「自戒」 No.290
私は、レッスンの場は、神聖な場だと思っています。何も聖人が集うところでないし、生身の人間に使って欲しいから、どんな人であれ、真摯に臨みたい人であれば、受け入れています。レッスン以外の場での、その人について、どうこういうことは一切ありません。どこの誰で、何をしている、何をしてきた、どうでもよいことだと思っています。
声は正直ですから、その人の生き方、処し方、考え方、全てがそこに現れてきます。純粋に場に臨めば、場もあなたも浄化されます。人の心に届く声となります。
そこで我欲や私情に捉われ、歌や声を裏切るような心を抱くことになれば、汚染されてしまいます。それは風邪などのウイルスよりも、もっと恐ろしいことです。
感性をとぎすましている人には、みえないものもみえてきます。世の中にその作用がおよび、夢が実現していきます。しかし、心の迷うようなこと、邪心、秘め事、ずるいこと、悪事をもちこむと、世の中でも、行きづまってしまいます。
よくも悪くもそういうことは、私でさえ瞬時にわかる、そういう気を発しているからです。私よりも鋭い人は、もっとあなたのことをわかってしまっているのです。
いつ知れず、自分の力ですべてができていると慢心し、その人の本当のよさがなくなるのをみることもあります。それはさみしいものです。長い人生ですから、そういうときも度々あると思うことにもしています。
初心あるいは自分の素直な心のときを忘れずに、常に自戒をするように願っています。何事も、信用、信頼の上にものごとは、成就していくものだからです。
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