Vol.56
○自分の声のパターンを知る
敵を知るには、まず味方からです。「味方って一人じゃん」という声はさておき、
声があなたの味方、いや声を味方にしましょう。そうすれば、万人を味方につけたようなものです。
「声って一つじゃん」って。
いや、いろんな声があるのです。次のような声から、自分にあてはまるものをマークしてみましょう。わかりにくければ、身近な人の声をサンプルとしてチェックしましょう。わかりにくければ、誰かにあなたの声についてチェックしてもらいましょう。
○声の出だしを高めにインパクトを
声は、出だしのインパクトで決まります。第一印象にあたるのが、声の出だしのトーンです。日本語の語頭は、はっきりと聞こえないと、意味が不明瞭になるので、やや高めに明瞭に言うことです。これは、日本のアナウンサーの話し方の技術の一つで、「高出し」といいます。
噺家などは、「え~、毎度」と感嘆詞や枕詞をつけて、導入をわかりやすくしています。電話の「もしもし」と同じ役割です。
話し方の本には、「あの~」、「えー」は、よくないからとるなどととありますが、一般的には、あまり多用しなければかまわないと思います。日本語では、その方が自然に入れるし、相手も聞く準備ができて伝わりやすいからです。
○決め手は、語尾ニュアンス
声は音ですから、時とともに去りぬ、つまり、発したところから消えていきます。
ことばなら、そのときの決め手は、捨てぜりふ、いや、最後のせりふです。声ならだめ押しの声、つまり、最後の声に残るニュアンスが決め手となります。
デートで、最後に淡白にサッとさよならした人と、もてなせなくても、最後に温かい感じと思わせた人と、どちらが次のアポイントにこぎつける可能性が高いでしょうか。
「バカでかわいいおまえ」と、「かわいいけどバカなおまえ」と、どちらがましかっていうことです。「かっこいいけどドジ」、「ドジでもかっこいい」では?まあ、人間、大して前のことは覚えていないということです。ですから最後の締め、語尾のニュアンスが肝心です。
○重要なことは、くり返す
私はベテランの講師が最後に、今日話したことをまとめたり、最初に前回、やったことをくり返しているのを若いときに聞いて、小学生であるまいし、と思っていました。でも、今はわかります。それなりの歳になると、いろんなことをして、頭がまとまっていません。そこに念押し(リピート)があると、とても助かるのです。そうしなくては、せっかく聞いたことが頭に残らなくなっているからです。日本語では、印象に残すには、強く言うよりもくり返すことの方が効果的なようです。
○自分の声のパターンをゲットする
ヴォイスメモに、自分のベスト声全集をつくってみましょう。
ついでに、自分の声で、自分を励ますことばを録音して聞いてみましょう。
紙に書いて、毎朝読み上げていると、書いてながめるだけよりもずっと力が出ます。
あなたが尊敬する人のことばでもよいでしょう。自分の選んだことばが、励みになることもあります。
がんばっているときのあなたが、そうでないときのあなたに、それを残したと思ってください。
誰しも、がんばっているときの自分が好きでしょう。ですから、がんばっているときの声を入れておくとよいでしょう。