「“伝承”から“伝統”へ」 No.283
継承されていくもの、革新されていくものと滅びていくもの、これは、どんな世界でも同じです。人々の求めているものは変わっていきます。そして、一方で変わらないものもあります。その両方に対応していくのが、芸の本質です。時代を変えていく表現と、いつの世も変わらない基礎というものに支えられてこそ、存続できるのです。歌舞伎や落語が今に活きるところに学ぶことはたくさんあると思います。ウルトラマンは能面、「進撃の巨人」の原人の動きは人形浄瑠璃の3人の人形使いを踏まえたそうです。
長く続くこと、多くの人が関わることが価値のすべてとは思いません。早逝したゆえに伝説になったアーティストもたくさんいます。しかし、トレーニングとなると、トレーナーの立場ではどうしても長く安定した実力をつけることを望んでしまいます。付け焼刃や表面的なレッスンなどは言外ですが、この分野では、そこの需要ばかりです。かといって本人の爆発力を抑えるようなことはやりたくないのですが、「トレーナーのレッスン」ではタブーになるので、本人の情熱を失わせないように気をつけるしかありません。そうしてみると、自由に行えるこの場がいかに大切かということがよくわかります。
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