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Vol.49

〇方言と共通語

 

 

 

 私は転校が多かったので、そのごとに、その地方のことばを覚えました。いわゆる方言です。

 

 もし、あなたが地方にいて、いつか東京や大阪に出るとしたら、ことばにギャップを感じ、音声を学び出すかもしれませんね。海外の国に行くときも、その国のことばを少しくらいは学ぶでしょう。

 

 地方によっては、使う言葉が共通語と大きく違うために、共通語の音声教育をするところもあります。「さしすせそ」などが苦手な地方もあります。

 

 ただ、TVのおかげで、今の子供は全国どこで育っても、東京や関西のしゃべり方は、番組から学んでいます。東北の出身で、ズーズー弁になるようなのは、意識的に直しています。

 

 これはヴォイストレーニングというより、発音、アクセント、イントネーションの矯正です。

 

 逆に、日本語以外の言語をネイティブとしている外国人の日本語が、どこかおかしいのは日本人なら誰でもわかるでしょう。あれだけ優秀で日本語もマスターしている外国人が、日本人の日本語と同じに聞こえないのは、先に述べた言語学習の年齢制限(臨界期※)にも関係しているのです。つまり、脳の配線が違うのです。

 

 人によって、たとえばサ行やダ行がうまく言えない人もいます。しかし、苦手な音があってもだいたい、一つの言語がしっかりしていたら通じるように直せます。

 

 

 

○アナウンサーの「共通語」は、生活のことばではない

 

 

 

1.一般・・・ 方言、下町ことば、関西弁、博多弁など

 

2.アナウンサー・・・ 標準語、高低アクセント、イントネーション

 

3.役者・・・ せりふ、言い回し、演技 (胸声中心)

 

4.歌手・・・ ハイトーン、ファルセット、ビブラート、ロングトーン

 

 

 

○音節(拍、モーラ)と単音

 

 

 

 たとえば、日本語を「ニホンゴ」とひらがなで書くと、「ニ」、「ホ」、「ン」、「ゴ」という四つの文字ですが、そのニやホが一つの単位のように思えませんか。

 

 数えてみると、ニホンゴで4つ、同じ長さで4つの音が並んでいますから、これを4音節と数えます。

 

 それでは、「汽車ぽっぽ」は、キシャポッポ、これは6つの文字ですが、読むとキシャ、ポッ、ポで、4音節ですね。これは、4拍という方がわかりやすいかもしれません。

 

 ローマ字で表わしてみると、ニホンゴは、Ni Ho N Go、汽車ぽっぽはKi sha po ppo ? となります。

 

 ここで、kstnhmyrwと母音aiueoを単音といいます。

 

 これが、日本語の最小単位です。

 

 

 

 直音というのは一つの文字を一拍で数える音です。 しかし、小さいャ、ュ、ョがつくと、キャと二つの文字を使いながら、一つの発音(一拍)です。

 

 これは3つあります。「ン」、「ツ」、「ー」は、それぞれ撥音(ン)、促音(ッ)、引く音(ー)という特殊拍です。

 

 外国語では、これを一拍とはしません。たとえば、ホンで二拍になる日本語に対して、HONで一拍です。

 

 しかし、日本語のグー・チョキ・パーの遊びでは、グリコで3拍は、パイナップル、チョコレートは、6拍と数えていました。本当は5拍です(拍の長さが均等になることを等時性といいます)。

 

 

 

○書きことばと音声ことば

 

 

 

 私たちは、文字で書いたものをそのまま一つずつ、音声にして話しているように思っていますが、違います。

 

 たとえば、「日本」は「ニッポン」とも、「ニホン」といえます。しかし、文字では「ニホン」とふりがなを振ります。

 

 「NHK」は、「エヌエイチケー」と言いませんね。ほとんどの人が「エヌエッチケー」といいます。「エヌエチケ」「エネーチケ」という人もいます。「私」というのは、「わたし」か「わたくし」でも、「あたしぃ」などと使われていませんか。

 

 「ラ抜きことば」といって、「みられる」「たべられる」を「みれる」「たべれる」という人も増えています。

 

 ことばは時代とともに変わっていくのですが、その基本的なところで表わしたのが、書きことばです。方言や外国語は、日本語の五十音だけでは正しく表記できません。

 

 つまり、同じ日本語でも書きことばと話しことば、文字と声での発音の世界は、違うのです。声のもつ多彩な表現の一部を、文字は表わしているにすぎないのです。(音楽と楽譜の関係に似ているかもしれません。)

 

日本語の発音に、外国語の音が入っているのに、私たちが認識していないこともたくさんあります。

 

 

 

○話しではわかりにくい日本語の音声

 

 

 

 他にも、耳で聞くだけでは、聞く人によってはよくわからないことばが、日本語ではたくさんあります。同音異義語は、その代表です。二重否定なども間違えやすいですね。

 

1.アルファベットの略語 NPOIT

 

2.外来語 「アウトソーシング」「ソーシャルワーカー」

 

3.お役所ことば どこかの部署のみで使われることば 「策定する」

 

4.専門用語 などです。

 

 そこで、言いかえたり、説明を補ったりする必要があります。また、別のやり方として、ゆっくりと正確に読むなど、声の使い方を変えて、わかりやすくする場合があります。

 

 

 

 声のトーンや声に表われる表情も、いろんなことから感じられるものです。

 

 正しいか間違いかがはっきりといえるのは、敬語の使い方についてです。これについては、本もたくさん出ているし、学校でも、新入社員教育でも学びますね。

 

 ほかは、聞く人の感じ方や受けとめ方によるところが大きく、必ずしも客観的な基準があるわけではありません。TPOや相手との関係によっても違ってきます。

 

 口調、話しぶり、速度、声の大きさ、表情、視線、ことばの使い方、専門用語、略語、外来語、方言、コミュニケーションにおいて、「人間関係を円滑にするための働きかけ」や、「相手に配慮した言語行動」のことを、ポライトネスといいます。

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3-1.声の話」カテゴリの記事

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