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2017年12月

Vol.57

○ヴォイスメモに好きな声を入れて聞こう

 

 好きな人、尊敬する人、親しい人、配偶者、両親や子供の声をヴォイスメモに録りましょう(スマホやヴォイスレコーダーでよい)。写真よりも効果的です。耳からも体の骨からも脳に働きかけるからです。歌を大音量で聞いたり、映画館にいる人は、多かれ少なかれ、これと同じ効果を得ているのです。

 

 何度も自分の声を入れ直しては、聞き返してみるのは、よいトレーニングにもなります。レコーディング気分で、何度もとり直しましょう。

1.自分がこんな感じのイメージの声(理想)

2.現実の声(現状)

 12のギャップを埋めていくのが、もっとも効果的なヴォイトレです。何度も聞いていると、自分の声にも慣れてきます。すると、これまで嫌であった自分の声のよさも見いだせます。そして、その声が認められるようになってきます。

 

○自分の声は、どうして嫌なのか

 

 あなたは、自分の声を聞いてどう思いますか。大多数の人は、「嫌だなあ」とか、「何か違うな」といった、不快感、違和感をぬぐえないでしょう。「こんなに変なんだ」「生まれつきだから」と、あきらめる人も少なくありません。

 しかし、ちょっと待ってください。違和感は慣れたら解消します。あまりよい声だなあと思えないのには、いくつかの理由があります。

 

 第一に、TVやラジオなどでプロとして話している人の声を聞き慣れていて、それと比べているからです。それは、服をファッション誌のモデルと比べてみるようなものです。彼らは人前で振舞うプロであり、トレーニングをしていますから、よいのは当然です。

 とはいえ、彼らに学べることも少なくありません。問題は、そのギャップが何かがよくみえていないことです。まさに声は見えないからです。目で見えるものなら、比べられます。しかし声は、聞いて判断するので、慣れていないのです。話すこともリスニングも不得手な日本人にはなおさらです。

 服が自分にあわないのは、鏡をみて比べたらわかります。しかし、声は並べて比べられません。

 自分の声の何がよくないのかわからない。仮にまねてみても、タレントなどの声は、本当の自分の理想の声の見本ではないのです。まして、実際に、どう直すのか、わかりません。こうなるとお手上げですね。

 第二に、自分の声は内耳を通っているために、他人が聞く声や録音された声と少し違っているのです。

 

〇トレーニングしていないだけ

 

 発音、滑舌は、何回も練習することで、かなり改善されます。噛むのを気にせず、落ち着いて言い直せば、少しずつよくなるでしょう。舌の動きは早口ことばの練習でクリアできます。

 声はわからなくても、ことばの練習はできそうですね。プロも練習して話す力を鍛え磨いてきたのです。

 

 自分の声の嫌なことの最大の理由は、あなたがこれまで声や声での表現力に強い関心をもち、トレーニングをしていないからです。顔や体を洗うこと、ヘアスタイルや服のコーディネート、これらは日頃から、学び、トレーニングしています。雑誌やTVや友人のをみて、常に多くの情報を得て自己チェックしています。何がよくて何が悪いのかを、あなたなりに基準をつくって自己演出し、コーディネートしているのです。周りの人もアドバイスしてくれるでしょう。小さい頃から、ボタンがはずれたり、襟が出ていなければ注意されたでしょう。

 声はあまり、そんなことがなかったはずです。聞いたはしから消えていくのですから、よほどのことでないと注意されなかったでしょう。ですから、トレーニングすればよいのです。

 

○いい声ってどんな声?

 

 それでは、あなたがめざすべきいい声ってどんな声でしょう。声は、こうして文章でお伝えするにはとても難しいので、身近な例から考えてみましょう。

 あなたが日頃、TVなどをみていて、「いい声だなぁ」と思う人は誰でしょう。声優さんやお笑い芸人の方でもかまいません。男女で3人ずつくらいあげてください。

 私は、あるステーキ屋さんの声が忘れられません。その声を聞かせに、肉で誘って、いろんな人をそこへ連れていったくらいです。あなたの身の回りではどうですか。お寿司やさんとか八百屋さんなどにもいませんか。家族や仕事仲間にはどうでしょうか。

 

[いい声の人と、その理由]

 そのなかであなたがいい声と思ったのはなぜでしょうか。そこで、いい声をわかりやすくするために作業をしましょう。

 あなたが悪い声、いい声ではないと思う人をあげてください。

 

[悪い声の人と、その理由]

 この理由をじっくりみていくと、あなたにとってのいい声の定義ができそうですね。

 

 いい声の条件は、たとえば、こんな感じでではないでしょうか。

明るい 活き活きしている 張りがある 魅力的 元気がよい 暗くない ハキハキしている

聞くのに楽 落ち着いた感じ 聞きやすい 聞いていて気持ちがよい 

遠くまでひびく かすれたり苦しそうだったりしない

 

 さらに別の面からみていきましょう。

 次の声のイメージを ○いい声 ×悪い声 △どちらともいえない で判断してみてください。

1.カン高い声

2.黄色い声

3.こもった声

4.ドスの効いた声

5.鼻のつまったような声 

 

○声を具体化する

 

 次に、それぞれ有名人か身近な人で思い当たる人がいたら、入れてみてください。わかりにくい声の説明については、後述します。

 

 自分自身の声について、チェックしてみてください。

 次に、家族や友だちでもよいので、他の人にあなたの声をチェックしてもらってください。何人かにチェックしてもらい、まとめると、とても勉強になります。

 あなたも他の人の評価をしましょう。それぞれの違いが少しずつ比べられるようになってきます。

 他の人と評価がわかれるところで、その人の好き嫌いや、声のイメージの違いもわかります。

 めんどうなことと思わないでください。いつも容姿や態度については、けんけんがくがく、やってきたでしょう。それを声について、行なうだけです。

 

 そういうことで理解していくと、声の感じ方、聞き方も少しずつわかってきます。自分の声の位置も定まってきます。

 「○○さんから、私の声は○○さんと○○さんの間の声と言われた」などということも、よいヒントです。漠然とした声のイメージが自分の声のイメージを中心においてわかってくるのです。[声のマップ]に自分の声が入っていくのです。

 友だち同士でわかりにくいときは、年齢の違う人をチェックしてみるとよいでしょう。極端にタイプの異なる声の人を入れると、それぞれの人のもつ要素がはっきりとつかめるものです。

「2つの壁」 No.316

 

トレーナーは、本人に見えないところまで見抜きます。それを伝えるところまで手腕を問われる仕事です。

 

しかし、高度な目標であるほど、すぐに伝えられること、伝わることは、なかなかありません。

 

トレーナーがそこで直せるような一流のアーティストはいません。そこは形だからです。他人と比べられないオリジナリティが実です。その2つを伴った想像上の可能性は、創造でしか超えられないからです。

 

何か足らない、何かもっとできる、そこに否定もダメ出しもありません。そこを充たさないと、形にも実にもなりません。だから、時間がかかるのです。

 

イメージとその詰めかたを、共に新しい発想で、試みていくのが、レッスンの現場です。

 

 

 

現実には、多くのトレーナーは、ささやかな修正や調整業務に追われています。基礎づくりに専念できるトレーナーはわずかで、クリエイティブな域には、ほとんどは入れません。

 

トレーナーは直すことが仕事と思い、そこで対応する術を得ていくようになります。あきらかに、その需要が多いからです。

 

するとアーティストのたまごは、生徒となり、いつのまにか、消費者、お客さんや患者さんのようになるのです。

 

 

 

レッスンも、目的、レベル、どのスタンスで使うかによってまったく異なるものです。

 

私は、今は、そこをあるところまで、相手に任せています。そこまで選んでない人が多いからです。選んだり創ったりするためのヒントを与えているつもりです。

 

 

 

多くの人は、スタンスを変えることとイマジネーションからのクリエイトへと、二つほど、のりこなくてはなりません。まず、そこがみえるように精進してください。

 

 

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