Vol.54
○声の大きさと聞こえる距離
たとえば、あなたが、いつもの2倍の大きさの声でしゃべったとします。ところが相手があなたから10倍の距離をおいたとしたら、あなたの話は聞こえなくなります。
あなたの口元20センチまで近づいたら、うるさくて聞き取りにくくなります。心理的抵抗もあって、あなたの声を受け付けにくくなるでしょう。もちろん、それを望むような親密な関係もありますが、そのときは、絶対に大きな声は使いません。
声の大きさと聞こえる距離というのは、心理的側面も加えて、物理的な条件の一つです。これは<声量>の問題です。
○カクテルパーティ効果
同じ距離で、同じ声量なのに、あなたが聞きたい人の声やことばは聞こえ、聞きたくない人のは聞こえない。こんな不思議なことが起こります。これは、「カクテルパーティ効果」といわれます。心理的なことでの効果で、自分に関係のあることや人には聞き耳が立ってしまうのです。
ざわつくパーティでも、気になる人の声やことばは聞こえるのです。あなたの名前が遠くでささやかれても、耳に入るのです。
まあ、聞きたくないことを聞かされるハメになることも多いのですが・・・。
話す人は気をつけてください。特に病院での長期の入院患者などは全身、耳になっています。
〇パーソナルエリア
パーソナルエリアについて、日本人は欧米人に比べて短いようです。赤の他人でも120センチくらいの距離で受け入れるそうです。意外にも女性は、あまり気にしないそうです。ということは、そばに寄っても避けられないからといって、その男性に関心があるわけではないのですから、念のため。
○声に何がのっているのか
声量の次は、声の伝えるものについてです。声では、大きく分けて次の二つが伝わります。
A.ことばの意味 (内容)バーバルコミュニケーション
B.ことば以外のメッセージ (感じ)ノンバーバルコミュニケーション
ここから、あなたが自分の声とそれを取り巻く状況を知り、もっとうまく声をコントロールして使えるようにしていきましょう。
〇状況洞察力
声の使い方は、自分一人では、決められません。それを最初に知っておいて欲しいのです。
ですから、「声の高さは、何ヘルツで大きさは何デシベルで話せば、一番伝わるのですか」などと聞かれても、答えられません。
距離もありますが、相手や状況にもよることが大きいのです。
A.自分の意図
B.相手の反応
相手の反応とは、相手のことばだけではありません。相手の声、身振り、態度、所作などでも察します。
同じことばでも、そこに込められているニュアンスはさまざまです。人や状況にもよりますが、顔や声の表情、音色、そして身振りに表われます。これが、ノンバーバルコミュニケーションです。ボディランゲージなども含みます。
それをどう読むかが、勝負となります。駆け引きごとと同じです。
他人の出した声に含まれるメッセージを、できるだけわかるようになりたいものです。それには、相手の立場から察してみることがです。
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