Vol.45
〇生まれたときからヴォイトレ!
今、あなたが○○歳だとします。すると、「ヴォイトレはしたことがない」「ヴォイトレは初めて読む」「これから始めたい」というあなたでも、すでにほぼ○○年のヴォイトレ歴を持っているのです。ここでのヴォイトレの定義は、人に教えられるのではなくとも、自分の耳で判断し、自分の発声器官を調整して発声してきたキャリアです。どの人間も成長とともに経ている音声言語の獲得のプロセスこそが、基本としてのヴォイトレに他ならないのです。
そうでなければ、18歳でヴォイトレを受けずに、歌手や役者になれる人はいないでしょう。あなたは、学校に入る前に、日本語を(たぶん、今もっている英語力よりも高度に)ペラペラとしゃべれたでしょう。発声も同じことです。
母親から生まれるときに羊水を吐き出し、肺に空気を入れてふくらまし、オギャーと産声をあげます。魚からほ乳類になった瞬間です。個体発生と系統発生でみると、声変わりが10代と、とても遅いことからも、先述した現代人にとって、のど自体が未完成というのは、説得力を持ちます。むしろ、現代人の声を聞いていると、完成されないまま、退化しつつあるのかと私は恐れていますが・・。
○最初の発声
赤ん坊は、最初は、おっぱいを吸うために、唇の力が強い(口唇期)ので、mama、manmaなど、両唇音で鼻音のmが出ます。
マンマ、ママは、世界中でおよそ“食べ物”や“おかあさん”のことです。Paというのは、少し呼気が強くいるので、そのあとです。Mama より Papa と先にいう子はいません。頭がたたず、のど(喉頭)があがっているので、「イ」もいえません。喉頭の位置がおち、声道の直角によって構成されるフォルマント比で、5つの母音が出せるようになってきます。
その代わり、赤ちゃんのときは、犬猫馬と同じで、鼻から気道、口から肺へ、つまり、息つぎなしで、おっぱいを吸えます。のどが落ち、声道や舌の稼働範囲が広くなって、母音のフォルマントが形成されます。それとともに、口、鼻と気道、食道が交差する空間ができるので、喉口蓋がうまく動かないと、誤嚥が起き、むせます。これは人間だけです。山城新吾さんは、誤嚥性の肺炎で亡くなられましたね。
○毎日のレッスン
英語は、発音が難しいと、あなたもきっと似たような経験を、英語を習ったときにしませんでしたか。
「アとエの間のae(アエ)で出すんだ」などと言われて、耳をすまし、口で形をつくって、その音を真似て発したでしょう。いわゆる発音練習です。耳で聴いて、声を調整するということで、ヴォイストレーニングを体験したわけです。もちろん、英語の勉強で初めて経験したわけではありません。
あなたは、日本語を読むことができます。しかし、誰も生まれてすぐに日本語の読み書きや会話はできません。日本語も生まれたあとに、両親をはじめ、まわりの人に何度となく教えてもらってきたのです。
母語は、生後3、4年で、かなりのことを話せるようになります。英語のレッスンも、ずっと早くレッスンしていたら使いこなせるようになっていたのです。
もう記憶にないでしょうが、毎日がことばの勉強、日本語のヴォイストレーニングだったのです。くり返し、日本語の音声体系を耳で聞いて、ことばで発して覚えていたのです。
○母音と子音
単音のうち、ア、イ、ウ、エ、オが母音です。
母音は、声帯から、声が、共鳴器官を通って鼻や口から外へ出るまでに、舌や唇などの器官で操作されずに、発されたものです。
母音以外の単音を子音とよびます。子音は、鼻や口から音が出るまでに、歯や唇、口蓋などで、操作をされて発せられたものです。
○半母音
半母音とは、キャ[kja]など、ヤ行音の[j]、ワ行音の[w]で、子音と母音の間にはさまって拗音をつくることから、母音と子音の中間的な性格の音といえます。(半子音ともいう)
それぞれの音を発音し、調音点を確かめましょう。調音の表をみながらやりましょう。
○音声学を学ぼう
音声学は、音の使い方での調音(構音)は、声をことばにする知識です。うまく発音にならないときに、その音のつくり方を知ると、効率的に矯正できるからです。その人のどこがよくなくて、それはどうすればよくなるのかがわかるからです。
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