「レッスンでの対応」 No.289
インフォームド・コンセントのせいでもないでしょうが、何でも詳しく説明されることを求める人が多くなったように思います。褒められることが好きな人も多くなったのも、今の日本の特徴かもしれません。
その流れで、何でも何とか褒めるものを見い出せる人が好まれるようになりました。そのストーリーや背景が好きなのだと思います。そして、誰でも好かれたいからそういうふうになっていく。私の知人にも、褒める技術を教えてコンサルタントになった人がいます。それは、褒めることも叱ることもできなくなった日本の今の大人の現状を表しています。
私もトレーナーも、ここ何年かだけをみても、話が多くなったと思うのです。
レッスンも、私たちからすると声の応用ですから、求められることに対応するのは当然です。仕事として応じていると、そうなっているということは、いらっしゃる人がそれを求めていることだとわかるのです。
○応用と基礎
仕事での応用は、基礎のものと距離をおくことが大切です。現場ですぐに教えることは基礎にならないからです。すべては、基礎となるトレーニングで決まってくるのです。
ときに、その距離をなくすと、もっと多くの人が楽しめると思いつつも、悩むのです。私も大学などで教えるときは、先方の要求を踏まえます。学生よりは呼んでくださる方の求めで、一つ高い目標で行うわけです。その人たちには理想があり、その人の望むままに受けるようなことには、しません。
○実践より始める
説明されているうちは、本筋の周りをまわっているだけで決して近づいてはいないのです。耳年増になるのも一つのステップですが、ピアニストがピアノに触らずに上達することはありえません。
メンタルやイメージでのトレーニングなどでも、やらないよりもやる方がよいのです。
ただ、そういうレベルを求めるのでなく、最高の環境(=レベル)を考えて、どこまでそれと同じこと、それ以上のことを声を出すことそのものに課せるかの方が大切なのです。
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