンヤーコラ、ドッコイショ」

2.「ヤーレンソーラン」

3.「ハイナ、サア」

4.「ヨイトナーノヨイトサア」

 

□しっかりした返事のトレーニング

 小さな声から少しずつ大きな声にしていきます。

1.「ハイ ハイ ハイ ハイ ハイ」

2.「ハイ ハアイ ハアアイ」

3.「ハイ行くよ、ハイオーケー、ハイわかりました」

 

□声を充分に生かすトレーニング

 体を動かしながら、威勢よくリズミカルな声を思い切り前に出してください。

1.「ルルルル、ルールー、ルーー」

2.「メーン、ドォー、コテッ」

3.「ファイト、エイエイオー、ガンバッ」

 

応用例文トレーニング

1.「ぜひ、私にお任せください」

2.「最後まで、私が責任を持ちますので、ご安心ください」

3.「こちらをご覧ください。ご説明いたします」

4.「こちらが新商品です。いかがでしょうか」

5.「これでお願いいたします」

6.「こちらをお求めになってはいかがでしょうか」

7.「こちらが最新の製品です」

8.「お値段は少々高くなりますが、高品質です」

9.「申し訳ありません。明日でしたらご用意できますが、お待ちいただけますでしょうか」

 

○意欲 リーダーシップの伝わる声のトレーニング

 

1.精一杯がんばらせていただきます。

2.できるだけやってみます。

3.私でよければ喜んで

4.ありがたいお話です。願ってもみないお話です。

5.大変けっこうなお話をありがとうございます。

 

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○依頼、お願いをする声

 

基本トレーニング

1.「これを、お願いします」

2.「どのようにいたしましょうか」

3.「よろしいでしょうか」

4.「ご一緒していただけませんか」

5.「その日はあいにく予定が入っております」

 

□チェックポイント

A.姿勢、体 呼吸、フレーズ

 やや遠慮がちのポーズで

B.顔の表情

 お願いを聞いてもらおうという真剣な表情で

C.発声、高低、強弱、トーン

 弱めに、低い声で

D.発音

 明瞭にやわらかく

E.声の表現法

 頭をさげているつもりで

 

○声を豊かに使い分ける

 

 お願いごとには、小さくとも声をしっかりと使うのがポイントです。そのためには、逆に、できるだけ大きな声でトレーニングした方がよいのです。次にやや小さな声で、ていねいにコントロールする。そして、少しずつ、小さくしていくのです。

 声が大きすぎるのは、相手を心理的に威圧しやすいからということもありますが、耳が遠いとか、よく聞こえない人もそうなります。地下鉄や雑踏の中、あるいはお酒を飲んだときなどは、あなたの声も大きくなっているはずです。

 声が小さすぎるのにも、心理的なものと機能的な障害原因のものがあります。これは医者やカウンセラーの専門領域です。気持ちを大きくもち、声をうまく使い分けられるようにしていきます。あまりはっきりさせず、やわらかく鼻にひびくような声質の声がよいでしょう。

 

○声量で伝わるというのは、勘違い

 

 声量がある人を見ると、誰しも「声量さえあれば…」と思うようです。日頃から大きな声を出している人は、声量が豊かであることは確かです。しかし、それがそのまま生かされないところが声の難しさなのです。

 つまり、人が声を聴いてパワーを感じるのは、声の大きさそのものではなく、受け手の感覚によるものです。声量そのものよりも、声の出方の鋭さや声質、声の変化と考えてください。

 たとえば、声量が6080の幅でしか変化しない人より、2070の広い幅で使い分けている人の方が声はインパクトをもって聞こえるのです。この場合、前者の80の声よりも、後者の70の声の方がずっと大きく聞こえます。

 人間の感覚はものごとを相対的な変化でとらえます。最初は大音量にびっくりしても、慣れてくると、そのうち飽きてきます。目一杯大きいと、一本調子になるからです。しまいにはうるさくなって拒絶反応が起きます。

 それに対し、小さい音量から徐々に大きくなっていくと感情が盛り上げられ、高揚します。

 ですから声を大きく出そうとするなら、とても小さいところから使ってください。しっかりとコントロールできていて、乱れない声が出せるようになれば、それだけでもずいぶんと伝わり方が変わるものです。こういう声の効果的な出し方を、考えてみてください。

 

○声そのものより、状況のセッティングを

 

 よく幼稚園や学校の先生などから、生徒の騒いでいる声に負けない大きな声を出せるようになりたい、という要望があります。しかし、これは無理な話です。「声には声を」ではありませんが、先生が声をあげると、もっと生徒の声があがります。大人数には勝てません。仮に声で勝ったとしても、聞いてはくれません。

 つまり、声で争うのは、自分の声を聞かせる状況づくりに失敗しているのです。あなたの声を、静かに耳をそばだたせて聞く状況にすれば、本当に小さな声でも50人くらいには聞こえます。昔の先生は、木のものさしで机をバシッと叩き、おもむろに話し出しましたね。落語などでも扇子をバチンとやるでしょう。大声は、出した時点で負けなのです。

 

□声の響きを確かめるトレーニング

1.「んアーんエーんイーんオーんウー」

2.「んガーんグーんギーんゴーんグー」

3.「ナーネーニーノーヌー」

4.「マーメーミーモームー」

5.「んーアーん、んーエーん、んーイーん、んーオーん、んーウーん」

 

応用例文トレーニング

<電話応対のケース>

1.「いえ、私のほうから改めてお電話いたします。」

2.「恐れ入りますが、ご伝言をお願いいたします。」

3.「××課長いらっしゃいますか。」

4.「戻りましたら折り返しお電話するように申しましょうか。」

5.「こちらからお電話差し上げましょうか。」

6.「お戻りになりましたら、お電話くださいますようお伝えください。」

7.「××社の××です。ではお願いいたします。」

8.「電話番号は×××です。よろしくお願いいたします。」

 

○お願いを聞いてもらう依頼・同意・質問のトレーニング

 

依頼のとき

1.ご検討いただけませんか。

2.・・・・願えませんでしょうか。

3.まことに勝手なお願いですが。

4.ご配慮いただけないでしょうか。

5.ひとつお骨折りお願いいたします。

6.お力添えいただけますか。

7.ぶしつけなお願いで恐縮ですが、

8.折り入ってお願いしたいことがあるのですが、

9.よろしいでしょうか

10.おわかりいただけるかと思いますが

11.少しでもよい方向に進めたいと思っております

 

~いただければ幸いです

~いただけると助かります

~のほどお願い申し上げます

~ということでお願いできますでしょうか

~いただくことは可能でしょうか

ご一考いただければと存じます

 

一度ご相談させていただきたく

お差し支えなければ

お手数ですが

恐れ入りますが

重ね重ね恐縮ですが

お手数を掛けます

お手透きのときでかまいませんので

お時間をいただけないでしょうか

ご理解のほどお願い申し上げます

 

お含み置きください

折り入って

平に

こんなことをお願いするのは心苦しいのですが

~に免じて

不躾なお願いで

 

ていねいに頼む言い回し

1.お手すきの折にでも・・・

2.ご猶予いただくわけには、参りませんでしょうか。

3.ご一読いただければ幸いです。

4.切にお願い申し上げます。

5.よろしくお取りなし、お願いいたします。

6.ご善処いただきたく、お願い申し上げます。

7.ご一考いただければ幸いです。

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